Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

慶應義塾大学が産学連携で「eラーニングビジネスモデル研究会」を設立

high190です。
大学時代、ビジネスモデル特許について友人と色々調べたことがあります。
調べようと思った動機は、「ITを活用した新規のビジネスモデルを創出すれば、それだけでお金が手元に入る!(但し、企業が導入するような完成度の高いものなら)」という安直な考えによります。
結局、魅力的なビジネスモデルを作り出すことは出来ませんでしたが、ビジネスモデル特許についての考え方や最新の論説など、普段ならあまり考えないことを調べたので、とても印象に残っています。

さて、最近大学で導入が進んでいるeラーニングですが、慶應義塾大学では産学連携による研究会を設立したようです。

慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構は、このたび「eラーニングビジネスモデル研究会」を設立いたします。eラーニングにおける、学習者を中心とした総合的な生涯学習環境(「デジタルコンテキストによる学び」)に関する研究を通して、BtoC(Business to Consumer)を中心としたビジネスモデルを、多様な協賛団体およびeラーニングに関する第一線の研究者たちが連携し社会に提案することで、新たな教育・コンテンツ制作・人材関連事業を切り開くことを目的としています。
 なおこの研究会は、慶應義塾大学が平成18年度に経済産業省から委託を受けた、草の根eラーニング・システム整備事業(BtoCのeラーニングマーケットにおいて自立可能なビジネスモデルを構築するための課題とその解決策を検証するモデル事業)の成果をもとに、新たな展開として設立するものです。

1.設立趣意
インターネットやケータイ等の様々なメディア上での「デジタルコンテキスト(※1)による新たな学び」について研究し、クロスメディア(※2)展開や人材事業連携が可能なB to Cを中心としたビジネスモデルを、産学連携により社会に提案します。

(※1) デジタルコンテキストとは、デジタルコンテンツ素材を利用目的に沿って生成・編集・加工・統合することによりデザインされる、シナリオをもったデジタルコンテンツのこと。
(※2) クロスメディアとは、一つのコンテンツを複数のメディアで出力・活用する手法のこと。

2.活動内容
本研究会の主な活動内容は、次の通りです。
 (1)デジタルコンテキストによる学習サービスの品質に関する研究。
 (2)デジタルコンテキストによる学習コンテンツの流通に関する研究。
 (3)デジタルコンテキストによる学習マーケティングに関する研究。特に、求職を希望する学習者と仕事のマッチングにおける学習履歴の活用も検討。
 (4)その他、行政機関、公益法人等と学びを提供するビジネス基盤に関する協力。

3.研究課題
携帯電話・インターネット等の様々なメディア上での教育コンテンツの開発・活用とそれによる学習効果、学習者の求職希望と仕事のマッチング等について研究、実証を行い、教育効果の向上、企業・求職者の満足度の向上を通じて、各事業の連携・発展に必要な要素は何かを研究、検証します。

・【コンテンツ制作事業関連】教育におけるクロスメディアでのコンテンツの流通により、コストを抑えつつ、教育コンテンツの認知度を高める。
・【教育事業関連】学習状況・理解度に応じたデジタルコンテキスト教材を用いることにより、学習者の理解を促進する。
・【人材関連事業関連】学習状況・理解度を記述した「学習履歴データ」と「求人情報」とマッチングすることにより、マッチング率を向上させる。

4.協賛団体(企業等)
エスエイティーティー株式会社、NECNECラーニング株式会社、株式会社教育測定研究所、株式会社廣済堂、株式会社シュビキ、デジット株式会社、テンプスタッフ株式会社、日本商工会議所、株式会社プロシーズ

5.参加有識者
坂元 昂 社団法人 日本教育工学振興会 会長
植野 真臣 電気通信大学 大学院情報システム学研究科 社会知能情報学専攻 准教授
小川 賀代 日本女子大学 理学部数物科学科 講師
高木 直二 早稲田大学 理事(産学連携担当)
障泱リ 晴夫 慶應義塾大学 大学院経営管理研究科 教授
野田 隆広 京都大学大学院 情報学研究科 通信情報システム専攻
山本 洋雄 信州大学 全学教育機構 高等教育システム開発部 教授
吉川 厚 東京工業大学 大学院総合理工学研究科 知能システム科学専攻 連携教授

eラーニングについては米国等に比較して、日本は研究が遅れている分野だと思います。
産学連携を活用することで、大学でのeラーニングがさらに促進されれば、自宅でも学習できる環境を整備することができます。
環境に依存しない学習体制の構築と提供は今後の大学経営において、重要なファクターとなるのではないでしょうか。