Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学に関する「質問主意書」と「答弁書」をまとめてみた。

high190です。
普段大学に関するニュースや各省庁の通知などで高等教育の政策動向把握していますが、それ以外に注目しているのが「質問主意書」と「答弁書」です。

www.sangiin.go.jp

国会議員は、国会開会中、議長を経由して内閣に対し文書で質問することができます。この文書を「質問主意書」と言います。質問しようとする議員は、質問内容を分かりやすくまとめた質問主意書を作り、議長に提出して承認を得る必要があります(国会法第74条)。
議長の承認を受けた質問主意書は、内閣に転送され、内閣は質問主意書を受け取った日から7日以内に答弁しなければなりません。7日以内に答弁できない場合は、その理由と答弁できる期限が議長に通知されます(国会法第75条)。
内閣からの答弁は、原則として文書をもってなされ、これを「答弁書」と言います。答弁書は、各府省等で案文を作成し、内閣法制局の審査を経て閣議決定された後、議長に提出されます。

議員が本会議や委員会で質疑を行う場合、その内容は議題による制約を受けます。また、原則として所属する会派の議員数に比例して質疑時間が決まるため、少数会派の議員や会派に属しない議員にとっては必ずしも十分な質疑時間が確保できない場合があります。これに対し質問主意書は、議院の品位を傷つけるような質問主意書や単に資料を求める質問主意書は認められないなど、一定の制約はありますが、国政全般について内閣の見解を求めることができます。また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。

以上に書かれているように「答弁書は、各府省等で案文を作成し、内閣法制局の審査を経て閣議決定された後、議長に提出」され、「内閣の見解」として公表されます。日本は議院内閣制で、両院制*1なので衆議院参議院の両方で質問主意書答弁書が作成されます。実は衆議院参議院では答弁書の作成過程が違います。この点を明らかにした田中信一郎さんの論文は面白いです。

国会議員から出た大学に関する質問主意書答弁書には、どのようなものがあるのか調べました。何故大学に関するものを調べるのかというと、答弁書閣議での決定を経て内閣の見解となる途上で、内閣法制局の審査を経るので、田中信一郎さんによれば「答弁書が政治見解でなく行政見解としての性格を有する。」ためです。大学も法の下にある組織なので、法令解釈の上でも確認しておくことが必要だと思い、国会会期中に確認しています。私が調べ始めたのが2013年ごろからなので、以下に紹介するものは2013年以後のものが中心です。今後も随時追加していきたいと思います。

衆議院

参議院

*1:両院制(りょういんせい)とは、二つの「議院」によって構成される議会が、それぞれ独立して活動する制度である。二院制(にいんせい)とも言う。対照的な制度に一院制がある。 http://ow.ly/vmZu30rLWeJ

大学職員インタビュー@high190編

high190です。
人事系大学職員の玉山さん、とある大学職員さんが大学職員インタビューをやっていたので、私もやってみます。
note.com
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埼玉大学の「若手職員アンケート」が元ネタのようです。読み物として面白いので是非。

1.前職について
Q.前職はありますか?また、前職がある場合は前職の業種、職種を教えてください。
前職も私立学校で職員をしていました。企画、学生支援、学長室、教務などを経験しています。


Q.前職での経験で最も役立っていることは何ですか?
設置認可申請に関わったこと。特に設置認可を担当した後、教務で新設組織の運営実務を経験したのは現在も役立っています。


Q.学生時代の経験で最も役立っていることは何ですか?
通っていた大学で学生スタッフをやっていました。大学を考えるきっかけがもらえたと思います。


2.現在の仕事について
Q.現在の担当業務はどれにあてはまりますか?
例示は「総務系」「財務系」「研究支援系」「教務・学生支援系」「国際系」「その他(図書系、出向中)」ですが、この括りでは総務系に該当します。


Q.教員・学生との距離感はどの程度ですか?
私の場合、私立学校の法人事務局なので、教員・学生との接点は薄く、法人役員・部門役職者とのやり取りが多いです。しかし設置認可案件だと教員とのやり取りが多く発生します。


Q.①仕事の自由度、与えられている裁量はどの程度だと思いますか?②また、自らが主導的な役割を果たして物事を進めた経験はありますか?
現在「監督職」なので、一定の裁量はありますが原則は管理職の指示に従って業務を進めます。プロジェクト業務、業務改善などで主導的な役割を担ったことがあります。


Q.仕事上英語を使う機会はありますか?
ありません。残念ながら英語が不得意なのですが、海外研修に参加したことがあるので英語コミュニケーションの必要性は痛感しています。


Q.働くうえで、今後 伸ばしたい・身に付けたいと思う知識やスキル等があれば教えてください。
世代的にも中堅なので、今後は「コンセプチュアル・スキル」をより強化する必要があると感じています。
www.acpa.jp


Q.大学職員を志望した理由、また現在の大学のどのような点に魅力を感じ志望されたか教えてください。
教育に関わる仕事がしたかったことと、職員として教育を支える裏方としての仕事に魅力を感じました。現在の職場に感じた魅力は、母校でもあるので、建学の精神に対する共感によるところが大きいです。


Q.現在、働いていて満足している具体的な内容を選択してください
優秀な上司の下で働いているので、自己の成長に繋がる環境であることは満足度が高いです。


3.先輩職員の声
Q.大学職員として実際に働いてみて、働く前に想像していたこととの違いやギャップを感じた経験はありますか。また、それはどのようなことですか。
私は2つの私立学校を職場として経験していますが、組織的硬直性、官僚制、集団凝集性などは入職後にギャップとして感じました。ただし、これは私立学校という狭い集団内なので、国立大学法人などでは異なるのかもしれません。


Q.現在の大学で働き始めてから、これまでで最も印象に残っている又は最もやりがいのあった仕事について教えてください。
これも設置認可案件ですね。大変ですがやりがいのある仕事です。


Q.働く中で、目標としていることや、日頃から心がけていることがあれば教えてください。
職員には組織の中長期的な安定性と堅実性を担保するため、日々の業務を遺漏なく行うとともに、業務を改善し、組織を前に進めることが役割として求められています。よって前例は重視しつつも、常に改善の視点を持つことを心がけています。


Q.現在の大学で働くことを通じて、「自分のここが成長した」と思う点や、身に付いた知識・スキル等があれば教えてください。
現在の職場に来てからは、前職よりも規模が大きかったこと、所属部署が組織全体を俯瞰的に見る役割であるため、全体を見る視点と知識が身についたと思います。


Q.事務職員の仕事のうち、「この部署の仕事は面白い」「あの部署の仕事が面白そうだ」という仕事があれば、 理由も含めて教えてください。
財務部門の仕事は面白いと思います。一見地味かもしれませんが、私立学校は中長期的な計画に基づく健全な財務体質、戦略計画に基づく経営が必要であり、その根幹を支えるのが財務だからです。もっというと教学と経営と統合した戦略部門で働いてみたいです(総合企画部のイメージ)。


Q.自身はどのようなタイプの人だと思いますか?
面倒くさがり。だからこそ非効率な業務は改善すべきだと思います。


4.受験生へのメッセージ
Q.どのような後輩と一緒に働きたいと思いますか?
よく調べる人。改善提案を持ってきてくれる若手の人には、現状の業務の背景、従前のやり方の俯瞰的観点からの改善方策を聞いています。その上で論理的妥当性があるものは積極的に改善してもらっています。そのためにも「調べる」ことは重要なコンピテンシーです。「大学職員の書き散らかしBLOG」で紹介されていたIMRADフレームワークは私も使っています。
kakichirashi.hatenadiary.jp


Q.最後に受験生へのアドバイスやメッセージがありましたらお願いします。
どんな仕事もそうだと思いますが、一定の領域に到達するまでには学習が必要です。特に大学は社会的に厳しい視点で見られていますし、設置形態を問わず税金が投入されるため、説明責任を強く求められます。財政制度等審議会経済財政諮問会議、総合科学技術・イノベーション会議などでは厳しい論調も多いです。

また少子高齢化による学生獲得競争の激化、現在では感染症対応など業務革新が必要であり、(私はそう思っていませんが)斜陽産業だと言われています。こうした難局を突破する人材が来てくれたら嬉しいですし、そういう人材に選択される大学業界であって欲しいと願っています。

国公私立大学のガバナンス・コード一覧を作成しました。

high190です。

2020年はコロナ禍で大学教育も翻弄された一年だったですね。オンライン教育、感染症対策、社会にとっての大学の価値など、色々なものが問われていると思います。そのことにも関連しますが、設置形態別にガバナンス・コードの策定が進んでいます。

現時点で公表されている大学の一覧をリスト化しました。今後も順次更新します。この記事の公表時点(2020/12/30)では、国立大学法人で公表の事例はまだありません。そもそも国立大学ガバナンス・コードが公表されたのが2020年3月30日ですから、今年度内に策定されて順次公表されると思います。
※更新情報 私立大学を日本私立大学協会準拠、日本私立大学連盟準拠、大学監査協会準拠に分類。学校法人北里研究所(北里大学)を追加(2021/06/24)

私立大学は、日本私立大学協会と日本私立大学連盟がそれぞれにコードを公表しています。その比較をしたブログ記事がありますので、ご紹介しておきます。
www.daigaku23.com

さて、ここで別の視点で考えてみます。大学のガバナンスは何のためにあるのでしょうか。

色々なステークホルダーがいますが、究極的には大学で教育を今受けている人、今後受ける人にとって適切な教育研究体制を取る。そのために適切な管理運営を行う。教育研究と質保証の両輪を適切に実行するための統治機構がガバナンスだと思います。もちろん設置形態、大学の規模・学部等の分野によってあるべき姿は異なると思います。

ガバナンス・コードに一定の役割があるとすれば、各大学が自律的に自分たちのガバナンスを整えるための仕組みとして機能するか否かでしょう。今の大学には認証評価、内部質保証など評価基準がたくさんあります。どのように大学運営を設計していくのか、中長期計画なども含めて、自分たちのあり様を自分たちの手で描く。そのためのガバナンス・コードであって欲しいと思います。

【参考情報】

上記URLのサマリーを抜粋

高等教育機関に対する自律性と信頼性のバランスから、高等教育ガバナンスは 「21世紀の重要な政策」 となると考えられる(ケネディ2003)。ここでは、2つの主要なトレンドに焦点を当てました。

  1. グッド・ガバナンス・ガイドラインの策定
  2. 品質認定と監査におけるガバナンスの問題の包含

前者は、高等教育システムの管理ミスや変革プロセスの際の非強制的な対応として起草されることが多いが、後者は、教育機関内での改善と 「質の高い文化」 の創造に重点を置いている。レビューされたガイドラインの特定されたキーポイントを簡単に紹介した後、品質保証とグッド・ガバナンス・ガイドラインによる制度ガバナンスのアプローチの違いを評価する。グッド・ガバナンス・ガイドラインは高等教育ガバナンスの唯一の解決策ではないかもしれないが、相互に合意した説明責任の仕組みを自発的に取り入れた場合に、機関や個人が最も効果的に機能することに留意すべきであると論じられている。

博士号取得者のキャリアパスは大学教員のみではない

high190です。
今ブックマークを集めている記事があります。
www.ki1tos.com

拝読して「うーむなるほど。学部卒からストレートで大学院に進学して博士号を取得してからキャリアを積んで大学教員になるというキャリアパスだけではなく、学卒または修士卒で企業等に勤める人が博士号を取得して活躍している実例があまり知られていないのかもしれない。」と感じました。
私の狭い観測範囲ではありますが、企業に勤めながら博士号を取得して、学位を活用して活躍されている方として取り上げたい人がいます。日刊工業新聞社の科学技術部論説委員編集委員の山本佳世子さんです。

newswitch.jp

山本さんは学部卒業後、修士号を取得して日刊工業新聞社で記者として活動されてきました。国立大学法人化後の産学連携担当をきっかけに東京農工大学で博士号を取得され、現在では恐らく日本で最も読み応えのある産学連携関係の記事を書かれています。Googleアラートで私が興味を惹かれる記事のテーマの多くが山本さんで、記事の質は高く大学職員の情報源として有用なソースです。
山本さんは博士号取得を実務にどのように活かしてきたのでしょうか。そのヒントとして広島大学のグローバルキャリアデザインセンター若手研究人材養成のインタビュー記事があります。

www.hiroshima-u.ac.jp

修士課程に進んだ時には当然、理工系で研究者という選択肢も考えていました。ところが、1年を費やした研究成果がうまくいかず、研究テーマを変えることになったときに考えが変わりました。研究が上手くいかなかったことがとてもショックで、その時に「研究者を一生続けていくのは向いていないかもしれない」と思いました。そこで、好きな科学技術分野と自分が得意な短期集中型の仕事を探していく中で、新聞記者という職業に行きつきました。それから20年以上新聞記者を続けていますが、自分のキャリアに悩む時期もありました。

(中略)

博士号を取ろうと思ったのは、産学連携専門の記事を書き始めてしばらく経った頃でした。その当時、産学連携の記事を専門に書く記者は日本でほかにいなかったと思います。産学連携を大まかに説明すると、企業と大学が連携して商品やベンチャー企業を作り出していく事業のことですが、その過程で利益や特許などの問題が渦巻くので非常に難しい側面を持ち合わせています。いろいろと取材を進める中で「産学連携」でのみ生じる問題やコミュニケーションに興味を待ち始めました。そこでこの「産学連携」をテーマに研究してみたい、博士号を取りたいと思うようになりました。

(中略)

最近、盛んに「イノベーションを創出できる人材を求める」という企業の声を聞きますが、それはスペシャリストでかつゼネラリストの方だと思います。これからDに進む人が仕事やキャリアを考えるときに意識していただきたいのは、やりたいことを突き詰めていくだけでなく、「社会を取り巻く状況の変化によって必要とされる人材はどういう人か」、「そういう人になるためには何を磨けばいいか」ということです。それらを考えながら色々な経験をしていってください。

スペシャリティのあるゼネラリスト」こそ、これからの社会を支える人材だろうと思います。もちろん個々の方のキャリアパスは多様ですし、一律には考えられないですが、良い例を共有していくことは大切です。研究者からデータサイエンティストに転身された尾崎隆さんなども、良い例に入るでしょう。

tjo.hatenablog.com

社会人の大学院進学は成人教育学の原則に照らすとオンライン教育が整合的であること、インストラクショナルデザインの活用がその鍵であることなど、このテーマは引き続き考えていきたいです。今現在、私自身が社会人院生として修士課程で学んでいますが、働きながら博士課程に進むことも視野に入れてみるのも、今後の人生を楽しむ上で選択肢に入れても良いのかなと最近感じます。

"アフターコロナ"以後の大学教育について

high190です。
現在日本国内はゴールデンウィークですが、新型コロナウイルスの対応もあり、行動自粛が周知されると同時に連休明けから授業をオンラインで行う大学も多くあるでしょう。今回のパンデミックが大学教育に与える影響も甚大であり、高等教育政策自体にも大きな変化が起こるものと想定されます。
このような状況下で大学はどのように大学教育のあり方を考えるべきなのでしょうか。一つ参考にしたいのが、カナダ・オンタリオ州のオタワ大学における取組みです。当大学で現在Vice PresidentをされているJill Scott*1さんのTwitterで4月に以下のツイートがなされていました。

少し前の情報ですが、このツイートから分かることは、オタワ大学では4月のうちに新型コロナウイルスに対処するための教育プログラムを組成し、提供する用意があるということです。

www.uottawa.ca

www.uottawa.ca

未曾有の感染症に対応するための法学、薬学、社会科学、eラーニング、健康科学など各学問分野別のコースが提供されるようです。社会的な知の拠点として大学ができることは何なのかを考えさせられます。翻って日本の大学においては、平時の教育をどのようにオンラインで提供するかに腐心しています。もちろんこれは、現在の大学が置かれた社会的な状況等も含めてやむを得ないことだとは思います。*2
大学が社会の知の拠点として役割を果たそうするならば、現在の困難な状況に対して学問に何ができるのかを示す姿勢は必要だと思います。この感染症は全世界的な拡がりを見せていますので、簡単に終息することは考えにくく、これからも付き合っていかなければなりません。各国の大学が自国にとって学問的に何をすべきか、できるのかを考える機会になると考えます。今我々に求められているのは、新型コロナウイルスを包摂した大学教育の新たなあり方を省察的に模索し、大学にできることを社会に示すことではないでしょうか。
伝統的な学問を伝えつつ、社会の変化に適応的な"Adaptive University"であることが、アフターコロナ以後の大学教育には求められていること、その目指すべき姿がカナダの大学にはあるような気がします。

*1:Jill Scottさんは2019年までQueens UniversityでVice Presidentをされていました。私が2018年に訪問調査で訪れた際、直接お話を伺うことができたアカデミック・リーダーです。 https://www.uottawa.ca/about/governance/senior-administration/jill-scott

*2:この点については、熊本大学大学院教授システム学専攻の鈴木克明先生が2020/04/17にNIIで講演した内容が参考になります。 https://www.nii.ac.jp/news/upload/20200417-9_Suzuki.pdf

業務改善にRPAを活用している大学のリストを作成しました。

※更新情報 大阪大学を追加(2020/12/17)

high190です。
大学での業務改善のあり方は自分なりに色々考えて実践してきましたが、自分の職場に導入できないかと思っているのがRPA(Robotic Process Automation)です。2018年の東北大学開催セミナーにも参加して情報収集して基礎的なことを勉強していました。

high190.hatenablog.com

業務改善にRPAを活用している大学がどの程度あるかリスト化しました。導入範囲は小規模・大規模問わず導入例があればリストに追加し、新着情報があれば随時追加します。

以上、導入事例を見てきました。
私が一番興味を惹かれたのは、帝京大学が学校法人基礎調査の入力作業にRPAを活用している点です。学校法人基礎調査とは日本私立学校振興・共済事業団による調査で、日本私立学校振興・共済事業団法第23条第1項第5号が根拠です。*18私立大学等経常費補助金を受けるためには必ず回答しなければならない調査ですので、私立大学関係者にはお馴染みだと思います。必ずやらなければならない業務の効率化は、そのために要する人員・時間コストの削減に繋がり、大学経営上大きなメリットがあります。給与・会計等の管理系業務を中心にRPAが活用されていると感じていたので、この取組みは新鮮な驚きでした。
また、2020/09/04に追記したサイバー大学の事例では、学生履修分析業務の効率化にRPAを活用しています。このように徐々に教学業務等にも活用の幅が拡がってきています。

winactor.biz

その他、国立大学で導入が進んでいると思います。運営費交付金の削減、効率的運営を国から要請されている事が一因と思いますし、私立大学と比較すると規模の大きいところが多いので、改善余地もその分あると推察します。また、医療系・大学病院での活用はもはや当たり前になりつつあります。RPA導入のメリットを見てきましたが、大学における業務改善の最終目的は何でしょうか。それは学生の成功(Student Success)を最大化する事です。そのため、業務改善が目的化するのではなく、業務全体を俯瞰して可視化と改善に繋げる事、何より学生の教育に充てる時間をどう捻出するか、捻出した時間を活用して教育の質をどう向上させたいかをセットで考える事が成功の鍵を握っているのではないでしょうか。

【参考になりそうな資料】

rpalab.educe-ac.com

*1:業務フローの改善については、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)説明会を主催し、事務部の参加を得た。また、業務改善を目的とする事務部の若手WGに対して支援した。

*2:ニュースリリース大阪大学 働き方改革の挑戦 NTTデータ関西と協力しRPAソリューションの実証実験を開始~文教分野へのデジタルレイバー導入の実行可能性を検証~https://www.nttdata-kansai.co.jp/news/details_00137.aspx

*3:予算の早期執行に向けた取組として、私金立替払いの運用厳格化を実施したほか、旅費業務における省力化を図るため、RPA(Robotic Process Automation)による財務会計システムへの入力作業及び帳票出力について試行的に一部導入した。

*4:国大協「平成30年度国立大学法人等担当理事連絡会議【IT活用による大学業務の高度化】」を開催(10/4)https://www.janu.jp/news/whatsnew/20181004-wnew-tantouriji.html

*5:業務効率化を図るため,RPA(ロボットによる業務自動化の取組)について,導入に関する先進事例調査(3大学)等により情報収集を行うとともに,平成30年12月に無償トライアルを実施し,効果を検証のうえ,平成31年度に導入

*6:国立大学法人長崎大学がRPAテクノロジーズ「BizRobo!」を本格導入開始 ~「BizRobo!」を活用し、大学及び病院の働き方改革の実現へ~ https://ascii.jp/elem/000/004/017/4017278/

*7:効率的な事務業務の遂行に向けて、消耗品購入情報を会計システムへ入力する業務、WEB賃金システムへ従事者の作業内容や住所等の内容を入力する業務にPC業務自動化ソフトウェアロボットである RPA(Robotic Process Automation)を適用し、適用前と比較して年間約180時間の業務時間を削減できた。また、RPA適用提案のあった業務のヒアリングにより年間2,000時間程度の削減効果見込みがある業務を確認できたため、引き続きRPAの適用を拡大することとした。

*8:平成 28 年度に各部局等の副課長級職員を構成員とする「職種と業務の明確化検討会」(平成28年11月~平成29年3月)を設置し、業務分析表の作成を通じた全学的な業務の棚卸し及び業務マッピングの作成を通じて、各業務に求められる判断・専門性の度合いの可視化を実施した。平成30年度には「総務系業務の効率化検討WG」を置き、この業務マッピングを分析して、業務をコア業務と非コア業務に分類し、各部局に共通的な非コア業務について次の業務改善提案を行うとともに、現行の業務マッピングの問題点についても指摘した。□会議事務の非コア業務化による効率化□RPA(Robotic Process Automation)による業務自動化の組織的な導入□各種申請のWeb化による業務改善

*9:業務量の軽減を図るため,他大学でのロボティック・プロセス・オートメーション(RPA:Robotic Process Automation)の活用事例について,適用する業務の範囲を踏まえた情報収集を行い,導入の可否について検討を進める。

*10:業務の負担軽減と効率化のため、外部委託の推進や RPA(ロボティックプロセスオートメーション)などの導入可能性についての調査・検討行うほか、業務量平準化のため、職員配置の見直しを行う。

*11:電子購買システム導入検討(カタログ販売サイトの購買電子データの利活用と既存管財システムでのRPA活用によるデータ入力作業の省力化とマスター登録の検討)、RPAや人工知能(AI)を駆使した仕事の変容に備え、今後新たに職員が学ぶべき知識やスキルの内容を併せて検討する。

*12:●RPA(Robotic Process Automation)による学生履修分析業務の効率化 <進捗状況>・Cloud Campus から取得される学修データを活用し、科目内の受講進捗状況を自動集計し、受講が遅れている学生や小テスト等の点数が良くない学生を簡単な操作で抽出したり、単位修得状況や成績分布などを表示したりできるような「受講状況管理ファイル」を作成し、TA 全員が担当科目の学習支援に利用できるようにしている。・また、成績情報を集計するプログラムを使って、「GPA が 2 期連続で 1.5 未満の学生」や「修得単位数が規程に定める基準を下回る学生」を抽出し、学期末の履修指導を行っている。・その他、卒業研究のエントリー相談時にも履修すべき科目を受講できているかどうか確認するための自動チェックツールを作成するなど、学修支援として様々な試みを実践し、業務の効率化を図っている。

*13:学校法人基礎調査のデータ入力業務にRPAを導入。手作業が軽減され2割以上の業務削減効果 https://winactor.biz/case/teikyo.html

*14:本年度は、特に各部署からの要望に応じたデータの見える化やペーパーレス化に取り組み、RPA(Robotic Process Automation)を導入し業務の効率化とミス防止を図りました。

*15:「2019年度学校法人東京理科大学 事業計画書」2016 年度から実施している業務プロセス改革の業務分析結果を踏まえ、労働生産性の一層の向上を図るために、本年度は生産性向上に向けた業務標準化および効率化をさらに推進するとともに、RPA(Robotic Process Automation:業務自動化)、AI の導入を検討します。https://www.tus.ac.jp/info/foundation/pdf/business/2019_1.pdf

*16:RPAの導入による事務業務効率化に取り組み、複数課室業務においてその実効性を確認しました。

*17:https://www.sankeibiz.jp/business/news/191002/prl1910021426106-n1.htm

*18:私立学校の教育条件及び経営に関し、情報の収集、調査及び研究を行い、並びに関係者の依頼に応じてその成果の提供その他の指導を行うこと。

高等教育の修学支援新制度説明会(仙台開催)に参加しました。

high190です。
2019年10月3日(木)にトークネットホール仙台で行われた説明会に参加しました。来年度から新たに開始される高等教育の修学支援新制度に係る説明会です。対象の大学等全てに説明するため、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、岡山、福岡でそれぞれ開催されています。こうした説明会は質疑応答が開催毎に蓄積していくので、あくまでも10月3日時点での情報であることに留意してください。
仙台開催説明会の記録を公表します。主観が入っていること、内容に誤りが含まれる可能性があることを予めご了承ください。

www.mext.go.jp

議題

  1. 授業料減免等の事務処理等について
    • 【授業料等減免実施の全体スケジュール概要(予定)について】
      • 2019年度は予約採用(新入生:入学手続時)の準備と、在学予約(在学生:11月以降で各大学が提出時期設定)の手続き、在学採用(予約採用できなかった新入生及び在学予約できなかった在校生:翌年度4月)の準備が必要。
      • 2020年度授業料等減免交付金(補助金)申請/交付/実績報告スケジュール抜粋(大学と私学事業団)
        • 6月 減免費用の交付申請書提出
        • 7月 概算払請求
        • 10月 減免費用の変更交付申請書(追加分)提出
        • 12月 概算払(追加分)請求
        • 4月 実績報告
    • 上記スケジュールと併せて、日本学生支援機構に対し進学届提出(学生から)・現況届提出(大学から)、支援区分確認、大学が学生に対し減免認定・減免決定通知書発行、継続の際の適格認定及び通知、学生等から大学へ認定申請書(新入生・在学生)、継続願(在学後)の提出を行う必要有。
    • 授業料等減免の支援対象の認定要件は、機構の給付型奨学金と同一であるため、支援区分は機構の認定に従う。各学生の支援区分の情報は機構システム(スカラAC)を通じて大学と連動し、確認することができる。
    • 機構の支援区分の決定は5月頃であるが、新入生の支援区分の確認は、大学に提出する認定申請書(A様式1「大学等における修学の支援に関する法律による授業料等減免の対象者の認定に関する申請書」)に添付する「採用候補者決定通知(内定)」の写しによる。同通知は、12月末までに機構→高校→予約採用候補者(生徒)が受領するものである。
    • 【ケース別の実施スケジュールについて】
      • 減免実施にあたっては、以下の4区分毎にスケジュールが異なる。
        • 新入生の予約採用者の場合
        • 在学採用者の場合
        • 在学生の在学予約採用者の場合(初年度である2020年度採用者のみ)
        • 秋入学生(9月入学者(予約採用)の場合)
    • 【減免対象者の管理簿】
      • 作成例を参考に各大学での作成・管理が必要。(資料P.38参照)
    • 【様式(雛形)一覧】
      • A様式(減免対象者の認定等に関すること)
      • B様式(減免交付金の交付に関すること)
      • 2つの区分で構成されるので、適宜使用する必要がある。なお、A様式は各大学で様式を定めること。B様式は最終的に交付要綱で提示するので、変更があり得る。(授業料減免事業費負担金(授業料等減免交付金※)に係る交付要綱の周知時期は2020年3月頃の予定。※補助金
  2. 学修意欲等の確認について
    • 【学修計画書について】
      • 学修計画書について様式例を提示する。
        • 各大学で同様に定める様式等が既にある場合、そちらを使用しても構わない。ただし、様式例で示した以下の区分は最低限含むものとする。
        • 学修の目的(将来の展望を含む。)
        • 学修の計画
        • 卒業までに学びを継続・全うすることの意思確認
      • 以上の内容を踏まえ、「総合判定結果」にて教職員が「在学中の学習意欲等の有無」を判定すること。判定に当たっては、結果の妥当性、適切性、委員会等での機関決定などに留意すること。
  3. 学生等に対する新制度の周知について
    • 【在学生への新制度申込みについて】
      • 修学支援新制度の資料として、学生等向けリーフレット及び文部科学省の特設ホームページ等で周知を図っているので、学生・保護者への情報提供に御活用いただきたい。
      • 新制度では家計状況で採否が決まるため、日本学生支援機構の進学資金シミュレーター活用についても、併せて周知を図っていただきたい。
  4. その他
    • 新制度に関する問い合わせに係る取扱い
      • 授業料等減免の事務処理、又は学修意欲等の確認の手引きに関することは、文部科学省学生・留学生課高等教育修学支援準備室が問い合わせ先となる。問い合わせ方法はメールのみなので、注意すること。

事務取扱要領(案)に基づいた説明でしたが、給付は日本学生支援機構、減免は文部科学省で説明会をそれぞれ行っていたため、大学等が制度の詳細を理解する上では日本学生支援機構文部科学省が合同で説明会を開催すべきだったのではないかと思います。また、事務手続の面で未確定事項があるため、必ずしも明確な説明が行われないなどの問題点があったように思います。

質疑応答

  1. 各様式について
    • A様式の改変は行っても差し支えないか。
      • 各様式で定められた項目は様式から削除してはならないが、追加を行う分には各大学で行ってよい。
    • 「資産に関する基準」について、「申請者の自己申告による」とあるが、様式はあるのか。
      • A様式1の別紙1に「資産の申告」という項目がある。同書類は日本学生支援機構宛となる。また、現時点では自己申告としているが、不正防止の観点から今後変更になる可能性がある。
    • 予約採用候補者に係るA様式1の認定申請書の提出について、入学手続き時ではなく入学選抜時に提出させることは可能か。
      • 入学選抜時に提出を要する正当な事由について説明が困難と思われる。入学手続き時が妥当と思われる。
    • 予約採用候補者に係るA様式1の認定申請書について、入学手続き時に提出させる場合、他の学校との重複申請しない旨の注記はあるものの、実際には併願している複数校に提出することはあり得るのではないか。
      • 当該学生が複数の学校から減免を受けることは制度上発生しないが、複数の学校に認定申請書を提出する可能性は否めない。今後、併願している複数校への提出を回避できる運用を検討したいと考えているが、現状は無い。
  2. 私立大学等経常費補助金との関係について
    • 従前は経常費補助金での授業料減免制度があり、減免額の2分の1が補助されていた。今般の新制度創設に伴い、制度の取扱いはどうなるのか。
      • 概算要求にて財務省と協議中である。新制度の創設に伴い、従前の制度は学部生への拡充は見込めないと思われる。詳細は文部科学省私学助成課に問い合わせいただきたい。
  3. 学修計画書について
    • 学生から学修計画書が提出され、教職員が内容を確認して「学習継続の意思が無い」と判断し、基準を満たさなくなることを想定しているか。
      • そういったこともあり得ると想定している。
  4. 認定の取り消し・ペナルティ等について
    • 減免等が取り消された場合の返還については、個別の振込か、10月又は3月の支払時での調整のいずれか。
      • 現時点では10月又は3月に文部科学省から各大学への振込を行う際に調整することで検討している。
    • 成績判定の結果、前期で進級不可が判明した場合の取扱いはどうなるか。
      • 後期から対象外となる。
    • 在留資格「定住者」の者が、退学した後に帰国した場合、返還のペナルティは生じるか。
      • 個別ケースだが、返還を求められることは原則無いと考える。
  5. 授業料減免規程の作成例について
    • 修学支援新制度の創設に伴い、授業料減免の根拠となる規程を各大学で定めなければならないと想定しているが、文部科学省として作成例を示す予定はあるのか。
      • 御指摘のとおり、各大学で減免の根拠となる規程は制定いただきたい。文部科学省として作成例を示す予定は現時点では無い。
  6. 入学金、前期授業料の徴収猶予・還付について
    • 徴収猶予について、授業料等減免の上限額を超えた分についても猶予を要望しているのか。(第Ⅱ区分、第Ⅲ区分のため減免が上限以下の場合も含む)
      • Q&Aにもあるとおり、あくまでも大学の裁量によるが、減免対象が決定するまでは全ての対象者について一旦全額の猶予措置を要望している。また、各大学の猶予の有無については、高校からの問い合わせも多く、文科省にて各大学に徴収猶予か還付かについて状況を確認し、公開することも検討している。
    • 推薦・AO・一般入試等、入試区分によって徴収猶予・還付を決めてもよいか。
      • 入試区分によって明らかに不利益とならないのであれば区分毎に決めることは可能である。

全ての質疑応答を記録した訳ではないので、他の大学職員ブロガーにも説明会の参加記録を共有してもらえたらと思います。
shinnji28.hatenablog.com


なお、「大学職員の書き散らかしBLOG」では、修学支援新制度についてこれまでも各種記事を公開しているので、参考にされると良いです。
kakichirashi.hatenadiary.jp

配付資料

  • 配付資料は以下のとおり。確認大学等に文科省からメール配信。
    • 資料1 大学等における修学の支援に関する法律に基づく授業料等減免事務処理要領(案)
    • 資料2 学修意欲等の確認の手引き(大学等向け)の概要(案)
    • 資料3 広報・周知について
    • 参考資料1 問合せ窓口について
    • 参考資料2 Q&A(令和元年9月24日版)
    • 参考資料3 新制度リーフレット

配付資料は確認大学等にメールで事前配信されましたが、特に今回のような新制度の場合、各大学で学内的な事務取扱などを議論するので、文部科学省WEBサイトに掲載して広く閲覧できるようにすべきだと思います。
10月から制度が開始した幼児教育無償化のケースですが、最近中央省庁が実施する施策は内閣官房に置かれる会議が主導して素案・スケジュールを提示し、そこから各省庁に下ろすやり方が多いです。そのためなのか、制度の作動を考慮していないと思われるような事態が発生しており現場での混乱が生じています。

www.shinmai.co.jp

www.sangiin.go.jp
西山文代(内閣委員会調査室)【立法と調査】「幼児教育・保育の無償化に向けた法整備―子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案の成立―」2019. 7 No. 414 参議院常任委員会調査室・特別調査室

新たな修学支援新制度では、確認を受けた大学等が何らかの事由で確認を取り消された場合、その時点で給付及び減免対象に大学等が認定した学生の給付及び減免に掛かる経費は大学等自ら負担することが義務付けられています。*1 *2
各大学等でも制度が作動するかどうかを検証し、疑問点がある場合は取扱いを文部科学省に照会して、適切な事務処理を行うことが必要だと思います。

*1:第十六条 前条第一項の規定により確認が取り消された場合又は確認大学等の設置者が当該確認大学等に係る確認を辞退した場合において、その取消し又は辞退の際、当該確認大学等に授業料等減免対象者が在学しているときは、その者に係る授業料等減免については、当該確認を取り消された大学等又は確認を辞退した大学等を確認大学等とみなして、この法律の規定を適用する。ただし、同項第二号若しくは第三号に掲げる事由に該当して同項の規定により確認が取り消された場合又はこれに準ずる場合として政令で定める場合における当該大学等に係る減免費用については、第十条及び第十一条の規定は、適用しない。 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/17/1417025_02_1.pdf

*2:さらっと法律に書いてありますが、私立大学の場合、私立大学等経常費補助金で申請内容に誤りがあった場合、該当する項目に係る金額を返還すれば良いですが、大学等修学支援法では給付及び減免の負担は大学自らが行う必要があるため、確認の取り消し又は辞退は経営上大きなダメージになり得ます。