Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

身延山大の評価保留、財務状況など問題視・大学基準協会

high190です。
大学全入時代に入り、大学の第三者評価というものが活発化しています。
これは文部科学省が認定した評価機関が大学の評価を行うものですが、今日はその評価についてのニュースです。

大学基準協会は29日、2006年度の大学認証評価の結果を発表した。評価を申請した公私立大47校のうち46校は教育の質などが協会の基準に適合していると判断。大幅な定員割れとなっている身延山大(山梨県身延町)は財務状況に問題があることを理由に判定を保留した。
評価結果によると、身延山大は入学定員の充足率が過去5年間の平均で63%。「健全な財政基盤が確立されているとは言えない」とた。
広報誌上で決算を公表する際に、誤って予算の数値を掲載するなど情報開示の問題点も指摘。同協会は、同大学を再判定するため、09年6月末までに改善内容を報告するよう求めた。

上記記事によると、財政基盤と内部統制の点について問題視されたようです。
しかし、「広報誌上で決算を公表する際に、誤って予算の数値を掲載する」というのはどういうことなのでしょうか?広報担当の部署が財務担当の部署への事前確認を行わずに発表したのか、それとも財務担当からの情報提供の際に問題があったのか・・・
どちらにせよ、身延山大が第三者評価によって大学の健全性を示すことを目的にしていたのならば、事前の目測に誤りがあったのではないでしょうか。これでは、健全ではないことを世に知らしめることにも繋がりかねません。
また、大学基準協会の姿勢にも疑問点があります。上記記事には「同協会は、同大学を再判定するため、09年6月末までに改善内容を報告するよう求めた。」とありますが、大学基準協会文部科学省から認められた第三者評価機関です。「評価」が主であって、「改善」を求めるところではないのではないでしょうか?
このような前例を作ってしまうと、第三者評価の社会的信用が失われてしまう可能性があると思います。大学の存続は重要ですが、評価機関は日本の高等教育に対する責任を負っており、今後第三者評価を受ける大学が増える中で、どのような舵取りをしていくのか見守り、評価内容の適合性について議論が進むことを期待します。