Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

淑徳大学のすごい修学支援戦略

high190です。
世界同時不況と言われるここ最近の経済事情。そのしわ寄せは既に大学にも押し寄せてきていて、ここ最近の大学関係ニュースをチェックしていると毎日のように「○○大学が緊急学生支援策を〜」という記事を目にします。それだけ、各大学で経済的事情による学籍異動者が出ていることの裏返しでもあるんじゃないかと個人的には推察します。

淑徳大学では、経済的事情によって進学・在学が困難になった受験生及び在学生に対して、学納金を免除する施策を打ち出しました。

千葉市の淑徳大(長谷川匡俊学長)は、保護者の失職など経済的事情で進学や在学が困難になった受験生や在学生に対し、入学金や学費を含む納付金を全額または半額免除すると発表した。日本私立大学協会は「全額免除は聞いたことがない。過去にも例がないのでは」としている。
対象は経済的理由で大学進学が難しくなった受験生30〜60人と、中退せざるを得ない在学生30〜50人。大学側が困窮度合いを判断し、最大で初年度納付金の全額140万円を免除する。在学中に経済状況が改善しない場合、翌年も申請可能で、期間は最長で4年間。
淑徳大では08年9月ごろから、学生や保護者から「学費を稼ぐのが難しくなった」「給料が激減し学費が支払えない」といった相談が急増。受験生の保護者からも奨学金の問い合わせが相次いだ。
期間は09年4月から4年間、予算は年間約1億円。問い合わせは淑徳大入試課(043・265・6881)。【斎藤有香】

個人的には私学経営が厳しい世の中で、年間1億円もの予算を組めるというのはすごいことだと思います。ちなみに昨今の大学における資産運用の損失計上・含み損に関して淑徳さんは報道がないんですが、それだけ健全な経営状況であるということなんでしょうね。これは大学のみに関わらず企業経営においても言えることだと思いますが、不況時においてどれだけゆとりのある経営(=キャッシュフローが潤沢)ができるかどうかで、その事業体の健全性が一目瞭然になります。
好景気時には見えにくい部分ですが、不景気になった瞬間にこうした差になってあらわれてくるのです。
また、こうした施策の背景には「大学は公的な機関であり、社会の教育の一翼を担っている」という自負心の表れでもあると私は考えます。もちろん、各学校法人によって財務状況にも違いがありますし、取れる施策にも差があるでしょうが、教育機関としてのこうした自負も重要なんじゃないかと思いますね。

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