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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

駒澤大学がデリバティブ損失の責任を求め、BNPパリバ証券を提訴

high190です。
2008年の9月に起こったリーマンショックの影響の余波が、大学にも及んだことは記憶に新しいところです。様々な大学が資産運用の含み損を計上したというニュースが報道されたと思います。*1 *2 *3
こうした一連の資産運用を巡る取引について、駒澤大学が証券会社を提訴したという報道がありました。


資産運用のデリバティブ金融派生商品)取引で多額の損失が生じたのは、証券会社による違法な勧誘が原因だとして、駒沢大学がBNPパリバ証券を相手取り、84億3150万円の損害賠償の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こしたことが分かった。25日の第1回口頭弁論で、同証券側は請求棄却を求めた。
訴状によると、駒沢大は2007年7月、同証券と米ドルなどの為替デリバティブ取引を開始。リーマン・ショックで損失が大きく膨らみ、08年11月に取引を終了したが、損失は76億6500万円に上った。
大学側は「国からの補助金に頼る学校法人の資金運用は、保守的で堅実な投資が対象だ」とした上で、同証券について「顧客の意向に反して過大なリスクのある取引を積極的に勧めた。数値の設定にも合理性がなく、取引は無効」と主張している。駒沢大の損失は154億円に上り、今回の請求はその一部。

リーマン・ショックの際には、多くの大学・学校法人において損失が出たことを記憶していますが、駒澤大学が訴訟に踏み切った理由が知りたいところです。この報道に対しては様々な見方があると思いますが、訴訟に至った経緯等については以下の記事が参考になるかと思います。



“公金”の運用管理者としての資質を疑うような学校法人資産運用の事例は他にもたくさんある。今回の駒澤大学の賠償請求のニュースは一方で、もはや学校法人側の運用知識、経験の未熟さを言い訳にできない“公金”の運用管理者としての重責を負っていることをそろそろ自覚して対応すべきというメッセージを我々に発しているのである。

学校法人の資産運用を巡っては、リーマン・ショック前にもデリバティブ取引などが増えてきているとのニュースもありましたが、*4 *5特に「公金」の素人運用は許されなくなるという点については大いに同意したいところです。以前から日本の大学のファイナンシャル・リテラシーの低さを指摘する声があったこと、しかしながら私立大学における資産運用の重要性は高まっていることを考えると、高い運用成績を挙げられる人材をどうやって獲得するか?ということになると思います。資産運用に関する能力はSDでは開発できないと思われますので、外部人材を活用することになるでしょう。
先日公表された文部科学省の大学改革実行プランの中にも、教学・経営の両面から私立大学の質保証を徹底するとありますので、非営利組織である大学の資産運用を担当するに相応しいファンド・マネジャーを連れてこられるかどうかも重要ポイントです。

*1:駒澤大学が資産運用損失を154億円計上。何故こうなってしまったのか? http://d.hatena.ne.jp/high190/20081119

*2:駒澤大学に続き、立正大学も金融取引で148億円の含み損を抱える http://d.hatena.ne.jp/high190/20081121

*3:大阪産業大学がデリバリティブ取引で評価損を計上 http://d.hatena.ne.jp/high190/20090119

*4:資金調達力の違いは大学職員の能力によるのか? http://d.hatena.ne.jp/high190/20080109

*5:資産運用が加速する日本の大学 http://d.hatena.ne.jp/high190/20080131