Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

Times Higher Educationが開学50年未満の新興大学ランキングを公表。日本からは筑波大学がランクイン

high190です。
世界大学ランキングで知られるイギリスのTimes Higher Educationが、開学50年未満の大学を対象とした「世界の新興大学ランキング」を公表し、日本からは筑波大学がランクインしたとの報道がありました。アジアからは16校がランクインし、躍進を示す結果となったようです。


英教育専門誌、タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)は31日、開学から50年未満の大学のみを調査対象とした「世界の新興大学ランキング」を発表した。
上位5校のうち3校を韓国と香港が占めるなど、東アジア勢への高評価が目立った。日本からは筑波大(39位)が唯一、上位100校に入った。
このランキングは、毎年「世界大学ランキング」を発表している同誌による初の試み。研究論文の引用回数や留学生の数など、13の要素を基に評価した。1位は韓国の浦項工科大、3位は香港の香港科技大だった。
日本については、伝統ある大学が国際的な競争力維持に苦しんでいると指摘。筑波大のランクインは「日本を勇気づけるものだ」としている。

この調査は今回が初の試みとのことですが、特に20位以内に東アジアから6校がランクインするなど、アジア諸国の大学が高い評価を受けています。全体のランキングで見ても16校がランクインし、そのうち台湾から5校、香港から4校が名を連ねています。近年アジア諸国が海外大学の分校を誘致するなど、高等教育の振興に力を入れていることを踏まえて考えると、日本の大学が1校しかランクインできなかったのは重く受け止めなくてはいけないように感じます。*1 *2 *3

詳細なランク表は次のURLから確認することができます。筑波大学は授業、論文引用などの面が評価されたようです。

ちなみに、日本国内で50年間の間に設立された大学がどのぐらいあるのか興味があったので、最新の文部科学統計要覧から調べてみることにしました。最新の平成23年度版は、昭和30年から平成22年までのデータが掲載されており、昭和35(1960)年を起点にして平成22(2010)年までの間に国公私立あわせて533校あることが分かります。*4
日本国内の大学をめぐる話題ももちろん大切ですが、世界を隣り合わせにしているという基本的な事実も忘れたくないですね。

*1:イェール大学シンガポール校の開設に向けた準備が進行中 http://d.hatena.ne.jp/high190/20100929

*2:マレーシアが北京大、清華大の分校誘致に向けた準備を進めている http://d.hatena.ne.jp/high190/20100929

*3:韓国も海外大学の分校を誘致。アジアの大学で加速する国際化戦略 http://d.hatena.ne.jp/high190/20101216

*4:文部科学統計要覧(平成23年版) http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/002/002b/1305705.htm