Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

文部科学省の言うところの「慎重な金融取引」って何だろう

high190です。
昨今の金融危機により、金融取引で多額の損失・含み損を出した学校法人が公表されていますが、この問題に対して文部科学省は安易に金融商品を購入・保持しないように注意を呼びかける通知を出したそうです。


金融取引により多額の損失を出したり含み損を抱えたりする大学が相次いでいる問題で、文部科学省は6日、安易に金融商品に手を出さないよう注意を呼びかける通知を全国の私立大や短大に出した。私学の財務については、文科省は原則的に各学校法人に任せており、財務に踏み込んだ通知は異例という。
文科省では各学長や公認会計士有識者30人で組織する学校法人運営調査委員会で昨年4月以降、私立大の資産運用を調査。今年度の調査対象となった53法人のうち、複数の大学でリスクの高いデリバティブ金融派生商品)取引を行っている実態を把握した。さらに11月中旬以降、駒沢大154億円、南山学園34億円など、デリバティブ取引による損失が明るみに出る大学が続いたため、通知が必要と判断した。
通知では「学校運営は、学生らの納付金、寄付、国の補助金によって支えられている」として、金融取引への慎重な判断を要請。駒沢大などでは理事会のチェック機能が働いていなかったため、投資全般に関して意思決定の手続きや責任の所在を明確化するよう求めた。
私大の資産運用を規制する法律や通達はないが、文科省では「世界的な金融危機で私学経営を取り巻く状況が劇的に変わったため、見過ごせなくなった」と説明している。

ここで文部科学省が言うところの「慎重な金融取引」って何なんでしょうね?
安定性の高いものに投資しろということなのか、それとも慎重に調査・検討した上で投資しろということなのか。

投資全般の意思決定手続き・責任の所在の明確化と、確かに聞くともっともらしいですが、どうなんだろう?
問題は学校法人の経営に携わる人々のファイナンシャルリテラシーが低いということで、これはむしろ自然発生的に学校法人側が自己調整をしてファイナンシャルリテラシーを高めていけばいいんじゃないかと思うんですよね。

ということで、文部科学省が言うところの慎重な金融取引を大学側に求めても、あんまり意味はないんじゃないかと思います。むしろ、財務のプロを職員から育てようとする大学には一定の補助金出すとか研修プログラムを準備するとかの方がより効果的だと思うのですが。

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