Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

神奈川歯科大学が資産運用で52億円を損失計上。投資ファンドの告訴も検討

high190です。
資産運用の損失に関するニュースが今年度は相次いでいますが、またひとつ新たなニュースが入ってきました。


学校法人神奈川歯科大(神奈川県横須賀市)が投資ファンドで運用した約66億円のうち約52億円を損失計上していることが7日、大学側への取材で分かった。大学側は、ファンドが無断解散するなどずさんな運用があったとして、投資会社などの告訴を検討している。
大学側によると、運用は2005年開始。損失は最終的に60億円を超える可能性があるという。この問題を受け6月末、理事8人が引責辞任。外部調査委員会で運用の経緯や投資にかかわった理事の責任について調査しており、調査結果を踏まえ、告訴の対象や容疑を検討する方針。
大学側によると、「減価償却引当特定資産」を原資に東京、横浜、シンガポールの3つの投資会社を通じて計約66億円を運用したが、ファンドが無断で解散するなど不自然な実態が判明。運用は財務担当理事ら一部の理事が主導していた。ほかの運用損も含めると、07、08年度で損失は計約88億円に上るという。

他の大学の例と違うのは、「投資ファンドが無断解散した」という点です。このことを踏まえて、理事会で理事の入れ替えと告訴の検討に入ったということのようです。具体的なファンド名は挙げられていませんが、無断で解散したというのであれば告訴対象にもなりうる重大な問題になります。ちなみに「運用は財務担当理事ら一部の理事が主導」とありますが、投資に関する理事会全体の見解としてはどうだったのでしょうか。理事会としてのコンセンサスが得られないまま、60億円近くを資産運用していたのであれば、理事会の体質も問題になってきます。
多額の資産を運用するにあたっては、理事会内にも資産運用のスペシャリストをオブザーバーとして招くなど、意思決定に至るまでに理事会として十分な検討を行ったうえで実施する必要があります。とは言えども、理事会にどういった人材を招くかを決めるのは理事会。学校法人の経営マネジメント層の人々にファイナンシャルリテラシーをつけてもらうか、外部人材の登用を提言するか、いずれかの手段が考えられますが、その他には何か良策はないでしょうか。

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