Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

外部資金を積極的に活用するための学内組織設立

high190です。
大学に対する公的支出は毎年減少しています。各大学が自助努力で自立的な運営を行える体制を整備することが必要になってきていますので、どの大学も補助金や外部資金の獲得を目指し、積極的に動いています。ちなみにこんなエントリもありました。

日本の大学の場合、学納金収入が柱で寄附収入が少ないのが特徴的です。これは文化的な相違もあるのかと思いますが、学納金のみにとどまらない新たな収益構造を作る必要性があるのは確かです。今日は外部資金で研究と産学連携を進める福島大学会津大学の事例をご紹介します。

法人化で経営手腕が問われるようになった国公立大学で、外部資金で研究を進める新組織の設立が相次いでいる。
会津大は1日、社会のニーズに応えた研究を推進するためとして「先端情報科学研究センター」(CAIST<カイスト>)を設立。研究テーマの第1弾として、宇宙情報科学分野のチームが発足した。
同チームは宇宙航空研究開発機構JAXA)など外部から新しく3人を准教授として迎え、30代の若手研究者を中心とする6人で、月の表面のデータ解析などの研究を進める。大学からは特別な予算はつかないため、国のプロジェクトから外部資金獲得や、企業との共同研究を目指す。
これまで純粋な学問研究に偏りがちだった大学だが、先端情報科学研究センターでは社会的要請のあるテーマに力を入れ、産学連携を図る。同大は「衛星一つ飛ばすのでも様々な分野の技術が結集しており、マネジメントが必要。大学は研究中心で来たが、マネジメント能力のある研究者を養成する機会にもしたい」と話している。
福島大でも昨年、他大学や官公庁、研究機関など外部と共同で研究をするための「プロジェクト研究所」制度を開始。これまでに「地域ブランド戦略研究所」など4チームが出そろった。
大学が用意する資金は立ち上げ時の1チーム70万円に限られるため今後、外部資金の獲得を目指す。同大は「地域の課題解決などで新しい研究を推進するきっかけにし、大学のPRにつなげたい」としている。

マネジメント能力のある研究者の養成もひとつの目的だとする会津大学のCAIST。研究も大学や国の補助に頼るのではなく、自立的な運営に移行する上でもマネジメント能力が必要だということです。ちなみに外部資金を獲得するには早い時期から準備しておくことが重要だったりします。前年度の募集概要をベースに叩き台を作って、微妙な修正をして応募するなんていう準備が必要です。
外部資金のノウハウを持った人材を登用し、ノウハウを蓄積していくことが成功への近道だと思います。

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