Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

奨学金の返還問題

high190です。
日本学生支援機構奨学金の返還率が低い問題について、滞納者対策として住民票の提出を義務化したというニュース。

大学生らに奨学金を貸している「日本学生支援機構」(本部・横浜市)は、来年3月以降に受け取り期間が終わる貸与者に住民票の提出を義務付けることを決めた。返還を滞納している人の住所がわからず、督促が難しいケースが目立つことへの対策だ。機構は06年度、1年以上の滞納者に、民事手続きへ移るという「予告書」を約1万件送ったが、3割が先方に届かず、機構に送り返されていた。
1年以上の「長期」滞納者は3月末時点で約13万8000人、延滞債権額は約557億円に上る。返還された奨学金は現在の大学生らに貸す奨学金の原資になるが、延滞債権額が増え続ければ、貸与人数を抑えるなど事業を縮小せざるを得なくなるおそれもあるという。
延滞債権額の増加に悩む機構は、1年以上返還を滞り、再三の督促に応じない人に対し、民事手続きに基づく「支払い督促の申し立て」の予告を積極的に実施し始めた。期限を指定して予告し、過ぎた場合は裁判所に申し立て、最終的に強制執行に移る――という措置で、06年度に実施した予告は前年度の2倍超の1万498件に達した。
ところが、06年5月に配達証明付きで予告書を送ったものの、3201件が先方に届かずに機構に送り返され、1194件は、届いても応答がなかったという。これらのケースは実際に本人が送り先の住所に住んでいるか不明とみなされ、「住所調査が必要」と分類された。支払いを促そうにも、「空振り」に終わった形だ。
機構は役場への照会などで住所を調べ、今年3月末時点で不明分を141件に減らした。だが、この141件の対象者に、通常の督促状が届かない人などを加えると、1年以上の延滞者で機構が現住所を把握していない人は同時点で6165人に上ることもわかった。
機構は返還誓約書に住所を書いてもらい、転居時には届け出も求めている。だが、最長20年と返還期間が長く、届け出を怠る人もいるため、現住所の把握が難しくなっているという。連帯保証人らが不要な機関保証を04年度に導入したため、さらに現住所の把握が難しくなると判断。来年3月以降に貸与期間が満期を迎える人を対象に、返還誓約書の提出時に住民票の写しを添付してもらうようにした。
そうすれば提出時の住所が住民票に登録されていることを確認でき、転居後も役場に照会することで、現住所を把握しやすくなるという。ただ、この場合も本人が転居届を役場に出していることが条件だ。
1年以上の延滞者は原則的に口座引き落としが停止され、払込用紙も郵送で届けられる。延滞金(利息付きの奨学金の場合、年に10%)も生じるため、機構は「文書が届かなければ、本人にも不利益が生じる。転居時の届け出を、最低限お願いしたい」と呼び掛けている。

やはり奨学金の返還というのは、制度の永続性を考えても死活問題です。何かこう、借りる人に返してもらいやすいような取り組みも必要なのかも知れませんね。(例えば対象者に奨学金事業の現状を知らせるペーパーを送るとか、メルマガを発行するとか)また、貸与を希望する学生に対して大学でもしっかりとした指導が必要になると思います。事務手続きだけを行うのではなくて、教育の一環として大学が関わっていくということも今後の奨学金事業のあり方として必要ではないでしょうか。

にほんブログ村 教育ブログ 大学教育へ