Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

JR東が東京駅前に高層ビル、大学も拠点設置、官民協力探る

high190です。
既に各種メディアで取り上げられていますが、東京駅前に大学が多数入居予定の高層ビルが建ちます。

JR東日本は8日、東京駅日本橋口に完成した高層ビル「サピアタワー」を報道陣に公開した。地上35階、地下4階のビルにはオフィスやホテルが順次入り、北大、東北大、京大、関西大なども拠点を置く。5月7日にオープンする。東京駅再開発の第1弾で、今後は高層ビル2棟の建設や、重要文化財に指定された駅舎の復元などが2013年まで続く。

サピアタワーは高さ約170メートル、改札口から徒歩1分程度。一般企業のほか、10校を超える大学が企業や官庁との協力拠点、大学院、研究室などを設ける。最大500人を収容できるホールや、1時間3000円のレンタルオフィスもつくった。防犯のため、電子マネー機能付きのICカード「Suica(スイカ)」のシステムを館内の出入りの管理に採用した。

27階から上の階にはJR東日本グループの「ホテルメトロポリタン丸の内」が入り、5月24日にオープン。客室からは東京駅を見下ろすことができ、JR東日本はビジネス客はじめ、鉄道ファンの利用も期待している。

今のところ、拠点を置く大学は「北大、東北大、京大、関西大」であると報道されています。(立命館大学も進出予定です)
東京駅前という抜群のロケーションで各大学が凌ぎを削るということは、丸の内で仕事をしているビジネスマンにとっても魅力的かも知れません。

■ システム
サテライトキャンパスとは、もともと大学キャンパスから離れたところに設置される「分校」のことですが、最近では、都市の周辺部にキャンパスをもつ大学が交通の至便な都心部にいわば「出張教室」を設定して、講義を行うケースが増えています。
東京、大阪、名古屋などの大都市圏では、大学キャンパスのドーナツ化減少が進行しており、都心からかなり離れたキャンパスも少なくありません。そこで、たとえば東京、大阪、名古屋といった大都市交通の要所、またはビジネス街などに教室を設置して、特にビジネスマンなど社会人に向けて門戸を開放しようというわけです。
講義内容、カリキュラムなどは、大学によって千差万別ですが、主に社会人学生に向けて「正規の授業」を行う場合と、学籍を持たない一般聴講生に向けた「公開講座」を行う場合に大きく分けられます。

■ 特徴と魅力
サテライトキャンパスの特徴であり、いちばんのメリットはいうまでもなく、交通の便がよい、という点です。たとえば、勤務の帰りに講義を受け、帰りの電車でその日の講義を復習すれば、勤務を続けながら効率よく大学で学ぶことが可能となるでしょう。もちろん、講義や指導は通常の通学コースと同じく、大学の教員によって行われるので、質・密度の高い大学の授業が便利な環境で受講できるというわけです。
また、正規の授業科目として開講されている場合には、必要科目を履修することで大学卒業の資格も得られます。

■ 実施状況と展望
サテライトキャンパスにおいて、正規(大学講義と同一)の授業を行っている大学数は【表7−1】の通りです。従来、「公開講座」の形式が中心でしたが、履修科目ごとに大学の単位を認める「エクステンションカレッジ」として開講する大学も現れています。本格的な受講システムを作って、サテライトキャンパスにおける授業で大学卒業資格を発行する大学も、着々と増えています。
また最近では、インターネット、衛星放送などの情報ネットワークによって、本部キャンパスと結びつけられ、本部キャンパスの生の授業をサテライトキャンパスで受講できる大学も増えつつあるようです。

また、一連の進出に関連して、各大学の共同研究等も盛んに行われると面白いのではないかと思います。このblogで何回か取り上げている産学連携や寄附講座の設置という点においても、地方大学にとって東京に拠点を設ける意義は大きいのではないでしょうか。
東京は政治・経済の中枢ですので、企業との接点を持つ意味でも効果は大きいと思われます。