Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

中央三井信託銀行が青山学院大学に知財信託講座を開設、東大がNECに研究室、出向いて産学連携

high190です。
青山学院大学中央三井信託銀行が知的財産講座を開設します
信託銀行ならではのカリキュラムを編成した講座になるようです。

中央三井信託銀行は5日、青山学院大学大学院法学研究科ビジネス法務専攻に寄付講座「中央三井信託銀行知財信託講座」を07年度から設置すると発表した。知財ファイナンスに係わる人材の育成を支援する。
同講座は、知的財産権の信託をコアとするビジネス・モデルの設計や、ファイナンス・スキームの比較研究を行うほか、知財リスクの評価手法に関する事例研究を行う。
期間は07年度から08年度までの2年間。07年度は後期(9月下旬から11月上旬)に7回の講義・演習を予定している。

モデル設計・比較研究・事例研究といったフレームワークは、寄附講座でよく取り入れられる方法ですね。法務担当は、大組織であれば必ず必要な部門です。(逆に小さい組織の場合、弁護士事務所にアウトソースしていることが多いように思います)
知的財産は企業にとって、極めて重要な資産となりますので、事例を踏まえた実践的能力が求められます。今後、戦略的に知的財産を活用する企業はますます増えるでしょうから、モデル設計ができる人材の育成は欠かせないニーズがあると思います。

NECと東京大学は7日、研究室を共同運営する方式で情報通信分野の研究を始める。東大がNECの筑波研究所(基礎・環境研究所)内に研究室を設置する。これまでの産学連携は大学の研究室に企業の研究者が参加するのが一般的だった。新方式で研究者の交流を深め、共同研究の内容を充実させることを狙う。

NEC内に研究室を設置するのは、東大が昨年10月に設立した産学連携研究拠点「ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構」。同機構には、大学院工学系研究科や情報理工学系研究科、生産技術研究所などに所属する東大の研究者が部局の枠を超えて加わっている。企業側からはNEC、シャープ、日立製作所富士通研究所の4社がそれぞれの研究テーマを抱えて参加している。

これはちょっと変わった取り組みだと思いましたので紹介させていただきます。
通常、産学連携が行われる場合、フィールドは大学です。しかし、東大とNECの提携では、NECの研究所内に東大が研究室を設置するというものです。新しい方式にすることで、研究者の交流及び共同研究を充実させるとありますが、両者はどのようにシミュレーションしてこの決定に至ったのでしょうね。やり方を変えることによって、新しいものを生み出そうという取り組みは今まで大学ではあまり見られなかったことのように思います。これも東大改革の一環なのでしょうか。
この提携によって生み出される成果がどのように結実するか、見ものです。