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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

国立大学法人佐賀大学と佐賀県立有田窯業大学校が統合に向けた基本合意書を締結

Diary Staff Development Unique

high190です。
少し前のニュースですが、佐賀県が設置する専修学校の県立有田窯業大学校を国立大学佐賀大学に移管することで県と大学が基本合意書を取り交わしたことが話題になりました。
つい先日、国立大学改革プランが発表され、*12016年度からの第3期中期目標期間では「持続的な“競争力”を持ち、高い付加価値を生み出す国立大学へ」とのスローガンが掲げられていますが、佐賀大学の取り組みは既存の学校種との統合によって機能強化を図る事例になると思いますので、ここでご紹介したいと思います。国立大学改革プランについては、とてもよくまとめられたブログ記事がありますので、是非こちらも参照してみて下さい。*2


佐賀大学は県立有田窯業大学校(西松浦郡有田町)の施設と職人育成の役割を引き受ける形で、学士号を取得できる窯業中心の新しい学部か学科を有田キャンパスとして創設する。15日、事実上の統合に向けた基本合意書を締結。開設は、最短で有田焼創業400年の2016年を目指す。県立の専修学校国立大学法人に移管する取り組みは全国でも例がないという。
有田窯業大学校は1928年、陶磁器の職人養成を目的に全国唯一の県立専修学校として開校。4年制と2年制の専門課程、1年間の一般課程と短期研修(週1回)がある。地元窯業界では4年制大学化を望む声が強く、近年は定員割れも続いていたことから、県は単独で県立大学にする道も探ったが、語学や一般教養の教師確保などが壁となり、断念した経緯がある。
2011年の法改正で、自治体から国立大学法人への寄付が可能になり、県は今年7月、佐賀大に統合を提案。全国的に前例がないため、文部科学省に制度的な課題を確認しながら、地元の理解も得て基本合意を締結した。最短で来年7月に新学部、学科の募集要項を公表し、15年5月までに学部や学科の新設を認可する文科省に申請する。
佐賀大には文化教育学部美術工芸課程に窯芸を学ぶコースがあるが、有田キャンパスでは磁器の元素分析など工学系の要素やマーケティング、デザインなど学際的に窯業を学べるカリキュラムを組むとしている。1学年の定員は窯業大学校の4年制課程の10人以上をめどにする。窯業界から要望のある職人育成の役割を担っている窯業大学校の2年制や一般課程についても、社会人向け公開講座など何らかの形で引き継ぐ。
窯業大学校の施設を佐賀大に譲渡するか、貸与するかや、現在の学生を編入させるかなど、具体的な検討はこれから。基本合意書を交わした古川康知事は「有田の産地にとっても、佐賀大にとってもプラスだ。生まれ育ちの違うものが一緒になる苦しみはあるが、多くの人に必要とされる学部、学科ができると信じている」と期待。佛淵孝夫学長は「もっと焼き物に関与してほしいという声が多方面から寄せられていた。陶磁器の国際的拠点に育てたい」と意気込みを示した。

基本合意書締結式の様子は佐賀県庁知事室のWEBサイトを通じて、YouTubeに公開されていますので、ご確認下さい。*3(ちなみに動画をブログに埋め込もうとしたら、埋め込み不可に・・・セキュリティ管理のためだと思いますがちょっとその辺が残念)

今回の基本合意書の締結のきっかけとなった法律改正は、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の一部改正が2011年に行われたことによります。改正の趣旨は「地域の自主性及び自立性を高める改革を推進するため、地方公共団体の国等(国立大学法人等を含む。)への寄附金等の支出について、法律による原則禁止を改め、地方公共団体の自主的な判断に委ねることとするものです。」との説明がなされている通りですが、*4上記記事でも指摘されている通り、全国的にも事例が無いことですので、寄付の対象に県が設置する専修学校を含めるという解釈に至るまでは、かなり調整が必要だったのでは無いかと思います。

上記の事務連絡には、総務省自治財政局財務調査課に国等への寄附に関する相談窓口を設け、国等からの寄附に関する行為等について地方公共団体の相談を受ける体制を整備したことが記載されています。*5専修学校が寄付の要件に適うか否かについては、総務省文部科学省佐賀県並びに佐賀大学が伺いを立てて、相互に進捗状況を確認しながら進めていたのではないかと推察しますが、事務職員の高い調整能力と政策立案力が無ければ、今回の統合に持っていくことは難しかったのではないでしょうか。前例がないことをやるのは組織内外で多くの調整を要することから、なかなか手を付けにくい面があると思いますが、新しい方向性を示した佐賀県佐賀大学の積極的な取り組みは賞賛に値すると私は思います。
ちょっと逸れますが、今年の9月に開催された大学行政管理学会の研究集会では佐賀大学の佛淵学長による基調講演にて、*6業務効率化やIRの取り組みなどに職員が活躍しているお話を伺いました。あの講演で伺った内容を踏まえると、佐賀大学の職員なら前例がなくても前に進める力があるだろうと感じます。やはり大学改革のエンジンには大学職員の力が不可欠です。

*1:国立大学改革プラン http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/11/__icsFiles/afieldfile/2013/11/26/1341852_01_4.pdf

*2:大学職員の書き散らかしBLOG「国立大学改革プランに思う〜質の低い効果想定〜」 http://kakichirashi.hatenadiary.jp/entries/2013/11/28

*3:佐賀県佐賀大学との連携に関する基本合意書締結式 http://www.youtube.com/watch?v=WUiytnNcSto

*4:地方公共団体の財政の健全化に関する法律の一部改正について http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/08012110.htm

*5:地方公共団体の国等に対する寄附を原則制限していた規定の廃止について(総務省自治財政局) http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/kenzenka/kifusoudan.html

*6:平成25年度第17回大学行政管理学会定期総会・研究集会に参加しました http://d.hatena.ne.jp/high190/20130909/