Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

定員超過の国立大学は、超過分の授業料を没収

high190です。
この時期、入試合格者の歩留まりについて各大学の入試担当者は頭を悩ませている時期ではないでしょうか。私立大学の場合、定員から一定割合の入学者増減があると補助金が減額されるという措置があります。大学にとって入学定員の適正化は極めて重大な問題です。
これは独立行政法人化した国立大学にとっても例外ではなく、文部科学省は来年度から入学定員を大幅に上回った国立大学に対して、定員から超過した分の授業料は没収するという制度をスタートさせるようです。

文部科学省は新年度から、入学定員を大幅に上回った国立大について、設定した超過基準を上回る学生の授業料を実質的に没収する制度をスタートさせる。
大学の進学率が年々上がっていることや、2004年度の独立行政法人化以降、独自の収入源を増やそうとする国立大が増えていることが背景にあるようだ。私大には、大幅に定員超過した場合、補助金をカットする制度があるが、国立大への導入は初めて。
国立大の入学定員の超過率は、06年に平均で108%となった。地方などで定員割れが相次いだ私大は107%で、超過率は初めて逆転。関係者からは、国立大の適正な教育環境を維持し、教育の質を保証するためには、超過を抑制するべきだとの指摘が出ている。
国立大の各学生の年間授業料の目安である「標準額」は現在、53万5800円。学部の定員超過率が基準を上回った大学は、超過分の学生数の授業料相当額について、国が支給する運営費交付金の使用を凍結、国庫に返還させる仕組みを設ける。
基準とする定員超過率は各学部ごとに設定し、新年度から3年間で段階的に厳しくする。具体的には、新年度に入学する1年生は130%、09年度は120%、10年度は110%とし、これを超えた分の学生の授業料相当額を国庫に返還させる。国費留学生や休学者は在学者数から除く。
文科省によると、大学進学率は毎年上昇しており、07年は47・2%。現在、全国には、86の国立大に358の学部があり、約45万7800人が在学している(07年5月現在)。このうち、内部調査では、1〜4年の定員超過率が110%を超える大学が47大学・93学部あり、2871人が超過に相当するという。

これは受験生の国立大学志向を裏付ける結果なのかもしれません。また、運営交付金を徐々に減額されている国立大学が、事業費確保のために収入源として入学者の確保を目論んでいるからかもしれません。いずれにせよ、入学者からの収入は一定にしなければダメというのが文部科学省の方針のようです。率直な私の感想としては、国立大学間でも格差が広がるだろうなということ。一律に独立行政法人化されたといっても、それまでの研究力や財務力にはかなりのバラつきがあったはずです。だからこそ、各国立大学は独自の収入源を確保しようとする訳です。
確かに教育の質を確保する、という文部科学省の主張は正しいです。しかし、地方の国立大学はこれではジリ貧ですよね。私には資金・人材の一極化を誘発するように見えるのですが。

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