Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

文部科学省が定員割れの私立大学に対して補助金減額幅を拡大

high190です。
文部科学省は来年度からの私立大学等経常費補助金の交付について、定員割れの大学にはより一層の削減を行う方針を決定しました。

文部科学省は今年度から、定員を大幅に割り込んでいる私立大に支給している補助金の削減幅を拡大する。大学や短大計196校を対象に3月支給分から実施。現行で最大15%の削減率を毎年拡大し、2011年度には最大50%にする。文科省は「定員割れが続くのは大学経営上問題があり、規模の適正化を進めてほしい」としている。
私立大の経常費補助金は学生数や教員数に応じて配分が決まり、定員の割り込み度合いによって減額する仕組みになっている。例えば定員充足率が「83%超88%以下」の場合、本来支給される金額から3%減額、「78―83%」なら6%減額といった具合に、定員の充足率が下がるほど削減幅も大きくなる。

文部科学省は、今年度から私立の大学、短大、高等専門学校への補助金制度を大幅に見直す。定員割れの学部・学科がある大学などへの補助金削減率を現在の最大15%から毎年徐々に拡大し、2011年度には最大50%にまで引き上げる。
文科省補助金の差別化を図ることで、大学側に経営安定化に向けた努力を促したい考えだ。
学部・学科の在籍学生数が定員に占める割合を表す「定員充足率」が低い私立の大学や短大にとって厳しい内容で、今後、私大・短大の淘汰(とうた)が一層加速する可能性がある。
新制度は定員充足率が50%〜60%未満の場合、現行の補助金削減率の15%を毎年徐々に拡大し、2011年度に最大50%にする。定員充足率が60%〜69%未満では現行の補助金削減率12%を今年度は15%にする。定員充足率が50%以下の私大などに補助金を支給しないことは変わりはない。
文科省によると、今年度、定員充足率が50%〜69%未満の学部・学科がある大学や短大などは196校あり、1校あたり224万円の減額になるという。

文部科学省は今回の方針について、

「定員割れが続くのは大学経営上問題があり、規模の適正化を進めてほしい」としている。

という主張をしています。既に文部科学省の外郭団体である日本私立学校共済・振興事業団では、大学を設置する学校法人のうち、経営状況が芳しくない法人への経営支援・助言を行うことを表明しています。

この他にも文部科学省は来年度から大学間の戦略的連携を支援する方針を固めており、制度的に経営困難な状況を許さず、大学により一層の経営努力と自己変革を求める内容です。

今年度の定員充足率が50%〜69%未満の学部・学科がある大学や短大などは196校に上る一方で、これから大学入学者が劇的に増えるということはありえないことだと私は思います。このような状況で現実的になってくるのが、大学間の統合です。戦略的大学間連携や学部の共同設置など、文部科学省はここ最近の間に大学同士の連携体制を強化するような施策を次々打ち出しています。制度面の整備が進んでいる以上、個々の大学はドラスティックに改革を進めていく他ありません。
改革のビジョンが正しければ成功し、失敗すれば破綻・統合を迫られる・・・正直なところ、大学業界に身を置く者の一人としても大変な時代になってきたと思います。ただ、学校が無くなって困るのは在学生・卒業生であるという視点を忘れたくないです。この記事を読んで、誰のために、そして何のために自分が仕事をしているのかを改めて問い直していくべきではないかと感じました。

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