Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

私立大学の財務状況の公開範囲はまだまだ不統一

high190です。
文部科学省が私立大学を運営する学校法人の財務情報公開について調査したところ、昨年10月時点で財務情報を公開していた法人は全体の87.2%に留まることが分かったそうです。


私立大学などを運営する学校法人のうち昨年10月時点で財務情報をインターネットで公開していたのは579法人で、前年に比べ5.8%増えたことが17日、文部科学省の調査で分かった。3年前に比べると20ポイント以上上昇したが、全体に占める割合はなお87.2%にとどまる。少子化で経営環境が厳しくなる中、私大全体の透明性確保が大きな課題になっている。
調査は私立の大学・短大・高等専門学校を設置している全ての664法人を対象に、財務情報を一般向けにどの程度公開しているか尋ねた。全法人が回答した。
法人のホームページ(HP)と広報誌などの刊行物、学内掲示板を含めると全体の94.6%にあたる628法人が公開。5%強にあたる36法人は一般向けに一切公開していなかった。
HPで公開している財務情報は各法人でばらつきがある。収支計算書が全体の86.7%、貸借対照表が86.1%を占めた一方、財産目録は76.5%、監査報告書は75.2%にとどまった。
財務情報を分かりやすく説明する工夫をしていたのは71.5%にあたる475法人。財務状況を全般的に説明する資料を付けたのは61.1%、経年変化が分かる資料を付けたのは51.2%で、公開方法については改善の余地がなお大きい。
文科省は今年4月からすべての大学と短大などに入学者数や授業内容などの教育情報をHPで公開するよう義務付けた。私大側も昨年夏に指針を作り、財務情報も含めた情報開示を進めることを確認。10年度決算がまとまる今年夏以降、HPで開示が進む見通し。

文部科学省の調査結果については、以下の通りです。

大学法人の財務情報の公開については、日本私立大学連合会がガイドラインを公表しています。

私立大学には私立大学等経常費補助金などを通じて国から補助金が配分されていますが、その原資は税金であり、学校法人が適切な運営体制を取っているのかどうか、情報公開が求められるのは当然の責務であるといえます。また、情報を公開するといっても、一般の方が見ても分からないような資料だけを公開しているのでは、本来の情報公開の趣旨とは異なることになります。見やすい資料を公開することの大学側のメリットとしては、健全性を示すことに加え、教職員に対しても経営者側の意識・姿勢を伝えられることにあるのではないでしょうか。コスト意識を持って仕事をするためには財務の知識が何かと役に立つだろうと思いますし、大学運営に当事者意識を感じてもらう上でも、分かりやすく財務情報を公開することは大切ではないでしょうか。