Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

昨年度の奨学金の未返済額が過去最高に。猶予の相談が殺到。

high190です。

日本学生支援機構奨学金の未返済額が過去最高になりました。やはり経済状況を反映して、猶予の申し出をする人が増えている模様。


独立行政法人日本学生支援機構は4日、08年度の貸与奨学金の未返済額が723億円に上ったと明らかにした。07年度の660億円から10%増加し過去最高を更新。返済猶予の相談も殺到し月平均約12万件に達しているため、コールセンターを新設して対応を強化した。
機構は、景気悪化に伴う賃下げや雇用情勢の悪化が背景にあるとみている。収入が急減した利用者に対する返済の減免や返済の必要がない給付型への切り替えなどが課題になりそうだ。民主党奨学金制度の拡充を掲げており、10年度の予算編成などでの対応が注目される。
機構によると、08年度の奨学金利用者は122万人で、前年度に比べ8万人増加。今後、延滞者が全額返さなかった場合の「延滞債権額」も、前年度の2253億円から2386億円に増えた。
08年度の詳しい分析はこれからだが、07年度の延滞理由で最も多いのは低所得で全体の41%。機構は経済情勢の一段の悪化に伴い08年度もこうした傾向が強まったとみている。大学院修了後も研究を続ける「オーバードクター」にも年収100万円台の非常勤の人が多く、返済が滞るケースが増えている。
機構は、給与所得が年間300万円以下を目安に、原則として最大5年間返済を猶予。この制度の利用を希望する相談が急増したため「電話がつながらない」とする苦情も多くなっていた。

もちろん、適切に奨学金を返還してもらうことは必要ですが、猶予のあり方を考えるのも大事なことではないかと思います。平成19年度の延滞理由の一番は低所得ということですから、それだけ卒業後の経済事情は厳しいということです。

政権が変わって民主政権はどのような奨学金政策を打ち出してくるのか、大学人として気になります。大学で学びたいと思っている人への支援をどのように考えるかは、今後の日本の教育にも直結する問題だと思いますし、安心して勉強に取り組める環境を作りたいですねよね。

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