Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

将来的には大学の試験前にドーピングが必要になるかも。

high190です。

AFPの記事によると、最近アメリカの大学生の間で「頭の良くなる薬」が流行しているそうです。これは脳の認知力を高める効果のある薬を服用する学生が増えていることを伝える記事ですが、将来的にはより効果の高い薬が開発される可能性もあり、脳の認知力を高める薬を服用する学生が今後も増えるものと思われます。このため、大学側は「アカデミック・ドーピング」を防ぐためにドーピング検査を行わなければいけなくなるかも知れません。

徹夜で勉強しやすくなり、記憶力が高まり、覚えたことを試験の本番で思い出しやすくなるといった、いわゆる「頭の良くなる薬」が米国の大学生の間で人気だ。この種の薬を服用する学生が急増していることから、将来、大学側は試験前に「ドーピング検査」を実施せざるを得なくなるかもしれない――1日発行の医学倫理問題をテーマにした専門誌「Journal of Medical Ethics」に、こうした「アカデミック・ドーピング」の可能性を指摘する研究論文が掲載された。
論文を執筆したのはシドニー大学(University of Sydney)の心理学者ビンス・カキック(Vince Cakic)氏。同氏によると、全米の大学を対象に調査したところ、全学生の4分の1が中枢神経を刺激するアンフェタミン(商品名「デキセドリン」)やメチルフェニデート(商品名「リタリン」)を学業成績の向上を目的に使用していた大学もあった。
これらは従来、認知症注意欠陥多動性障害ADHD)、ナルコレプシーなどの患者に対して使われてきた薬だ。
特に入学基準の高い学校では服用する学生の数が多いことが判明したという。現在、学生たちが用いている薬は適度に脳の認知力を高める作用があるとされているが、もっと高い効果を得られる薬が開発されつつあり、将来はこちらの人気が高まる可能性もある。
脳の認知力を高める薬は、身体的にも精神的にも副作用があり依存症を起こす可能性があるだけでなく、薬の普及を抑制することはほとんど不可能だとカキック氏は指摘する。
「将来の試験会場では、監督官が紙コップを片手に持った学生たちに尿のサンプルを提出するよう求めるといった光景が見られるかもしれない」と同氏は話す。「バカげた考えに思えるかもしれないが、実際にそうなる可能性はかなり高い」

日本の場合、基本的に処方箋がないと手に入らない薬のようです。

脳の認知力を高める、ということは記憶力も一時的に良くなるということなんでしょうね。試験前に薬を服用することで学習効果が向上するのであれば、使用したくなる学生がいるのも頷けなくもないです。ただ、試験でよい成績を取るために薬を服用するのが常態化していったら、それはもはや薬物依存以外のなにものでも無くなってしまいます。
入学基準の高い学校ほど、服用する学生が多いというのは皮肉なものです。
しかしながら、実際に大学内で服用を規制することは難しいと思われます。試験前にどうやってチェックするんでしょうかね?それだけの人的リソースを割くことも大学にとっては大きな損失になります。規制が必要なのは薬の流通経路ではないかと思いますが、国によって医療政策も異なるので、それぞれの国ごとに対応を考えていかないといけません。また、違法な手段で薬が流通しないかどうかもポイントですね。

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