Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

努力が報われると感じている学生は半数以下であることが、意識調査で判明

high190です。
努力すればいつかは報われる。そんな言葉を誰もが聞いたことがあるでしょうし、努力しなければ能力開発は見込めないのは当たり前のことだと言えます。しかしながら、ベネッセが実施した大学生向けのアンケート調査で、現代の競争社会は努力が報われる社会であると感じている学生が半数に満たないことが分かりました。
この調査結果が全てではありませんが、現代の学生の気風を考える上では参考になるかも知れません。


大学生の8割は日本を「競争社会」と考えながらも、努力が報われる社会と思っている人は半数に満たないことが20日、ベネッセコーポレーション岡山市)が全国の大学生4070人に実施したアンケートで分かった。
昨年秋に大学生の社会観や生活についてインターネットで調査。結果によると、就労観については「仕事を通じて社会に貢献することは大切」と答えた学生は84%を占めたが、「仕事より自分の趣味や自由時間を大切にすべきだ」と回答した人も75%いた。
79%が「日本は競争が激しい」とし、「努力が報われる社会」と受け止めているのは43%にすぎず、格差拡大が指摘される状況に厳しい見方を示した。
大学生活で身についたこととして「人と協力しながらものごとを進める」が67%を占め、「自ら先頭に立ってグループをまとめる」は37%。リーダーシップより周囲との調和を重んじる学生気質がうかがえる。
授業の出席率は87%で、1週間の平均通学日数は4・4日と、まじめに大学に通う傾向が示された。一方、週に3時間以上「授業の予復習をする」と答えた学生は27%、「授業以外の自主的な勉強をする」は19%にとどまった。

以前ならこういった回答は出なかったのかも知れませんが、経済不況や就職難という世相を反映してなのかも知れません。昔は終身雇用制を基盤とした年功序列型の社会システムが機能していましたから、ある程度は将来のことを見渡すことが可能でした。しかし、バブル崩壊以降の社会変革に伴って日本も競争社会を迎え、格差の拡大が懸念されています。
格差社会は、表面的にはある意味では努力した分だけ報われるとも言えるのですが、実際には勝者の限りなく少ないパイを奪い合う訳ですから、努力しても報われないと感じることも仕方がないのかも知れません。
ちょうど選挙の時期ですが、国の将来に期待を持てるか否かは政治の仕事。そのことも含めて、今の学生の現状を知ることは重要だと思います。

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