Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

産学連携を成功させるために、大学にも専門職を

high190です。
企業と大学が連携して実施する産学連携、最近では積極的に取り組んで成果を出そうとしている大学も増えてきているようです。

(上記記事より一部抜粋)

「日本の大学が産学連携を推進していくためには,大学に従来からの『教員』,『事務職』に加えて『専門職』という新しい職制を設けることが急務」。このような提言が,2008年1月28日〜29日の2日間にわたって東京都港区で開催された国際特許流通セミナー2008(主催は独立行政法人工業所有権情報・研修館)のセッションA1「国際産学連携と知的財産マネージメント」で,聴講者である産学連携実務者の支持を集めた。産学連携が国内ばかりではなく諸外国も対象にするようになると,英文などによる共同研究契約などの法務業務が増え,これを担当する専門職が不可欠になるからだ。

大学に専門職という新たな職制を設ける。確かに産学連携を実施するに当たっては、既存の事務職員だけでは対応できない事柄が非常に多いでしょうから、弁理士などの資格を持ったプロフェッショナルが必要になるでしょう。ただ、そうした人を職員として迎え入れるとなると処遇面でどう対処したらいいのでしょうか。

九州大学などの日本の有力な研究大学は,産学連携推進に必要な専門能力を持つ専門職人材を,企業などの知的財産部門の実務経験者や弁理士などを雇うことで,なんとか対応しているのが実情だ。国立大学は「教員職」と「事務職」の2つの職制で構成されている。産学連携を担当する専門職人材は,「事務職」か“テンポラリ職”などで雇用している。この“テンポラリ職”とは,文部科学省経済産業省などが提供する競争的研究資金などで数年間雇用する職制だ。再任もある。

(中略)

この高度な“テンポラリ職”に若手を雇用し,専門職人材に育てているが,日本の大学の給与は,企業に比べて低い場合が多い。このために,若手の専門職人材は,実力が高まるにつれ処遇に不満を持ち始める。このため,専門職に定着しないことが予想される。

専門職として安定的に仕事を続けられる環境を整備しないと、いい人材は大学に定着しない恐れがあります。賃金面でも当然、事務職員より高く設定しなければいけないでしょうから、色々と大変そうです。しかし、知的財産を扱うプロフェッショナルはこれまでの大学職員のキャリアでは養成できないものですので、新たな取り組みとして大学職員の幅が広がるのだと思うと、ちょっと期待する部分もあるのです。

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