Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

「欧州の大学、中印に負ける」=EU高官

high190です。
大学も国際化の波にさらされ、全世界的な学生獲得競争にさらされています。そうした中でEU高官から、欧州の大学が競争激化による学生喪失を危惧するコメントが出ています。

「欧州域内の大学を現代にマッチしたものに改革しなければ、10年以内に競争相手の中国やインドの大学に負ける」−。欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会のフィゲル委員(教育担当)は21日付英紙タイムズ(電子版)とのインタビューで、英国やフランス、ドイツなど欧州各国の大学の力が低下しつつある現状を説明、危機感をあらわにした。
フィゲル委員はこの中で、「インドの技術力は世界第3位ともいわれ、中国は2015年までに複数の大学を世界トップクラスにすることを目指している」と強調。技術革新で欧州勢は後れを取っており、実に40万人を超える技術者が米国で就職していると述べた。
同委員はまた、「インターネットとCD−ROMは英国人が、携帯音楽端末のMP3はドイツ人が発明した。しかし、それら3つを世界中に広めたのは米国にほかならない」と指摘。その上で、欧州の大学が取るべき解決策として、(1)より多くの資金を大学に注入し、学位の質を高める(2)学位を各国間で従来に比べ相互に認めやすくする−などを提案した。(時事)

世界で初めて大学が設立されたのは、確かイタリアのボローニャ大学だったと記憶しています。
大学という高等教育機関が生まれた欧州においても、現代に適合する学問の必要性を問うコメントです。しかし、学問は普遍性を持っており、安易に現代の思想・文化を追求すべきではないという意見もあるでしょう。例えば、哲学という学問は、現代の思想が優れている訳でもなく、今でもギリシア哲学や中世思想が研究対象になっていることからも、学問の普遍性を物語るもののひとつであると考えます。
学問としての真理追究という面と、技術面における現代との適合性。
大学教育においては、どちらとも重要であり、欠かすことのできないものであるはずです。