high190です。
遅くなりましたが、2015年もどうぞよろしくお願いいたします。今年も自分のペースではありますが継続してブログを書きたいと思っています。
昨今、日本でのIR導入が急速に進展していますが、どの大学にIR組織が置かれているか明らかになっていないので、大学IR組織のリストを作成しました。設置有無の根拠は当該大学のWEB公開資料で確認できる場合に限りました。よって"IR"の名称は使っていないが、実質的にIR機能を有す大学はカバーしきれていません。リストは継続整備しますので、追加情報があればブログのコメント又はTwitterなどでお知らせ下さい。
※更新情報 明治薬科大学IR室を追加(2021/07/27)
国立大学
- 秋田大学評価・IRセンター(2017/08/02)
- 旭川医科大学IR室(2018/05/30追加)
- 茨城大学大学戦略・IR室*1
- 宇都宮大学 大学教育推進機構 教学IR部門(2019/11/06リンク修正)
- 愛媛大学教育企画室(教学IR)(2016/08/05リンク修正)
- 大分大学IRセンター(2019/12/18追加)
- 大阪大学IRプロジェクト(2016/08/05リンク修正)
- お茶の水女子大学教育開発センター(IR教学評価)(2017/02/21追加)
- 香川大学教育戦略室教学IR部(2018/05/30追加)
- 鹿児島大学企画・評価・IR室(2016/08/05リンク修正)*2
- 岐阜大学IR室(2016/08/05リンク修正)
- 九州大学インスティテューショナル・リサーチ室(旧大学評価情報室)(2018/05/29リンク修正)
- 九州工業大学インスティテューショナル・リサーチ室(2016/08/05リンク修正)
- 京都大学企画・情報部IR推進室(2017/04/28追加)
- 熊本大学総合情報統括センター(2015/08/17追加、2018/05/29組織名称変更)
- 高知大学IR・評価機構(2018/12/05追加)
- 埼玉大学情報企画室(2018/05/30追加)
- 佐賀大学インスティテューショナル・リサーチ(IR)室 *3 *4
- 静岡大学IR室(2018/12/05追加)
- 島根大学教育・学生支援機構大学教育センター教育企画・評価部門(2019/12/18リンク修正)
- 信州大学IR室(2018/05/30追加)
- 千葉大学運営基盤機構IR部門(2019/12/18リンク修正)*5
- 筑波技術大学IR推進室(2018/05/30追加)
- 電気通信大学IR室(2018/12/05リンク修正)
- 東京大学経営企画部IRデータ課*6(2019/11/06追加)
- 東京大学大学総合教育研究センター大学改革基礎調査部門
- 東京学芸大学教員養成開発連携センターIR部門(2015/07/28追加、2018/05/29リンク修正)
- 東京工業大学情報活用IR室(2016/10/04リンク修正)
- 東北大学インスティテューショナル・リサーチ室(2016/06/09追加)
- 東北大学教育評価分析センター(2016/07/24)
- 徳島大学 インスティトゥーショナル・リサーチ室(IR室)
- 長岡技術科学大学IR推進室(2018/05/30リンク修正)
- 長崎大学インスティテューショナル・リサーチ(IR)室(2015/04/17リンク修正)
- 名古屋工業大学インスティテューショナル・リサーチ室(2016/08/05追加)
- 奈良先端科学技術大学院大学戦略企画本部IRオフィス(2018/05/30追加)
- 新潟大学IR推進室(2016/08/05リンク修正)
- 一橋大学森有礼高等教育国際流動化センター(2015/07/28追加、2018/05/29リンク修正)
- 兵庫教育大学IR・総合戦略企画室(2018/05/30追加)
- 広島大学大学経営企画室(2018/08/05リンク修正)
- 北陸先端科学技術大学院大学大学戦略・広報室(2018/05/30リンク修正)*7
- 北海道大学総合IR室(2018/05/30追加)*8
- 宮崎大学IR推進センター
- 山形大学次世代形成・評価開発機構IR部門(2017/08/02リンク修正)
- 琉球大学IR推進室(2019/04/04リンク修正)
- 山口大学IR室(2015/06/24追加)
- 山梨大学IR事務室(2019/12/18リンク修正)
- 大阪府立大学高等教育開発センター*9
- 京都府立医科大学臨床IRセンター(2015/07/28追加)
- 熊本県立大学教学IR室(2017/01/22追加)
- 公立大学法人島根県立大学IR室(2019/12/18追加)
私立大学
- 青森大学学習支援センターIR推進室(2019/12/18リンク修正)
- 桜美林大学大学教育開発センター情報評価・分析(IR)部門(2019/12/18リンク修正)
- 大垣女子短期大学総合教育センターIR推進室(2019/12/18リンク修正)
- 大阪産業大学教学IRプロジェクト(2018/12/05追加)
- 川崎医科大学IR室(2019/12/18リンク修正)
- 関西大学IRプロジェクト(2017/08/02追加)
- 関西医科大学医学教育センターIR部門(2019/11/16追加)
- 関西国際大学評価センターIR部門(2019/12/18リンク修正)
- 関東学院大学経営企画部IR室(2019/12/18リンク修正)
- 九州保健福祉大学IR推進委員会(2015/09/10追加)
- 京都光華女子大学EM・IR部
- 京都産業大学学長室IR推進室(2019/11/06追加)
- 京都女子大学IR情報(2018/12/05追加)
- 杏林大学IR推進委員会(2015/09/10追加)
- くらしき作陽大学高等教育研究センター
- 久留米工業大学IR推進センター(2018/08/17追加)
- 國學院大學ビッグデータ推進プロジェクト
- 国際医療福祉大学情報教育室・IR推進室
- 国際基督教大学IRオフィス(2019/07/18追加)*10
- 札幌学院大学教学IRプロジェクト(2019/09/21追加)
- 四天王寺大学IR・戦略統合センター
- 芝浦工業大学教育イノベーション推進センターIR部門
- 実践女子大学IR室(2017/08/02追加)
- 順天堂大学情報戦略・IR推進室
- 昭和音楽大学総務部企画・IR推進室
- 上智大学IR推進室(2017/02/21リンク更新)
- 鈴鹿医療科学大学IR推進室
- 駿河台大学IR実施委員会(2017/08/02追加)
- 成蹊大学IR推進委員会(2015/09/10追加)
- 聖徳大学IR室
- 聖和学園短期大学IR推進室(2019/11/06追加)
- 仙台白百合女子大学IR推進委員会(20181/12/05追加)
- 創価大学IR室(2018/12/05追加)
- 日本医科大学医学教育センターIR室
- 日本福祉大学IR推進室
- 人間総合科学大学IR室(2015/07/28追加)
- ノートルダム清心女子大学IRセンター
- 大正大学教育開発推進センター総合IR室(2015/01/13追加)
- 高崎商科大学IR推進委員会(2015/09/10追加)
- 中央大学学事部企画課IRグループ
- 帝京大学高等教育開発センターIR推進室(2017/02/21追加)
- 東京慈恵会医科大学教育センター(2015/07/28追加)
- 東京女子大学IR専門委員会
- 東京成徳大学企画・IR室(2017/08/02追加)
- 東京電機大学IRセンター
- 同志社大学高等教育・学生研究センター(2015/08/25追加)
- 東北学院大学学長室インスティテューショナル・リサーチ(IR)課(2018/12/05追加)
- 東北福祉大学IRセンター(2017/08/02リンク修正)
- 東洋大学IR室
- 獨協医科大学教学IRセンター(2019/11/06追加)
- 長崎外国語大学(2018/12/05追加)
- 二松學舍大学大学改革推進部IR推進室(2016/07/28追加)
- 花園大学大学改革・IR推進室(2015/11/02追加)
- 学校法人東筑紫学園IR推進室(九州栄養福祉大学・東筑紫短期大学)(2015/04/01追加)
- 広島工業大学資料・IR部門(2017/08/02追加)
- 福山大学大学教育センター教学IR部門
- 武蔵学園データサイエンス研究所(2018/12/20追加)
- 武蔵野大学IR推進室(2015/07/14追加)
- 明治薬科大学IR室(2021/07/27追加)
- 目白大学教育研究所IR部門(2018/12/05追加)
- 立教大学大学教育開発・支援センター(2015/08/17追加)
- 立命館大学大学評価・IR室(2019/07/18追加)
私立大学でIR組織を持つところが多いのは、私立大学等改革総合支援事業のタイプ1「教育の質的転換」にて「IR担当部署の設置及び専任の教職員の配置」が全学的な教学マネジメント体制の構築の項目で加点対象になっていることが影響しており、新規に組織を立ち上げた大学が多いからと推測されます。公立大学に関しては私の探し方が悪いのか、あまり見つけることができませんでした。国立大学に関しても、恐らく実質的にIR機能を有している組織を持つ大学が多くあると思いますので、随時追加していくつもりです。また、文科省高等教育局担当の官房審議官の方から「国立大学法人に関しては全大学でIRを導入し、専門家を置く」という発言もあったようなので、その点も注視しておきたいですね。*11
さて、その他に公表されている資料からIR組織の数を調べてみることにします。平成24-25年度の文部科学省大学改革推進委託事業による報告書に「IR組織の設置状況」に関する事項がまとめられており、第4章「日本におけるIRの現状」の「IR組織と担当業務」にIR組織開設数の記述があります。
IR組織の設置状況について(図4-4)、有効サンプル(N=547)の中「IR名称の組織がある」(9.9%)と「IR名称はないが、担当組織がある」(15.4%)と合わせて,約四分の一となっている。
有効サンプルの547は、2013年12月調査の「大学のインスティテューショナル・リサーチ(IR)に関する調査研究」に回答した大学の数ですので、有効サンプルに比率を掛けますと、IR名称の組織を有すのは54大学、IR名称はないが担当組織がある大学は84大学になります。調査自体に回答していない大学が200以上ありますが、日本でも徐々にIR組織を持つ大学は増えていることが分かります。IR先進国のアメリカとの比較で考えた場合、以前にLEAP参加者の方の講演を伺った際、*12講演後の質疑応答で「アメリカのIRはすごいのか」との質問に「どの大学にも必ずIR担当者がいる。IRがないことのデメリットを考えた場合、必須の存在であり、公的調査に対応するためにも必要」と回答されていたことを思い出しましたが、日本でもこれから導入の動きが加速することは間違いありません。
IRは大学のガバナンスを適正にコントロールすることを下支えする手段ですが、日本は「戦略的な大学ガバナンスを作り上げる機構がきわめて弱い」ということを慶應義塾大学の上山隆大教授が教育再生実行会議などで発言されていました。*13最近「国立大学法人運営交付金の在り方に関する検討会」にて、上山教授からIRに関する発言があったようなので、議事録から一部抜粋してご紹介します。
その意味で、明らかに日本の大学の「大学本部」の果たしている役割は小さ過ぎる。小さ過ぎるというのは、それを果たすような予算が与えられていないということだと常に思っています。例えば、アメリカですと、主立った大学、大きなところでいうと、年間の予算は大体3分の1は恐らく大学の本部、すなわち学長がほぼ完全に把握している。それ以外のところの競争的資金も含めて、3分の2ぐらいは十全に理解できなかったのですが、それ1990年代に入ってきますと、大学の学長は、すべてのうちの大学の予算の隅々まで把握するようなバジェットシステムに変えるべきだという動きが起こってきました。その動きの震源地はシカゴ大学だったですけれども、やがてスタンフォード大学に移っていき、多くの大学が予算の中央管理を進めるようになっていきます。
その予算の管理は大学の学長を中心とした組織の大学運営の根本です。それによって学内の様々な分野のことを「経営」することができる。つまり、たとえトップが理系の先生であろうと、社会科学の分野でも自分の大学が何を行っているのか、それが一体うちの大学に必要なのか、その予算はどれぐらい充てるべきなのかということの完全な内部の財務のデータを大学本部が持つようになってきているわけです。そのようなきちんとしたデータに基づいた資料を手にして大学のビジョンを作っている。したがって、うちのところではこれだけの予算が必要だというような論拠を作っていくということができているわけです。日本の大学は、その力が非常に弱い。したがって、外部に発信するアカウンタビリティーに力がないわけですよね。
それができないうちは、財務省一つとってみてもそうですけれども、国立大学への資金の投入を握っている人たちを説得できないのではないですか。恐らくそのような大学の内部のガバナンスのマネジメントを達成できるシステムを早く国立大学の中に作ってあげなければいけない。それは渡し切りの予算の中で何%か分かりませんけれども、IR(インスティテューショナル・リサーチ)といいますか、内部のインスティテューションのリサーチをやって、うちの大学にはどういう人材がいて、どこがイノベーションに行き、それはそうではないところにも必要なものがあるかという絵を描けるようにしていけないと思います。
昨年末に中教審の大学教育部会で「職員の資質向上等に関する論点」という資料が公表されて話題になりました。*14 この資料では「高度専門職」という言葉が出てきますが、恐らく現在国立大学法人で導入の進んでいるURAのように博士号を持つような人材を私などはイメージします。しかし、高度専門職を設置形態や規模を問わず、全ての大学に置くことは難しいと思われるため、現在のように「できるところから手探りで始めている」大学がほとんどだと思います。他の大学職員ブロガーの方の職員とIRの関係を現状から捉えた記事を拝見し、*15 *16また、大学評価コンソーシアムなどで知見が集積されてきているようですし、*17「私立大学職員によるInstitutional Research(IR)文献メモ」という非常に有益なサイトもありますので、*18そういった先行研究を整理しながら自学のガバナンスに資するIRを作り上げていくことが大切ではと感じます。
*1:茨城大学大学戦略・IR室要項 http://www.che.yamanashi.ac.jp/modules/ir/index.php?content_id=1
*2:鹿児島大学Fackbook https://www.kagoshima-u.ac.jp/ir/]
*3:国立大学法人佐賀大学インスティテューショナル・リサーチ室設置規則 https://kiteikanri2011.admin.saga-u.ac.jp/doc/rule/818.html
*4:国立大学法人佐賀大学におけるインスティテューショナル・リサーチ室の運用に関する内規 https://kiteikanri2011.admin.saga-u.ac.jp/doc/rule/841.html
*5:企画政策課IR推進事務室 http://www.chiba-u.ac.jp/general/recruit/recruit_staff/staff/occupation/kikaku.html
*6:点在する学内のデータを集約・分析 戦略的な大学運営と開かれた大学を目指して国内大学初の統合報告書でビジョンや戦略を示し、「東大ファン」を増やしていく https://www.fujitsu.com/jp/solutions/industry/education/campus/case-studies/u-tokyo-ir/index.html
*7:補足資料:平成30年度国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学年度計画 https://www.jaist.ac.jp/about/data/year-plan-h30.pdf
*8:大学IRを活用した大学経営マネジメントの実施 大学IRを活用した大学経営マネジメントの実施 | 北海道大学URAステーション
*9:大阪府立大学におけるIR実践について http://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/infolib/user_contents/kiyo/DBn0110202.pdf
*10:https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/fieldinnovation/case-studies/case48/
*11:「『教学マネジメントの改善と学修成果』〜学生支援型IRの可能性」に参加 http://shinnji28.hatenablog.com/entry/2014/11/22/235113
*12:LEAPプログラム参加の大学職員による研修報告を聞いてきました http://d.hatena.ne.jp/high190/20120730
*13:教育再生実行会議による提言は大学ガバナンスの向上に資するのか http://d.hatena.ne.jp/high190/20130610
*14:大学教育部会(第31回)配付資料「職員の資質向上等に関する論点」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/015/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2014/11/20/1353507_01.pdf
*15:大学職員とIR〜職員がIRを関わる意味とは〜 http://as-daigaku23.hateblo.jp/entry/2014/10/02/141212
*16:IRと大学職員?〜IRの定義から考える拒否反応〜 http://as-daigaku23.hateblo.jp/entry/2014/12/13/104540
*17:これまでの大学評価担当者集会における米国IRの議論 http://iir.ibaraki.ac.jp/jcache/documents/2011/0915/h23-0915_sato_ppt.pdf
*18:私大職員によるIR(Institutional Research)文献メモをまとめたサイトを見つけました http://d.hatena.ne.jp/high190/20120803