high190です。
現在、学校教育法の改正に絡んで内部規則等の総点検を全国の大学が実施しているところだと思います。
直接的には内部規則等の総点検に関わらないのですが、9月2日に開催された実務説明会の議事録に興味深い内容が記載されていました。
※更新情報 青森公立大学、滋賀県立大学、兵庫県立大学、長崎県立大学、長野大学、昭和大学、摂南大学、学校法人日本大学理事会・評議員会を追加(2023/06/15)、リンク修正
学校教育法改正関連(P.22)
教授会の役割についてはなかなか一般の方に明らかでないという部分がございます。もちろん学生の入学の審査とか教員の資格審査とか,個人情報に関する部分もたくさんあるとは存じますけれども,一部の大学では議事の次第や議事概要等をホームページで公表しているようなところもございますので,こういったことについても各大学で御検討をいただければと存じます。国立大学法人法改正関連(p.32)
経営協議会につきましてはこういったような法改正の趣旨を踏まえて,実際の運用の部分において学外委員の意見というものが適切に反映されるようにするために,学外委員の出席が確保できるかといったような観点も含めて経営協議会の規模,その実情を踏まえた適切な学外委員の選任ということが求められるわけでございます。また,経営協議会という会議の場にとどまらないような学外委員に対する積極的な情報提供であるとか,多くの学外委員の出席が可能となるような出席日程の確保,欠席した学外委員に対するフォロー,議事概要の公表その他適切な情報公開など,経営協議会の運用について配慮を行うことが必要であって,これは法施行前であっても変わらず求められているところでございます。特にこの法改正の趣旨というものを十全に実現する観点からは求められる部分であるというわけでございます。
また,各国立大学法人においては,経営協議会の学外委員からの意見の内容とその反映状況というものについて公表を行っていただいているところでございますけれども,経営協議会の学外委員からの質問等については次回の経営協議会においてフォローを行うことであるとか,経営協議会の議事録については特に学外委員の意見,質問,それに対する学内委員の回答,執行部の回答,こういったものについて公表するなど,経営協議会の機能の強化を図る手法というのは様々考えられるところなわけでございます。こういったような法改正と運用が相まって国立大学法人の経営協議会というものが国民の社会に対する説明責任を果たし,学外の有識者の意見を適切に経営に反映させること,また,学外のモニタリングを適切に機能させることによって社会からの信頼と支援の好循環を確立することにつながることが期待されているわけでございます。
さて、学校教育法の改正に関する説明部分で指摘されている「一部の大学」とはどこなのでしょうか?自分自身の興味もあったので探してみました。
【国立大学】
- 大分大学
- 大阪大学医学部・医学系研究科
- 大阪大学基礎工学部・基礎工学研究科(2019/04/15リンク修正)
- 大阪大学経済学部・経済学研究科(2019/04/15リンク修正)
- 大阪大学サイバーメディアセンター(2015/05/21追加)
- 大阪大学歯学部・歯学研究科
- 大阪大学蛋白質研究所
- 大阪大学人間科学部・人間科学研究科
- 大阪大学大学院情報科学研究科(2015/05/21追加)
- 大阪大学大学院高等司法研究科(2019/04/15リンク修正)
- 大阪大学レーザーエネルギー学研究センター(2019/04/15リンク修正)
- 香川大学法学部・大学院法学研究科(2015/05/21追加)
- 香川大学経済学部・大学院経済学研究科(2015/05/21追加)
- 鹿児島大学歯学部(2015/05/21追加)
- 千葉大学大学院薬学研究院・薬学部(2015/06/22追加)
- 千葉大学大学院看護学研究科・看護学部(2015/06/22追加)
- 東京大学東洋文化研究所(2015/05/21追加)
- 東京農工大学議事概要(役員会・教育研究評議会・経営協議会)(2019/04/15リンク修正)
- 東京工業大学主要会議議事要録(2019/04/15リンク修正)
- 東北大学加齢医学研究所(2019/04/15リンク修正)
- 東北大学工学部・工学研究科
- 東北大学大学院情報科学研究科(2017/09/19追加)
- 東北大学電気通信研究所
- 東北大学薬学部・薬学研究科
- 徳島大学工学部(2015/05/21追加)
- 徳島大学疾患プロテオゲノム研究センター(2015/05/21追加)
- 新潟大学会議議事要録(2019/04/15リンク修正)
- 一橋大学議事要録(2019/04/15追加)
- 一橋大学大学院言語社会研究科(2019/04/15リンク修正)
- 一橋大学大学院社会学研究科・社会学部(2019/04/15追加)
- 弘前大学
- 福岡教育大学 (2019/04/15リンク修正)
- 北陸先端科学技術大学院大学
- 山形大学理学部・大学院理工学研究科(2019/04/15リンク修正)
【公立大学】
- 青森公立大学(2023/06/15追加)
- 青森健康保健大学
- 公立大学法人沖縄県立看護大学理事会(2023/06/15追加)
- 滋賀県立大学(2023/06/15追加)
- 公立はこだて未来大学(2018/12/13追加)
- 兵庫県立大学(2023/06/15追加)
- 都留文科大学
- 長崎県立大学(2023/06/15追加)
- 長野大学(2023/06/15追加)
- 宮城大学
【私立大学】
- 昭和大学(2023/06/15追加)
- 十文字学園女子大学(2015/06/10追加)
- 摂南大学(2023/06/15追加)
- 大東文化大学(2015/10/20追加、2023/06/15リンク修正)
- 東京理科大学(2015/06/23追加)
- 学校法人日本大学理事会、学校法人日本大学評議員会(2023/06/15追加)
- 美作大学・美作大学短期大学部(2015/06/10追加)
国立大学と公立大学では、徐々に公表が進んでいるという印象です。その反面(私の探し方がよくないのかも知れませんが)、私立大学で議事概要を公表しているところは見つけられませんでした。(※2015/06/10に十文字学園女子大学、美作大学・美作大学短期大学部を追加しました)コンプライアンスの観点からも教授会での議決がどのように行われているかは、一定の説明責任を果たすためにも必要になってくるでしょう。これは私が私立大学の職員だから感じる事かも知れませんが、恐らくそう遠くないうちに教授会等の議事概要の公表有無は、私立大学等経常費補助金の項目に入りそうな気がします。そういった意味では、日本の大学のガバナンスレベルを上げていくには、政策誘導が無いと大学は動かず、自律的な改善は望むべくもないと思われても仕方ない部分もあるかと思います。
以前、LEAPでアメリカの大学にインターンされた方のお話を伺いましたが、*1その際「外部資金による統制はアメリカの方がシビア。少ない金額で州からの統制が大きい。また、連邦政府は奨学金で大学を統制しようとしている。」、「Budget Retreatで業務の仕分けを全学公開、Webストリーミングしている」という点に関心を持ったのを思い出しました。もちろん制度の違いがあるので、一概に単純比較は出来ませんが、こういった点でも日本の大学にはさらなる効率的運営の模索と、外部への説明責任を果たしうるガバナンス体制の構築がより求められてくると思います。
本ブログでも「規程集を外部公開している大学のまとめ*2」など、大学のガバナンスや情報公開に関する記事をこれまでも書いてきましたが、教授会の議事概要等の公開状況についても、継続的にモニタリングして記事に追記していこうと思っています。
*1:LEAPプログラム参加の大学職員による研修報告を聞いてきました http://d.hatena.ne.jp/high190/20120730
*2:規程集を外部公開している大学のまとめ http://d.hatena.ne.jp/high190/20100315