high190です。
ブログ、Twitter、Facebookなどのソーシャルメディアを広報に活用している大学も徐々に増えてきていると思います。
ソーシャルメディアは利用者とWeb上で直接コミュニケーションを取れるため、高い情報発信力を持っていますが、誤った情報等を発信することで「炎上」してしまうこともしばしばです。実際の炎上事例をまとめた書籍も出版されています。
- 作者: 小林直樹,日経デジタルマーケティング
- 出版社/メーカー: 日経BP社
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そこで提案したいのがソーシャルメディアとの関わり方を組織として規定する「ソーシャルメディアポリシー」を策定することです。既にソーシャルメディアポリシーを定めている企業などは多くありますし、ポリシーやガイドラインの策定方法についての解説なども多くなされています。
- ソーシャルメディアポリシー/ガイドラインの国内実例まとめ+策定者向け情報(出典:Web担当者Forum 2010/05/25)
Twitterの流行を受け、本格的にソーシャルメディアポリシーを策定する例が増えてきています。ここでいう「ソーシャルメディア」はTwitterに限ったものではなく、ブログやSNSなども含めた幅広いものです。
(中略)
完全版ではない社外公開用の概略バージョンもありますが、いずれも意外とシンプルですね。そもそも、こういったガイドラインは何のために策定するのでしょうか?
するべきこと/するべきでないことを明確にし、何が問題なのかのルールを明らかにすることもあるでしょう。それに加えて現時点では、「ソーシャルメディアというもの」に慣れていない大部分の人たちに対して、意識するべき点を明らかにしたうえで、怖がらずに進める道筋を示すことも重要です。
これまでは、企業から対外的に情報を発信するのは広報や宣伝といった一部の部署の人だけでした。しかし、ソーシャルメディアの隆盛により、企業名を明かした状態で個人として情報を発信したり第三者とコミュニケーションしたりするケースが増えてきました。つまり、ウェブに明るくない人が企業名を背負ってソーシャルメディアに飛び込む状況が増えてきているのです(自社社員だけでなく、契約スタッフ、協力会社のスタッフなど、ブランドに関係するあらゆる人がいますから)。
そういう人に対して、その行動がどういった意味をもち、どういった結果をもたらす可能性があるかを、わかりやすく示す意味合いが強いようです。そのため、現時点でのソーシャルメディアガイドラインなどは、ソーシャルメディアに慣れているWeb担当者にとっては自明のことが多いのです。
ここまで情報があれば、テンプレートをベースにしたり、他社のガイドラインを参考にしたりして、自社向けのソーシャルメディアガイドラインをすぐに作れそうなものですが、もう少し考えてみましょう。3点ほど、意識しておくべき要素があります。
1点目として、ソーシャルメディアガイドラインは、あくまでも企業全体としての(ネットに関係のない全般的な)行動規範がベースにあるものです。そうした規範がまだ明確に作られていないのであれば、そちらをまず明確にするべきですし、策定するソーシャルメディアガイドラインは、全体規範を反映したものとなっている必要があります。
2点目は、ガイドラインを有効に活用するには、具体例が必須であることです。公開されているガイドラインでは省略されていますが、多くの企業では、具体的な発言例を示した想定事例や、ソーシャルメディアの理解を深めるための参考情報などが盛り込んでいます。ガイドラインの目的として「ソーシャルメディアというものに慣れていない人が安心して適切に行動できるようにする」ことを含めるのであれば、そうした具体例は必須となります。それに加えて、ガイドライン策定後に社内でセミナーやトレーニングを行うことも重要になるでしょう。
3点目は、具体的な対応ルールのアクションまで検討する必要があること。ガイドラインから外れた行動への対応を、どのタイミングでだれが判断するのか、罰則はあるのかといった点や、そのためのモニタリングなどの仕組みも考えておく必要があります。
ソーシャルメディアに親しんでいる人にとっては当たり前のことかも知れませんが、上記の強調部分はどれもが重要なことです。
それでは、具体的にソーシャルメディアポリシーを大学で定めている大学をご紹介します。いまのところ公開しているのが確認できるのは東京都市大学を設置する学校法人五島育英会、創価大学の2校です。
※上記以外の大学でも公開している事例がありましたので、追記します。*1 *2 *3 *4 *5 *6 *7 *8 *9 *10 *11 *12 *13 *14 *15 *16 *17 *18 *19 *20 *21
いずれの大学でも種類ごとに運用方法を定めて公開しています。例えば、Twitterでフォローされた場合にフォロー返しは行わないなどのことが具体的に書かれています。そして、ソーシャルメディアで発信している情報の全てが、「大学としての公式発表・見解を示してはいないこと」に言及している点が共通しているのは興味深いですね。確かにソーシャルメディアは情報発信のひとつの手段であって、あくまでも公式な情報はオフィシャルサイト又はプレスリリースにて行う、といった区分けをしておかないと見る側からはどの情報が公式なのかが分からなくなります。
ソーシャルメディアを有効活用する上でも、大学でもソーシャルメディアポリシーを定めましょう!*22
*1:常磐大学「TOKIWAソーシャルメディアポリシー」−http://www.tokiwa.ac.jp/snspolicy/policy/index.html
*2:産業技術大学院大学−http://aiit.ac.jp/media_policy/
*3:岡山大学ソーシャルメディアアカウント−http://www.okayama-u.ac.jp/tp/profile/social-media.html
*4:関西学院の構成員が行うソーシャルメディアでのコミュニケーション活動について−http://www.kwansei.ac.jp/pr/pr_004418.html
*5:多摩美術大学「ソーシャルメディア・ガイドライン」の制定について−http://www.tamabi.ac.jp/topics/sns_guideline.htm
*6:中央大学 ソーシャル・コンピューティング・ガイドライン http://www.chuo-u.ac.jp/chuo-u/life01/life01_02_j.html
*7:敬和学園大学 ソーシャルメディア・ポリシー http://www.keiwa-c.ac.jp/public/social.html
*8:岩手県立大学ソーシャルメディアポリシー http://www.iwate-pu.ac.jp/information/socialmedia.html
*9:近畿大学(学生向け)ソーシャルメディア利用のためのガイドライン http://www.kindai.ac.jp/gakusei/seikatsu/social_guideline.html
*10:甲南女子大学「ソーシャルメディアへの取り組み」http://www.konan-wu.ac.jp/social/
*11:聖心女子大学におけるソーシャルメディア扱いのガイドライン(PDF) http://www.u-sacred-heart.ac.jp/life/files/socialmedia.pdf
*12:日本赤十字九州国際看護大学「ソーシャルメディアの取り組み」 http://www.jrckicn.ac.jp/info/media.html
*13:追手門学院大学「ソーシャルメディアガイドライン」 http://www.otemon.ac.jp/campus/social/index.html
*14:東洋大学「ソーシャルメディアポリシー」 http://www.toyo.ac.jp/effort/01/sns_policy_j.html
*15:国立大学法人富山大学ソーシャルメディア運用管理要項 http://www3.u-toyama.ac.jp/soumu/kisoku/pdf/084_10.pdf
*16:京都産業大学「ソーシャルメディア運用ガイドライン」 http://www.kyoto-su.ac.jp/outline/approach/sns/
*17:亜細亜大学ソーシャルメディアガイドライン(学生) http://www.asia-u.ac.jp/social/student.html
*18:東海大学「学生を対象としたソーシャルメディア活用ガイドライン」 http://www.u-tokai.ac.jp/sns/index.html
*19:山形大学ソーシャルメディア公式アカウント http://www.yamagata-u.ac.jp/jpn/yu/modules/common14/index.php?id=75
*20:昭和大学ソーシャルメディアガイドライン http://www.showa-u.ac.jp/about_us/policy/sns_guidelines.html
*21:産業能率大学学生向けソーシャルメディア利用ガイドライン http://www.sanno.ac.jp/snsguide/
*22:いまさらですが、平成23年4月に経済産業省からソーシャルメディアを活用した情報発信の指針が出ていたのですね。気付くのが遅くなりましたが、参考までにリンクを載せておきます。「国、地方公共団体等公共機関における民間ソーシャルメディアを活用した情報発信について」(PDFファイル)−http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110405005/20110405005-2.pdf