Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

そこまでやるのか?という受験対策と、ビジネススクールの問題点

high190です。
いつの時代でも試験での不正行為はなくならないものだと思いますが、思わず「そこまでするの?」と思う取り組みがありましたのでご照会します。

米国の一流ビジネススクールが間もなく、進学適性試験の受験者にハイテクによる身元確認を義務付ける。不正行為への懸念が高まっていることの表れだ。
GMAT(Graduate Management Admission Test)を受ける野心的な企業幹部は、手のひらの静脈の血管パターンを赤外線で撮影する「手のひら静脈」スキャンを受けなくてはならなくなる。血管のパターン――大都市の幹線道路のインターチェンジに似ている――は各人に固有のものだ。手のひら静脈スキャンは日本ではATM(現金自動預払機)での認証に広く使われているが、米国では最近登場したばかりだ。

ちなみにGMATとはGraduate Management Admission Testの略です。

要は企業である程度研鑽を積んでからビジネススクールに入学する際の試験、という訳です。
しかし、基本的にGMATを受験する人は大概が社会人経験を積んでいる人ばかりのはず。そんなところにも不正行為があるとは、ちょっと驚きです。

米ラトガース大学の経営学教授ドナルド・L・マクベ氏は、ビジネススクールが「いかなる手段を使ってもテストの完全性を守ろうとする」のは理解できると語る。
同氏は19年にわたって20万人を超える学生を調査し、ビジネススクールの学生はほかの学科の学生よりも不正行為が多いとの結論に至った。ビジネススクールの学生はよく、自らの不正を正当化するために、企業の「実利的メンタリティー」の例と道徳の退廃を引き合いに出すと同氏は指摘する。

しかし、上記にあるとおり、ビジネススクールの学生が不正行為に走りやすい理由は何となく分かるような気がします。企業の幹部にとってはビジネススクールでの成績は昇進・キャリアアップに直結するものですので、それだけ不正行為を働いてでも好成績を取ろうというインセンティブが学生に働いてしまうのでしょう。そういった意味では権力構造に置かれた人間が追い込まれてこうした行動に出ていると考えることもできます。


ですが、これだけCSRが叫ばれている時代にあってもこうした状況が存在するのでは、経営倫理もあったもんじゃないです。そういった意味ではビジネススクールで学ぶのは経営倫理ではなく、いかにして不正と公正のギリギリを通り抜けるかだったりするのかと思ってしまいます。最もビジネススクールの学生が学ばなければいけない内容と逆の行動に出るということは非常に興味深いですね。

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