Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

東海大学がジャーナリズム実践教育コースを開講

high190です。
東海大学が来月から「ジャーナリズム実践教育コース」を湘南キャンパスで開講することになりました。ちなみに関西の龍谷大学早稲田大学でも来年度からジャーナリストコースを設置することになっています。その他にも中央大学には「中央大学ジャーナリズムプログラム」があります。

プロのジャーナリストを大学で養成する(2007/08/07)

東海大学と教育研究で連携した読売新聞東京本社は来月から、「ジャーナリズム実践教育コース」を東海大・湘南キャンパス(神奈川県平塚市)を中心に開講する。
コースは読売新聞東京本社中央公論新社の多数のベテラン記者を講師として派遣。「ジャーナリズム入門」などに加え、国際問題、スポーツ、医療、環境など16の科目を通して、ジャーナリストを育成する。
読売新聞東京本社は昨年4月、社会により貢献できる人材を養成することなどを目的に、東海大と教育研究連携の覚書を締結した。覚書に基づき、元編集局次長の山口勉氏(59)が主任教授となり、文学部広報メディア学科主任の飯塚浩一教授(47)らと今春のコース開設に向けて話し合いを進めてきた。
湘南キャンパスで開かれる授業は、全学部の学生が受講できるよう、学部の枠にとらわれないチャレンジセンターに置かれた。
春の授業は、山口教授による基礎科目として「ジャーナリズム入門」「時事英語演習」などのほか、写真部記者が教える「フォトジャーナリズム」、メディア戦略局記者が教える「ウエブジャーナリズム」など7科目を開講する。
秋には山口教授の「ジャーナリズム入門2」のほか、調査研究本部の主任研究員が教える「環境ジャーナリズム」や運動部記者が教える「スポーツジャーナリズム」など9科目を開講する。このうち「医療・福祉ジャーナリズム」だけは医学部、健康科学部が置かれる伊勢原キャンパス(同県伊勢原市)で授業を行い、医療情報部、社会保障部のベテラン記者が講師となる。2009年度は政治や経済など3科目を増やす予定。
開講する全科目が単位認定(2単位)され、必要単位(26単位)を履修すればコース修了証をもらうことができる。
4月の開講を前に、湘南キャンパスでは、昨年12月と1月に、医療情報部や写真部の記者を講師として招き、最先端の取材現場について話す「ミニシンポジウム」を開催しており、関心の高い学生からコースについての問い合わせが早速来ているという。
東海大松前達郎学長は「専門性を備えたジャーナリストを養成することは総合大学としての責務だ。コースの設置を通してはっきりとした自覚や思想を持ったジャーナリストを育てたい」とコースの設置に期待する。
ニューヨークやワシントンなどの特派員や国際部長も務めた山口教授は「アメリカのジャーナリズムスクールのような現場と直結したコースを目指したい。ネットやブログの発達で媒体は広がっているが、何よりも真実を取材し伝えるというジャーナリズムの基本を教えたい」と話している。

最近では若者の新聞離れが深刻になってきています。今回のジャーナリストコース開講は、諸外国のような個人で情報を発信できるジャーナリストを養成するためのものなのか、既存メディアの構成員である優秀な新聞記者を育成したいという新聞社側の思惑があるのか、という視点から考えてみると面白いのではないでしょうか。例えば、日本のメディアにおいて特徴的なものとして「記者クラブ」があります。これは新聞などの特定メディアが費用を相互負担して設置するもので、費用負担のない者が行政・企業等の報道発表を聞くことを排除しているため、海外からは批判の対象になっています。
そもそも、ジャーナリストとは印刷メディアに書く人を最近では指すようです。しかし、日本でフリーのジャーナリストとして活躍している人は少数であることからも分かるように、海外のように著名なジャーナリストが様々な雑誌に寄稿できるメディアは日本に今のところ無いように思います。(かつ社会的影響力の大きいもの)最近では個人が自由に表現できるツールとして、ブログなどのメディアも広まりつつありますが、まだ既存の紙媒体の方が大きな権威を持っています。そういった意味では、大学のジャーナリズムコース設置によって、個人でも情報を積極的に発信していけるジャーナリストが育ってくる素地ができるのかも知れません。
ブログなどのインフラは既に整っています(もちろん、更なる発展性がありますが)から、教育プログラムとしてのジャーナリスト養成は可能だと私は思います。問題は、そうした取り組みを既存メディアがどう捉えるかです。

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