Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

米国SNSの立ち上げキャンペーンに見るSNS運営の鍵

high190です。
Yahoo!は大学生向けの就職活動SNSYahoo! Kickstart」をスタートさせました。

Yahoo!は11月4日、大学生の就職活動を支援するソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「Yahoo! Kickstart」を立ち上げた。同SNSは、大学生と卒業生および企業を結び付け、学生がキャリアの出発点であるインターンシップや、就職アドバイスを得られるようにするのが目的という。
Yahoo! Kickstart担当のスコット・ギャッツ氏は公式ブログで、「学生たちはFacebbokで非常に活発なネットワークを築いているが、友人とつながり、楽しむのが中心。実際われわれが話をした学生の多くは、社会人の先輩はFacebookに来ても、自分たちのプロフィールを隠したりすると不満をもらしている」と記している。
Kickstartでは、在学中の大学、クラブ、関心のある職業、働きたい企業など、さまざまなコミュニティーを構築、参加することができ、自分のキャリアスタートに役立てることができる。
SNSは現在「プレビュー」リリースの段階であり、卒業生やプロフェッショナルの参加を募っている。参加を促すため、卒業生が最も多く加入した大学には、その大学の同窓組織にKickstartが2万5000ドルを寄付するという。

利用者を多く獲得するために寄付するとは!ちなみに今の日本円の対ドルレート(11/6現在)から考えると2万5千ドルは約285万円というところです。結構大きな金額ですが、そのあたりも米国の大学同窓会組織は寄付を上手に運用しているんでしょうかね。
ちなみに米国のSNSというと、先日マイクロソフト社が出資を決めたFacebookが有名です。これは元々大学生用のSNSだったものを利用者拡大につき、一般向けにも公開したものです。当然、現在でも大学生の利用者は多いと思われますが、一般の人にも利用を拡大したというところに鍵があるのではないかと私は考えます。「Facebook登録者の方々は大学卒業後に別のSNSへ乗り換えるなんていう面倒なことはしない」と考えるのが普通です。今回、Yahoo!Kickstartが寄付金まで出す理由は、そうでもしないと利用者が集まるかどうかの不安に対するリスクヘッジでしょうね。もっとも、今後もそうした形(寄付とかのインセンティブ)で賛同する大学の同窓組織があるかどうかは分かりませんが。

また、これは日本の大学の同窓会におけるSNS運営にも重要な示唆を与えているように思います。
要は「先々に人を確保しておかないと誰も進んで登録はしない」ということです。

[過去記事]
大学生はSNSに殺される?(2007/09/26)

上記記事でも書きましたが、それだけSNSにとっては競合者よりも先に登録者を獲得することが重要なのです。その分だけ、日本の大学生は多数のSNS登録を迫られ、SNSに殺されるのではないか?と思うのです。