Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

立命館アジア太平洋大学の地域貢献

high190です。
大学の地域貢献、色々なところで特色ある取り組みが実施されていますが、教育ルネサンス立命館アジア太平洋大学の地域貢献について紹介されていました。

学生が大学の地域貢献を先導する例もある。
「今度は竹瓦温泉の『砂かけさん』を取り上げてみては?」と学生の一人が提案する。砂かけさんとは砂風呂で砂をかける温泉の従業員のことだ。
住人の視点から町の見所を紹介する大分県別府市のフリーペーパー「別府なび」の編集は、昨年から地元の立命館アジア太平洋大学(APU)の学生にほぼ任されている。
発行元は、町おこしの人材育成に取り組むNPO法人「ハットウ・オンパク」。別府の町おこし事業「別府八湯温泉泊覧会(オンパク)」を仕切る団体だ。
「別府なび」の制作は当初、県外の会社に依頼したが、型通りの観光情報誌となってしまったため、切り替えた。年間約600万円の予算で、14人の学生が、企画から取材、広告取り、配布協力を求める営業まで分担を決め、12ページの冊子を年4回発行。「景色で選ぶ温泉」「別府カレー」といった、住民しか知らない楽しみ方を伝えている。
「街の見方が変わった。将来は、この経験を故郷で生かしたい」とメンバーの一人で、宮崎県出身の荒井正博さん(20)。


オンパクは2001年から始まり、春秋の年2回、1か月近くの間に約100種類ものイベントを開く。温泉街への集客とともに、イベントへの参加を通して町再生を担う地元住民の意識改革を促す狙いだ。
学生の中には、3年生の森淳司さん(20)のように、NPO「ハットウ・オンパク」のスタッフとしてオンパクを全国に広める活動をするため、来夏まで1年間の休学を決めた若者もいれば、街づくりの現場に必要な学生を派遣するコーディネーター業務を始めた学生もいる。
APUは約5400人の学生の4割強を留学生が占めるが、その中には、商店街の空き店舗でインド料理店やリトアニアのケーキ店などを開く学生も。
ハットウ・オンパクの野上泰生理事(42)は「若者は街づくりの活気の源。純粋で志が高いので、我々のやる気も高まるし、高齢者も思わず協力してしまう」と“効能”を説く。


このように、学生たちは大学の支援を受けずに、様々な形で街づくりに参加してきたが、その動きを大学も見逃さなかった。
昨年度、既存の2学部を横断する形で「ツーリズム&ホスピタリティ・インスティテュート」を設置。今春から2年生の117人が、観光振興の視点に立った授業を通して地域と協働した街づくりを実践している。最終的には観光学や文化遺産管理論など、別府の街づくりにつながる授業を体系化し、率先して町に飛び込んでいた学生との連携を目指す。
インスティテュート主任の轟(とどろき)博志・准教授(35)(歴史地理学)は「先行していた形の学生の力をさらに伸ばし、別府だけでなく、各地で地域再生を担える人材に育てたい」と期待を込めた。

大学の地域貢献度については調査が行われるなど、大学評価の一因にもなります。*1ただ、実際のところ、地域貢献度を測定するのって非常に難しいことではないでしょうか?評価尺度が定まっていないということもありますし。
大学として地域貢献をするにあたって、何を目的として実施するか?ということも大切ですね。その大学の建学の精神に則った取り組みであればあるほど、大学としての貢献度も高まりますし、自らの組織を見直すいい機会になるのではないでしょうか。