Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

「町家」で留学生が国際交流

high190です。
金沢大学に留学中の学生が、1950年以前に建設された「町家」で寮生活を送っているそうです。地域の町家を寮として活用するのは珍しい取り組みですし、国際交流や地域おこしの観点でも面白い取り組みです。


古くからの住宅街が残る金沢市寺町で、9月から金沢大学の中国人留学生と日本人学生の計3人が「町家」で共同生活を送っている。1950年以前に建てられた木造住宅の町家は年々減少しているが、留学生が日本の生活や近所づきあいを体験するには絶好の場所。3人が、近所の人と交流するため、初めて開いた「ギョーザパーティー」におじゃまして、生活ぶりをのぞいた。
(石坂麻子)
ギョーザパーティーを楽しんだ江さん(右から2人目)と近所の住民たち
15日の昼下がり、3人が暮らす町家に、近所の人たち10人ほどが集まり、ちゃぶ台を囲んでいた。中国・洛陽出身の劉浩さん(20)が、皮から手作りしたジューシーな水ギョーザを振る舞う。近所に住む泉すゑさん(83)は熱々のギョーザをほおばりながら、「あなたたち、いつもあいさつしてくれて評判いいよ。いい子たちやね」と話しかける。3人は地域にうまく溶け込んでいるようだ。
この町家を「ドミトリー(寮)」として利用する取り組みは、金沢大学留学生センターと町家の保存利用に取り組むNPO法人「金澤町家研究会」が今秋から始めた。
同会によると、金沢市内に空き家も含めて6000〜7000軒ある町家は、毎年270軒ほどが取り壊されている。こうした町家を活用するため、同センターは、ドイツの世界遺産都市レーゲンスブルクで14、15世紀の建物が学生寮として使われていることに倣い、寺町の町家を寮にすることを決めた。
3人が住む町家は築約80年の木造2階建て。共同スペースのほか各自に畳の和室が1部屋ずつあり、広さは十分すぎるほどだ。吹き抜けの天窓や、台所の井戸の跡が、歴史を感じさせる。
荒れ放題だった中庭は、近所の人に草木の手入れの仕方を教わって少しずつきれいにした。現代建築に比べ、古い木造で過ごす冬は寒いが、中国・香港出身の江貴熏さん(21)は「こたつを使うのも、また楽しみ」と話す。
留学生だけだと、ゴミ出しなどでトラブルを生みやすいが、日本人の学生の真杉篤司さん(19)が一緒に住み、地域との橋渡し役になることで、留学生が溶け込みやすくなっているようだ。劉さんは「最初は不安だったが、本当の日本文化を学んでいる気がする」と毎日が充実している様子だ。
こうした“町家ドミトリー”は、来年4月に市内中心部にもう1か所設置される予定だ。各大学が郊外に移転して金沢の中心街に学生の姿が少なくなり地域の高齢化が進む中、町家に学生が住めば、街にも活気が出る。志村恵留学生センター長は「金沢の街の良さの一つと言われるほど、ドミトリーの数を増やしていきたい」と話している。

ドイツのレーゲンスブルグを参考にしたそうですが、これも歴史のある町を有効に活用するという地域おこしですね。景観の保全などでも歴史のある町は様々な制約があるのですが、歴史に捉われず、学生を住まわせることで地域活性化に繋げる可能性を示す好例だと思います。今後も「町家ドミトリー」は増えるそうですが、学生の力を地域活性に活かしていけば大学の魅力も高めることになります。
プロジェクトは金沢大学留学生センターと金澤町家研究会が共同で推進してきたようですね。

家賃なんかはどうなんでしょう。学生個人が賃貸のアパート・マンションを借りるよりは安いのかな?
ちなみに金澤町家研究会によると金澤町家は3種類に分類されるようです。

    1. 町家
    2. 武士系住宅
    3. 近代和風住宅

金澤町家研究会のWEBサイトにはこんな一文があります。

金沢では町家、武士系住宅、足軽住宅、近代和風住宅など、多種多様な歴史的建築が市民によって住み継がれてきています。私たちはこのような歴史的建築を総称して「金澤町家」と呼んでいます。
金澤町家には、都市に集まって住まう知恵や、自然と共生する暮らしの文化、職人の匠の技が凝縮されています。先人から受け継いだ金澤町家を次代へ継承すること、時代の変化に対応して金澤町家に新しい命を吹き込み、活かしていくことは、私たちに課せられた責務ではないでしょうか。

歴史ある町家の有効活用。学生の活力を活かすと同時に地域おこしも。金沢大学の取り組みは面白いですね。

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