Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

早稲田大学が日本のファンドマネジャーの行動特性を分析

high190です。
早稲田大学大学院ファイナンス研究科では国内のファンドマネジャーがどのように行動しているか、アンケート調査を実施しました。

国内機関投資家ファンドマネージャーは米国やドイツに比べ、運用成績の見せかけをよくするために近視眼的な行動をとったり、群れに隠れて無難な行動をとったりする傾向が強い──早稲田大学大学院ファイナンス研究科の首藤惠教授らが行ったアンケート調査でこんな結果が明らかになった。
同調査はファンドマネージャーの行動を国際比較をするために2003年─04年に行ったもので、回答サンプル数は日本が488、ドイツが263、米国が148。
調査結果によると、日本のファンドマネージャーについては、他の2カ国より投資の想定期間が短いほか、顧客の要請に応じて短期売買を行うことに肯定的な向きが多く、「短期投資」バイアスが大きかった。また、投資決定の際、市場のトレンドに従う「群れ行動」を取ったり、自己防衛的な手段として過度のリスク回避を行うなど「歪んだ運用行動を取るバイアスが他の2カ国より大きく、顧客のプレッシャーに弱いことがわかった」(首藤教授)。
一方、3カ国に共通したのは、若くて経験と実績の乏しいファンドマネージャーほど、顧客の要請に応じやすく、視野が短期化する傾向がみられたことだという。
この調査とは別に、首藤教授が国内機関投資家ファンドマネージャーに向けて行った意識調査によると、労働時間やリサーチ時間が長いほど投資視野が長期化すると同時に公開情報などへの依存度が低下して「群れ行動」が抑制される傾向が示された。リサーチ時間が長いほどアクティブな投資手法を選好する傾向もみられた。
また、賞与比率が高いほど労働時間が長かったことから「インセンティブ報酬はファンドマネージャーの時間投入でみた運用努力を引き出す上で有効」(同教授)とみられる。ただ、現状は賞与水準と運用成果が必ずしも連動しておらず、運用成績の評価に対する不満も大きいため「成績評価と連動するインセンティブ報酬の検討が必要」という。
同教授は、ファンドマネージャーが本来の役割である「資産運用の代理人として効率的長期運用を行う」ことが奨励されるような内部評価体制やインセンティブ制度の導入についても運用会社は重要視すべきとの見解を示した。
日本の運用会社は銀行、証券、生命保険会社など大手金融グループの系列である場合が多いほか、企業年金基金の運用担当者が母体企業の出身である場合が多いため、ファンドマネージャーは運用について様々な圧力を受けている。同教授は「運用会社が経営の独立性を確保することも今後の日本の資産運用業界の課題」と述べた。

株売買の履歴提供、松井・一橋大研究に投資家「やめろ」(2007/06/05)

最近では一橋大学松井証券が実施しようとした、個人投資家の行動分析に関する共同研究に対して個人投資家からクレームが付くということがありました。今回はアンケート調査なので、大学からより積極的にアクションを起こして内容説明を行ったのでしょうか。