Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

いじめ解決の成功集、文科省が37例を全国配布へ

昨年あたりから急激にメディアで取り上げられる「いじめ」に対して、文部科学省が各学校に対して成功事例の冊子配布を始めました。

文部科学省は15日、いじめ問題に対する学校現場の取り組みを、初めて事例集にまとめた。

いじめた生徒を出席停止にし、指導した結果、生活態度が改善したケースなどが紹介されている。同省はこの事例集を来月中に全国すべての小中高校に配布する予定で、「成果のあった取り組みばかりなので、ぜひ参考にしてほしい」と話している。

同省は昨年12月、全国の教育委員会や学校から、学校ぐるみでいじめを解決した事例などを募集。寄せられた約180件の中から37のケースを選んだ。

小学6年の男子が8か月にわたり、同級生3人に「授業中にノートをとるな」などと理不尽なことを命令していた事例では、担任がクラス内の学級委員8人に協力を求めて解決した。いじめられていた3人は、学級委員が「絶対に守る」と約束したことを心強く思い、いじめた男子に「命令されるのは嫌だ」とはっきり言えるようになった。

同級生1人を暴行するなどした中学生7人を4日間出席停止にし、その後3か月、別室で個別指導した例も載せられている。個別指導の期間中、教職員が総出で老人ホームや農園での体験活動をサポート。加害生徒はクラスに復帰後、態度が良くなったという。

当初は「いじめられる子供にも問題がある」と思っていた小学校教諭が、当事者の気持ちを知り、「いじめは許されない」と気づいた事例も紹介されている。

忘れ物の多い女児が、同級生から非難されたり、悪口を言われたりしているのを見ても、担任の教諭は「悪口や非難は『忘れ物をしない』というクラスの目標を全員で守ろうとする姿勢の表れ」と容認していた。しかし、女児が「自分も頑張っているのに。クラスにいるのがつらい」と養護教諭に打ち明けていた事実を知って反省。「やろうと思っても出来なかった経験がだれにでもあるはず」とほかの児童に訴え、女児の心情を理解させたという。

こういった実例を教育現場に周知させるのは良いことですが、いじめ解決には教員の指導力が大きな比重を占めると思います。
いじめ解決の成功例を配布することで教員の意識を変えようとする狙いですが、もう一歩踏み込んだ対策が必要なのではないでしょうか。
例えば、教員の指導力向上のための研修を必ず実施するよう、各教育委員会に周知するとか、家庭での子どもの変化に対して親が敏感に反応できるようにするための講演等の対応です。
私の考えは、どのように対策を取ってもいじめがなくなることはないと思います。
その分、常に子ども達の動向にアンテナを張っていられる「先生」や「親」が必要なのです。
最近のいじめ問題は、まず大人から変わる姿勢を取らなければ絶対に解決しないのです。