Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

エンロールメント・マネジメント、日本でも広がるか

high190です。
エンロールメント・マネジメントという言葉はご存知ですか。私もまだまだ勉強中なのですが、「入学前から、在学中、卒業後までを一貫してサポートする、総合的な学生支援策」という意味の言葉です。*1
米国で生まれた概念ですが、日本でも取り入れる大学が増えてきています。

京都光華女子大(京都市右京区)は来春から、入学前から卒業後まで一貫して学生を大学全体で支援する取り組み「京都光華エンロールメント」を始める。
従来の学生支援は、各教員ごとに指導したり相談を受けたりしていたが、今後は学内で学生の出席状況やテストの成績などの情報を共有し、教職員が協力して支援にあたる。個別指導をさらに徹底する。
この取り組みでは、教員によって異なっていた学生との個別面談や小テスト、課題の回数などについて最低基準を設定。成績がよくない学生については個別対応し、履修科目の選び方などをアドバイスする。
卒業後でも資格取得で必要になる単位は、通常の4分の1程度の費用で受講できる仕組みを導入する予定。
運営する委員会メンバーの金明秀准教授は「学科によっては講義についていけない学生が増えている。学内で行われている制度や取り組みを合わせることで相乗効果を生みだし、学生の学力や意欲を引き上げたい」と話している。

上記の取り組みですが、平成19年度の現代GP採択事例です。

これからはこういったモデルケースをもとに各大学がエンロールメント・マネジメントを導入していく増えていくでしょうね。しかし、マイスターさんが指摘するように

充実したエンロールメント・マネジメントを行うのは、事務作業をこなすだけでカツカツになるような人数ではそもそも無理なのです。

大学として余力があるところでないと、なかなか制度を機能させるのは難しいと思います。*2職務遂行能力が高い職員を多く擁する大学ほど、学生サービスも充実しているということになります。裏返して考えると職務遂行能力の低い職員しかいない大学では学生サービスの質も低いということです。
このような現状を打破するためには、大学職員のキャリアパスを明確にする必要があると思いますが、「現在のローテーション制では絶対にうまく行かない」ということを組織として意識共有することが大切なのではないでしょうか。