Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

文科省、大学の「公開講座」てこ入れ・社会人の学び支援

大学の公開講座は、大学の知識を広く地域住民等に開放するものです。特に実務系の資格取得講座なんかは人気がありますが、大学で学んだという「証明」がないので、専門学校に行くのとあまり違いがなかったのです。
しかし、文部科学省は大学の公開講座を法律で制度化する見込みです。

文部科学省は、社会人が学べる大学の「公開講座」の開設と質の向上を後押しする。大学が公開講座の修了生に独自に与えている「履修証明」を法律で制度化し、公的な資格と位置づけたうえ、優れた内容の講座への補助金の拡充を検討中。履修証明を出す大学・短大は現在、全体の2%にすぎないため、普及に弾みをつけたい考えだ。

履修証明は公開講座で大学が定める数の科目などを修了した人に与えられる。大学で学んだ成果の証しという点では学部卒業者の学士号、大学院修了者の修士、博士号と同じだが、これらの学位と異なり、履修証明の授与は法律上、大学の業務と定められていない。文科省の2005年度調査では、社会人も履修できる公開講座の修了生に履修証明を与えているのは大学・短大の2.1%にとどまる。(07:00)

この新しい新制度、大学で学びたい人を増やしてくれそうな感じがするので一見良さそうですが、個人的には「?」と思う部分もあります。
聴講制度やOpenCourseWareとの整合性はどうなるのでしょうか。
制度化するのはいいのですが、そのことによる具体的な方向性を導き出さねばならないのではと思います。(ちなみに履修者にはどのようなメリットがあるのでしょうか。就職時に有効とか?)

[Reference]

文部科学省は22日、大学の社会人向け公開講座などについて、一定水準の講座を修了した人に各大学が「履修証明」を発行する制度を新設することを決めた。この国会に提出する学校教育法の改正案に盛り込み、早ければ07年度にも始める。学部卒の「学士」や大学院卒の「修士」「博士」に履修証明を加え、離職者らの「再チャレンジ」を後押しするのが狙いだ。

少子化で大学・短大全体の志願者数と入学者数が一致する「大学全入時代」が迫り、社会人を呼び込もうと公開講座を設ける大学が増えている。ただ、その水準は大学院レベルからカルチャーセンターに近いものまでばらつきがあり、修了証を発行しているかどうかも大学ごとにばらばらだ。

このため文科省は履修証明の新設を打ち出し、22日の中央教育審議会の大学分科会に提案、了承された。今後、省令などで対象となる講座の水準や受講時間などの基準を示し、それを満たす講座の修了者に発行するよう各大学に求める。