Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

富山大学が全国でも珍しい「自殺防止対策室」を設置

high190です。
富山大学では全国でも珍しい「自殺防止対策室」を設置しており、学生のメンタルヘルスケアに着実な成果を上げているそうです。


富大の学生の自殺に歯止めがかかり、今年度は19日現在でゼロを保っている。昨年度までの5年間は少なくとも年間に1人は学生が自殺していたが、2009年12月に学内を挙げて設置した全国的にも珍しい自殺防止対策室が、学生の心の健康のサポートに着実に成果を上げている。
富大では、学生の自殺に歯止めをかけようと2009年12月に医師、臨床心理士を含む教職員で構成する自殺防止対策室を設置した。内閣府自殺対策推進室によると、大学などの教育機関が学生を対象にした対策室をつくる例は全国的にも珍しい。同室では、対策は学生、教職員らのメンタルヘルスに対する意識付けに重点を置き、研修会、公開講座などによって啓発活動を重ねている。
昨年2〜8月にかけ、学部ごとに開かれる教授会、役員会に合わせ、全8学部の教授らに対し、室員が研修会を開催。自殺の予兆や、うつ病の知識、異常を感じたときの対処法などを中心に説明し、教員らの学生のメンタルヘルス維持に対する意識の向上を図った。
室員の角田雅彦神経精神科診療准教授によると、教授会での受講率は約8割に達した。角田准教授は「学生の異変に気付ける知識、専門家へとつなぐ方法を知っていることが大切」と話す。
学生に対しては、昨年4月、新入生向けオリエンテーションなどで、心の健康について専門家が説明。五福、杉谷、高岡の各キャンパスには「学生なんでも相談窓口」を設け、心理士や精神保健福祉士などを配置することで、心理的な悩みを抱える学生の相談にも幅広く対応できる体制を整えた。
五福キャンパス学生支援センターコーディネーターの心理士八島不二彦氏は「教職員や他の学生とのつながりが大きく、死の一歩手前でとどめたと考えられる例が複数あった。今後もサポート体制をさらに充実させ、ゼロを保っていきたい」と話した。

先日、自殺対策白書から大学生の自殺防止についての記事を書きました。

富山大学の取り組みは大学の教職員向けに自殺対策に向けた研修を実施し、教職員が自殺の兆候を未然に感じ取れるようにしています。
大学全体で学生の変化に気付けるようにしているのは、自殺防止に大きな効果を上げていると言えるでしょう。先述の過去記事では筑波大学の取り組みについて事例紹介がありましたが、富山大学の取り組みはそれをさらに一歩深めているものです。

大学における自殺対策はまだまだ過渡期にあると思われるため、こうした先進事例は他大学の参考情報になります。いのちを守る取り組みがもっと広まってほしいものです。