Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

小中学校で進む教室革命

high190です。
このブログにいらした方は、ほとんどが社会人の方だと思いますが、ご自分が小中学校の頃に学んだ教室はどんなものだったかすぐにイメージできますよね?教卓と黒板が教室の前にあって、机と椅子が人数分等間隔に並んでいる…恐らくほとんどの方がそうした学習環境で小中学校時代を過ごされてきたのではないでしょうか。
どうやら最近、そうした教室環境が劇的に変化してきているそうなのです。

机は普段からコの字形に並べ、教壇はない。教室と廊下を隔てる壁はなく、背の低い棚で仕切る。黒板は電子化し、チョークは見あたらない。小中学校の教室では、そんな変革が静かに進んでいる。
千葉県八千代市阿蘇中学校は昨年1月から、全学級で机をコの字形にした。多くの教科で1時間に1度は3〜4人組のグループ学習が入る。生徒同士の表情がよく見え、言葉も交わしやすい。
教壇も無くした。教務主任の唐沢正美先生(51)は最初、おしゃべりが心配だった。ところが、今は「自信のない子も意見が出しやすいようだ。分からないところを聞き合う雰囲気が自然にできている」と感じている。
これは、佐藤学・東大教授(教育学)らが提唱する「学びの共同体」と呼ばれる取り組みの一環だ。「子どもが一人残らず学べる形態」として10年ほど前に生まれた。
武森公夫校長が赴任した3年前、阿蘇中では生徒が歩き回ったり大声で話したりして授業が成立しないこともあった。そこで、清掃や朝読書に力を入れるとともに「学びの共同体」を導入。「授業中に出て行こうとする子を、他の子が止めるんです。雰囲気が激変した」。40人近くいた不登校生も数人に減った。
約3万4千ある全国の小中学校のうち、少なくとも約3千校で実践されている。佐藤教授は「一斉授業から共同学習・ゼミへ、この15年で世界的な教室革命が起こっている」と話す。
小学校では、そもそも「部屋」でなくなった教室も増えている。廊下側の壁が全くなかったり、必要に応じてキャスター付きの棚やパネルで仕切るだけだったりする「オープン型教室」だ。
国立教育政策研究所の屋敷和佳・総括研究官が06年度に秋田、東京、富山の3都県の公立小を調べた。それぞれ15、6、21%がオープン型で、全国では十数%とみている。84年から国の補助金が出るようになり、新改築を機に切り替えるケースが相次いだ。02年から始まった「総合的な学習の時間」で、自分の机から離れて、自由に動ける空間を使う機会が増えたことも拍車をかけたという。
一方、黒板は「電子黒板」の普及が進む。1台10万円以上にもかかわらず、全国の公立小中に07年3月時点で約8千台ある。千葉県柏市は61校中21校に1台ずつあり、10校の全学級に配置する計画もある。
東京都墨田区立文花中学校では06年度から導入した。現在は3台。各教室に運んで使うほか、昨年秋には専用教室も作った。
2年生の理科の授業。山本一郎先生(56)はパソコンで作っておいた20の図を次々に電子黒板に映し出した。黒や赤の電子ペンで字や線を書き込む。生徒に電子ペンを渡し問題を解かせることも。パソコンに戻らなくても、すべての操作が電子黒板上でできるのが特長だ。動画も呼び出せ、板書の保存も可能だ。
山本先生は「準備は大変だけど、子どもの反応がいい」。教科書の全ページや資料を表示できる「デジタル教科書」が一部の教科ではできていて、これを利用すれば準備作業は軽減できる。赤堀侃司・東京工業大教授(情報教育)は「うまく使えば子どもの興味を引き、集中力を持続させられる」と話す。

こうした教室革命は大学教育においても実際に起こっています。大教室で教授一人の話を何十人もの学生が聞くという、マスプロ教育はもはや終わりを告げつつあり、より教育効果の高い形での講義スタイルを実施するための教室デザインが行われているのです。


実際の例を挙げると東京大学の教育環境リデザインプロジェクトでは、本郷キャンパスの教育環境の再整備事業を実施しているようです。時代の変遷に合わせて大学の教育環境もより新しく進化していく必要があります。ただ、お金がかかることなので、それほどまでに資金的な拠出を行えない大学がほとんどなのではないかと思います。公的な補助金では、私立学校振興・共済事業団の経常費補助金がありますが、教室改修を実施するにあたって直接的に申請できるものはないらしいです。(条件付でもそういう補助金があるんでしょうか?もしあったら教えて下さい)
教育環境の整備にしても、資金的な手当てがなければ難しいものです。公的な補助金があるとよりいいんですがね。

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