Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

歴史のある町家にキャンパスを設置して地域交流

high190です。
昨日は本学でも入学式がありました。今までとは少し異なった趣向で実施したのが良かったのか、新入生の反応は概ね好評だったみたいです。ただ、イベント形式にするといかんせん事前の準備が大変です。本学では入学式もキャンパス内で行うため、一週間はほぼ会場のセッティングや導線の確認などに時間を取られます。組織変更や人事異動があるなかでそうした業務と日常業務を並行して行うのは結構つらいものがあります。まあ、学生が喜んでくれるのならそれでいいんですが。

さて、ここからは大学関係のニュースを。京都市の町家にキャンパスを設置する大学が増えているそうです。歴史的な建造物が多く残る京都ならではの取り組みと言えるのではないでしょうか。

京都市中心部に残る町家に“キャンパス”を設ける大学が増えている。京都学園大亀岡市)は5日、中京区の町家に「京町家キャンパス」を開設、同志社大上京区)も大学近くの町家を借り、今月から課外活動に利用している。学生が京都の文化に触れ、住民と交流することで、社会性を身につけさせるのが狙いだ。
京都学園大の新キャンパスは、中京区にあるNPO法人「京町家再生研究会」事務局長・小島冨佐江さん(51)の自宅の一部に開設された。築後100年以上の町家で、1階に畳敷き教室、2階には板間の25人教室、少人数のゼミ室がある。人間文化学部の学生らが京文化や文学などを学ぶ。
小島さんの自宅は祇園祭の「南観音山」を出す山鉾町にあることから、「フィールドワーク」の授業では、祭の準備段階から参加する。記念式典で波多野進学長は「学生たちに、京の文化にじかに触れてもらいたい」と期待を寄せた。
同志社大のキャンパス「でまち家」は3月末に開設された。今月22日から「町家サークル」をスタートさせ、講師役の学生が火曜から金曜まで、手話や茶道、英語などを地域の住民に教える。このほか、地球温暖化赤ちゃんポストなど様々なテーマについて学生と地元の人が議論する「井戸端会議」や、節分や節句などの年中行事に合わせてイベントも開く。
「町家サークル」などの課外活動は、文部科学省の「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」に採択された。同大は「対人関係を築くのが苦手な学生が増えている。地元の人と交流することで、苦手意識を解消できれば」としている。

確かに対人関係をうまく作れない学生が増えているのも事実。いわゆる「空気が読めない」ことを恐れている人が多いことの裏返しではないでしょうか。まあ、私が子どものころなんかは近所の人たちと色んな話をしたり面倒を見てもらったり叱られたりすることがよくありましたが、社会教育が崩壊している現代社会では特定の人とのコミュニケーションしかできない学生もいるということです。
そういった意味では大学と地域社会が連携して、学生を巻き込んでいくことはどの大学でも目指すべき教育のあり方ではないかと思います。それぞれ、地域的な特性は異なる訳ですから、独自の取り組みを実施できるということです。つまり、他の大学のコピーをしようとしても無駄だということ。その大学にあった形を継続して模索していくことが必要なのです。

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