Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

ICUの浮世絵展で学芸員課程の学生が活躍

high190です。
ICUで開かれている幕末・明治の浮世絵展で学芸員課程の学生が来訪者案内を実施しているそうで、なかなかの活躍ぶりのようです。

三鷹市国際基督教大(大沢3)で開かれている展示会「幕末・明治の浮世絵」で、学芸員課程を履修する学生が来館者を相手に作品の見どころを紹介するギャラリーツアーに挑戦している。授業の一環として取り組んでおり、“学芸員の卵”たちは「ただ見るだけでは気づかない浮世絵の魅力を伝えたい」と意気込んでいる。(吉良敦岐)
この展示会は、同大内の湯浅八郎記念館で開催中。開港期の街並みを描いた「横浜絵」や外国人による日本人のスケッチ、幕末の風刺画など計127点を見ることができる。
ギャラリーツアーは、毎週水曜日(2月13日まで)に、午前11時、午後1時半、3時の計3回、行われている。20〜30分で館内を巡り、作品が描かれた時代背景や特徴を解説。予約なしで、誰でも参加が可能だ。
16日午後1時半に行われたツアーには約10人が参加し、山本桂さん(3年)がガイド役を務めた。1861年当時の資料では、横浜居留地の外国人は34人しかいなかったが、外国人を描いた絵画が数百点に上っていることに触れ、「当時の浮世絵師は、外国という概念を描こうとした」と解説すると、客たちは納得した様子でうなずいていた。
また、ツアーの最後には客から「どうして中国人も描かれているのか」などの質問も出て、山本さんが丁寧に受け答えをしていた。
同大がこうした取り組みを始めたのは、「美術品の魅力を自分の言葉で説明し、客が満足させられる技術を身につけてもらいたい」からだ。同大では、学芸員養成課程を2004年度に開設。実習場所として同記念館を活用し、特別展の企画に学生が携わってきた。
今回の展示会では学生のアイデアも採用され、ただ浮世絵を展示するだけではなく、絵画の中に描かれている行灯(あんどん)や雪洞(ぼんぼり)、ままごと道具の実物も一緒に並べて、少しでも実感が持てるよう工夫した。
同大3年の下妻貫円さんは「美術館側が見せたいところと、お客が見るところが微妙に違うこともあり、そのギャップを埋められるような説明ができれば」と話している。
展示会は3月19日まで。入場無料。2月23日には、跡見学園女子大の奈倉哲三教授が「錦絵が語る幕末・維新」をテーマに無料講演を行う。午後2時からで要予約。開館日などの問い合わせは、同記念館((電)0422・33・3340)へ。

美術館に行くと学芸員の方が絵の解説をしながら一緒に回ってくれるサービスがあります。それを学芸員課程で実施して、学内実習してしまおうという取り組みです。来場者と一緒に回る学生にとっては良い経験になるでしょうが、その分だけしっかり各絵画の情報を頭に入れていないと大変ですね。
私は学生時代にオープンキャンパスの学生スタッフをしていました。オープンキャンパスのプログラムに、キャンパスツアーというものがありまして学内を受験生と一緒に回るんですが、学生スタッフ向けのマニュアルを持っていくように指示されていました。何か質問された時に、即答できない場合の手元資料という訳です。
しかし、マニュアルにも書いておらずこちらが全く予想していなかった質問をされ、焦ってしどろもどろになる・・・なんてことが結構ありました。ただ、そうやって受験生や保護者の方からお話を直接伺うことで「受験生がどこを見ているのか、何に関心を持っているのか」という点で非常に勉強になりました。やはり現場で経験しないと分からないことはたくさんあります。
ICUの取り組みも学芸員課程に在籍する学生が、大学在学中に経験を積めるという場を設けられるところに意義があります。インターンシップがほとんどの大学で実施されるようになってきていますが、学内で出来ることもきっとたくさんあるはずです。今回のような取り組みは学芸員課程を持つ大学でしか実現できませんが、発想を変えるだけで色々なことを企画できるのだと思いますし、それによるメリットを学生が享受できるようにしたいものです。

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