Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学にCMOを導入する提案

high190です。
大学におけるマーケティング担当は入試課なのでしょうかね。しかし、マーケティング戦略を練る際には恐らく合議制を取り入れているところが多いのではないでしょうか。一般企業ではCMO(Chief Marketing Officer)を導入しているところもありますが、大学ではあまり聞かない職名です。

企業ではCMOを集めたカンファレンスを実施するなど、重要性に着目しているようです。

(一部抜粋)
「CMO Conference 2007」が9月5日、東京・丸の内の丸ビルホールで開かれる。マーケティング分野の新しいリーダーとして注目されるCMO(Chief Marketing Officer)の役割、可能性などを専門家らが話し合う。(アサヒ・コム編集部)
このイベントは、企業の活動がグローバル化すると同時に、消費者のニーズが多様化するなか、マーケティング戦略がますます重要性を増しているという認識のもとで企画された。IDGジャパン(東京)が運営を担当する。
日本では最近、消費者の信頼を揺るがすような企業の不祥事が続いている。中国など海外でも不安を抱かせる事件が後を絶たない。安全や安心、企業の社会的責任への関心は高い。企業と消費者の信頼できる関係なしには、企業の持続的な成長が難しくなっている。
CMOはそうした環境下、企業がマーケットとの新しい関係を構築するのに力を発揮することを期待される存在だ。日本ではまだなじみは薄いが、欧米ではすでに導入している企業も少なくない。時代に合ったマーケティング企業価値の増進を促し、企業の競争力の源泉になると考えられているからだという。
今回のコンファレンスでは、日本コカ・コーラのフランソワ・ベリール副社長が、「世界で最も価値あるブランドと日本の消費者との21世紀における関係構築に向けて」と題して基調講演を行う。
また、「日本企業の成長とマーケティングおよび、およびそのリーダーの役割」をテーマに、KDDI花王などの役員らが話し合う。一橋大学の神岡太郎教授が司会役を務める。

大学においても学生募集の競争激化に伴い、マーケティング戦略の重要性が高まっています。しかし、専門的かつ実効性のある施策を考え出せる人が大学にはいないのでは?もともと、プロパーの大学職員にはそうしたキャリアパスが用意されていませんので、外部からの人材招聘ということになるのでしょうか。

ちなみにこれは本学の先生から聞いたことなのですが、日本に経営・経済系の学部が多い理由は、非常にコストパフォーマンスの高い学問分野だそうです。*1

経営・経済系の学問を「人に教えている」大学が、経営面で苦しい状況にあるというのは何とも皮肉なことです。リーダーシップのある人材を内部で養成し、必要に応じて外の力を活用していかなければ、大学として生き残ることは難しいと思われます。

*1:他の学問分野だと少人数教育や実験施設が必要になるので、収入以上に支出が増えます。それに比べて経営・経済系は「黒板さえあればなんとかなる」というところが大きいですね