Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

来春開校の教職大学院、期待はいかほど?

high190です。
来春からスタートする教職大学院に関するニュースです。

学校の中核的役割を担う教員養成などを目的にした「教職大学院」が来春、誕生する。文部科学省に設置認可を申請している大学は、国立十五、私立六の合わせて二十一校。十一月末に認可されれば来春開校する。一方で既存の大学院との差別化の見通しが立たないなどの理由で申請を延期したり、断念したりした大学も。教員力向上のあり方に頭を悩まし続ける大学も少なくなさそうだ。
今回、最大規模の定員百人で申請した兵庫教育大学は、現職教員を対象にした「学校経営」「授業実践リーダー」「心の教育実践」の三コース、大学卒業者や社会人を対象にした小学校教員養成特別コースの計四コースを設ける予定だ。
同大企画課の担当者は「既存の大学院は個々の能力の向上が目的だが、教職大学院は組織での指導的立場の人材を育てるのが目的」と違いを説明する。
討論や実習など実践に重点を置くのも特徴という。
教える内容には、連携する教育委員会の意向が反映される。東京都教委は東京学芸大学早稲田大学など連携する五大学に対し、「指導計画の改善」などに役立つ授業を求め、修了時の到達目標についても示したという。
静岡大学は本年度申請する予定だったが、一年延期した。石井潔教育学部長は「既存の大学院と教職大学院は違った目的を持つべきだ。教える内容に重複する部分があり、既存の大学院の方の整理が必要だったが、間に合わなかった」と説明する。大阪教育大学も「現在も現職教員の再教育のコースは持っており、それを発展拡充する」と、申請しなかった。
行革で教員の数も減る中で、大学院と教職大学院の両立に二の足を踏む国立大学もある。一方で来年度以降の申請に向け、国立大学二校が連合で申請することを検討する動きも。
私立大学にとっても「現職教員百万人は魅力的な市場」(亀井信明・高等教育総合研究所代表)だ。
文科省専門教育課は「教職大学院教育委員会と大学が一緒につくるもの。教職大学院が増えていくかは、地域の実情に合わせてということになると思う」と話している。

<メモ>教職大学院 (1)実践的な指導力を備えた新人教員の養成(2)現職教員を対象にスクールリーダーの養成−を目的に、文部科学相の諮問機関・中央教育審議会が2006年、創設を答申。法科大学院などと同じ専門職大学院。原則2年が標準。修了に必要な45単位以上のうち、10単位以上は小中高校での実習。
連携する小中高校を確保することや、専任教員の4割以上を教員経験者など実務家とすることなどが義務づけられている。

専門職大学院では、法科大学院がありますが、試験問題漏洩や合格者を出せない大学院が存在するなど、まだまだ制度的に未整備な部分が多いように思います。教職大学院はそうした不安を払拭できるのでしょうか。