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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

文部科学省が破綻した大学の学籍簿の管理及び証明書発行の業務を大学評価・学位授与機構へ移管

high190です。
群馬県創造学園大学を設置していた学校法人堀越学園に対する解散命令が通知*1されたことは記憶に新しいと思います。設置校のうち、大学については文部科学省が、専門学校、幼稚園については、群馬県が学校法人から引き継いで証明書等の発行業務を行うこととなりましたが、創造学園大学については文部科学省から大学評価・学位授与機構へ移管する方針を固めたそうです。


文部科学省は、経営不振などで存続できなくなった大学の学籍簿を保存して卒業証明書などを発行する業務を、独立行政法人大学評価・学位授与機構」に委ねる方針を固めた。
卒業証明書は、卒業生が就職や進学の際に必要となることから、学籍簿が散逸して卒業生が不利益にならないようにする。
学籍簿については、学校教育法施行規則で20年間の保管を大学に義務づけているが、大学の解散などは想定していなかった。ずさん経営で今年3月に解散命令が出た学校法人堀越学園群馬県高崎市)で、運営する創造学園大学の卒業生らから問い合わせが相次いだことから、同省が対応を検討していた。
2004年に経営破綻した酒田短大(山形県)の場合、同省大学振興課が学籍簿を引き継ぎ、卒業証明書などを発行。創造学園大学についても当面は同省が行うが、今後は少子化の進行で大学の経営が困難になるケースが続く可能性があり、管理業務が膨らむことが予想されるため、同機構に引き継がせるという。

こういった事態が起こらないことが一番なのですが、在学生や卒業生に不利益が無いようセーフティネットを整備することが最も重要ですので、少子化と大学間競争が激化している昨今の事情に鑑みると、管理を一元的に行う上でも妥当な措置ではないかと思います。*2なお、上記記事でも指摘されていますが、学校教育法施行規則第28条*3に「学校において備えなければならない表簿」についての規定があります。

第28条  学校において備えなければならない表簿は、概ね次のとおりとする。
(1)学校に関係のある法令
(2)学則、日課表、教科用図書配当表、学校医執務記録簿、学校歯科医執務記録簿、学校薬剤師執務記録簿及び学校日誌
(3)職員の名簿、履歴書、出勤簿並びに担任学級、担任の教科又は科目及び時間表
(4)指導要録、その写し及び抄本並びに出席簿及び健康診断に関する表簿
(5)入学者の選抜及び成績考査に関する表簿
(6)資産原簿、出納簿及び経費の予算決算についての帳簿並びに図書機械器具、標本、模型等の教具の目録
(7)往復文書処理簿
2 前項の表簿(第24条第2項の抄本又は写しを除く。)は、別に定めるもののほか、5年間保存しなければならない。ただし、指導要録及びその写しのうち入学、卒業等の学籍に関する記録については、その保存期間は、20年間とする。
3 学校教育法施行令第31条の規定により指導要録及びその写しを保存しなければならない期間は、前項のこれらの書類の保存期間から当該学校においてこれらの書類を保存していた期間を控除した期間とする。

ちなみに記事中でも指摘されていますが、2004年に経営破綻した山形県酒田短期大学のケースでは、文部科学省高等教育局大学振興課が学籍簿の管理及び証明書発行業務を引き継いでいるそうです。しかしながら、文部科学省のWebサイト上にはそのことについての案内は記載されていませんし、問い合わせ先なども示されていません。私も文部科学省Webサイト上の検索フォームから「酒田短期大学」「証明書」で検索してみましたが、見当たりませんでした。*4なお、ちょうど一昨年にYahoo知恵袋で酒田短大卒業生と思われる方が証明書発行についての質問をしており、その際には回答者の方から大学振興課の電話番号が示されていました。*5
このように卒業証明書などは卒業してから数年後に必要になる場合もあることから、問い合わせ先・問い合わせ方法をWeb上で示すなど、学籍簿を引き継いだところが責任を持って、もう少し分かりやすい案内をするべきではないかと思います。必要以上に情報を掲載する必要はありませんが、せめてWeb検索でたどり着けるようにしておくことが必要ではないでしょうか。これは管理が移管される大学評価・学位授与機構においてもご検討いただきたい点です。また、大学評価・学位授与機構大学入試センターとの統合され、平成26年4月に大学の質保証支援のための新たな法人が創設される見込みであることが大学改革実行プランにおいて示されています。*6統合後に以前構築していたページが無くなって閲覧できない…といった事態は避けなければいけませんので、そういった点にも留意する必要があります。
創造学園大学の一件で、大学の破綻に係るスキームの整備が必要であることがより明らかになりましたが、アフターフォローについても継続的に検討されていくことを望みたいです。*7

*1:堀越学園群馬県)に対する解散命令 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1332588.htm

*2:大学経営の撤退時における実務上のポイントは何か http://d.hatena.ne.jp/high190/20100216

*3:学校教育法施行規則 http://goo.gl/CMx14

*4:http://goo.gl/h2oe3

*5:酒田短期大学の卒業生ですが、就職のため成績証明書・卒業証明書が必要になりまし... http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1057553325

*6:大学改革実行プラン http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/06/__icsFiles/afieldfile/2012/06/25/1312798_01.pdf

*7:「学校法人が解散等した後の学籍簿の扱いについて、学生等の生涯にわたるキャリア形成を図る上で適切に管理されることが重要であることから、適切に引き継がれ管理がなされるようにすることが求められる。」解散命令等に係る課題を踏まえた今後の対応の在り方について(大学設置・学校法人審議会学校法人分科会) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/siryo/__icsFiles/afieldfile/2013/09/19/1339630_4.pdf