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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学にフューチャーセンターを作ろう!

Diary Adaptive University Staff Development

high190です。
日曜日に職場で開催された面白いワークショップに参加してきました。皆さんは「フューチャーセンター」というものをご存知でしょうか?フューチャーセンターとは、「対話を未来のイノベーションにつなげる仕組み」として北欧で生まれた手法で、企業、政府、自治体などの組織が中長期的な課題の解決を目指し、様々な関係者を幅広く集め、対話を通じて新たなアイデアや問題の解決手段を見つけ出す場を作ることを目的にしています。
そして、様々な方々と議論することをフューチャーセッションというようです。私が参加したワークショップは、特定の地域に関連する大学、行政、企業、NPO、居住者などが地域の未来について語るものでしたが、近年は大学においても地域協働が重要視されるようになっており、様々な課題を解決する可能性を秘めたものであるように感じました。5月26日から6月10日までの期間は「フューチャーセンター・ウィーク2012」として各地でフューチャーセッションが行われていたようですね。*1
なお、東京大学では2009年4月に柏の葉キャンパスでフューチャーセンター推進機構を立ち上げており、大学での導入も始まっています。


東京大学フューチャーセンター推進機構(以下UTFC)は、 新しい社会モデルを創成する教育研究組織として、2009年4月に発足しました。2014年春には、TX柏の葉キャンパス駅前に「東京大学柏の葉駅前総合研究棟(仮称)」が竣工し、UTFCが主催する社会実験の拠点となります。本研究棟には、学内研究室、共同研究機関、事務支援組織が入居し、社会実験のための基礎研究、事業化、人材育成を行います。学外の共同研究企業の方にも入居頂けます。

柏の葉キャンパス地区では、広大な緑地のなかに都市機能の集積が進んでおります。ここでは、次世代環境都市の創造を目指して、「参加型のまちづくり」「実証実験」「拠点づくり」などの取り組みが進められています。こうした街のダイナミズムを成長力にできること。これこそが強みです。

恥ずかしながら今日のイベントに参加するまでは、フューチャーセンターのことは全く知らなかったので、これから関連する本を読んでみようと思います。今日のイベントには、つい最近フューチャーセンターについての本を書かれた野村恭彦さんも参加されていて、本の紹介もされていましたので、私はこれから読む身ですが紹介させていただきたいと思います。

フューチャーセンターをつくろう ― 対話をイノベーションにつなげる仕組み

フューチャーセンターをつくろう ― 対話をイノベーションにつなげる仕組み

今日のフューチャーセッションには行政、企業、NPOなど様々な方々が参加していました。メモ的にですが、対話の中から思いついたアイデアを書き留めておきます。

  • 地域から大学が何を期待されているのかを知ることから始まる
  • 学生のフィールドワーク、サービス・ラーニングを軸にした、行政、大学、企業による地域協働モデルの構築が求められている
  • 地域協働による多様な社会経験の機会作りを通じて、実践知を得られる環境づくりを行う
  • 地域課題に対して、教育を通じた解決策の模索を図り、地域社会の活性化を図る
  • 大学にフューチャーセンターを作り、週に1回程度ステークホルダーが集まって議論

今年の1月に京都で開催された大学職員フォーラムに参加した際、大学コンソーシアム京都でワークショップ型のSD研修を行っているとの報告を伺い、ずっとワークショップ型のイベントに参加してみたいと思っていました。*2大学職員のSD研修にフューチャーセッションを活用している例はまだ無いと思いますが、ワークショップで対話する相手が大学関係者ではないため、自分の言葉で世間一般から見た「大学」に対する考えを述べる必要があり、職員の内省を促すためにも有効な手法なのではないかと感じました。外から自分たちの大学がどのように見えているのか、期待されていることは何か、を知ることができるとてもいい機会だと思います。(とはいえ、いきなりSD研修には導入できなさそうですが・・・)
このように議論の場として大学が活用されるということは、とてもいいことだと感じました。様々な価値観の人々が集まって、未来を作るための議論を行う・・・ある種、理想の大学像ではないかと思いますし、大学とはそうあるべきものではないでしょうか。先日文部科学省が公表した「大学改革実行プラン」の中でも地域再生の核となる大学づくりとしてCOC構想(Center of Community)が掲げられています。*3その実現のために、大学が地域の核となるためにフューチャーセンターを作りだし、様々な人が大学に集まる場を設けるになることが有効であるように感じました。
なお、東大以外でも大学発のフューチャーセンターも少しずつですが増えてきています。(2013/05/25更新)*4 *5 *6 *7 *8 *9 *10
今日のセッションを通じて、自分自身が勤め先の大学と地域を繋ぐフューチャーセンターの担い手になれれば・・・という今後に向けて淡い期待を抱くことができた充実した時間でした。


【2015/09/09追記】
中等教育でもフューチャーセンターの取り組みが広がってきているようです。静岡県立島田商業高等学校は運営からファシリテーションまですべてを実施している恐らく唯一の高等学校ではないかと思います。(その他に事例があれば追加しますので、お知らせ下さい)私の方で高等教育機関での導入に関し、情報を収集してきましたが、商業高校での実践という点で非常に興味深い事例ではないかと思います。地域の課題解決という点で、教育的にも大きな意義がある活動だと思いますので、こちらでもご紹介させていただきます。9月19日(土)に第1回のセッションが開催されるそうです。

*1:フューチャーセンター・ウィーク 2012のご案内 http://www.glocom.ac.jp/2012/06/_2012.html

*2:京都で開催された「高等教育研究会」の大学職員フォーラムに参加してきました。 http://d.hatena.ne.jp/high190/20120110

*3:「大学改革実行プラン」について http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/06/1321798.htm

*4:慶應義塾大学ソーシャルデザインセンター http://lab.sdm.keio.ac.jp/sdc/

*5:宮崎産業経営大学フューチャーセンター http://www.miyasankei-u.ac.jp/2013-04-24/1882/

*6:上智大学フューチャー・センター・プロジェクト http://www.sophiakai.gr.jp/news/news/2013/doc/201305110102.pdf

*7:徳島大学地域創成センター「フューチャーセンター事業をキックオフ!」 http://www.tokushima-u.ac.jp/cr/docs/2013041200054/

*8:KSUフューチャーセンター構想・京都産業大学 http://www.kyoto-su.ac.jp/50th/k50th.html

*9:KOKULABO FC(静岡県立大学国保ゼミフューチャーセンター) http://futurecenternews.jp/kokulabo-fc-facebookpage-754.html

*10:岐阜大学地域協学センター http://ccsc.gifu-u.ac.jp/