Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

兵庫県立大学環境人間学部がシカ肉の味を良くする技術を開発

high190です。
ちょっと前のニュースですが、なかなか興味深い取り組みだったので紹介したいと思います。
兵庫県立大学環境人間学部と同大学の自然・環境科学研究所が、シカの肉を良くする技術を開発したそうです。


兵庫県立大環境人間学部と同大学自然・環境科学研究所が、シカ肉の味を良くする技術を開発した。アワやヒエなどから作った酵素を加えて熟成させたところ、肉質が軟らかくなって食べやすくなり、栄養性も向上した。シカによる農作物の被害は各地で深刻化しているが、これまでは駆除してもほとんどが埋設処分されていただけに、今後、特産品としての活用が期待されそうだ。
研究所によると、シカのモモ肉に「多穀麹(こうじ)」と呼ばれる酵素を添加して数日間熟成させたところ、肉質が軟らかくなり、うまみが増した。また、疲労回復などの効果があるとされるアミノ酸量は5倍となり、熟成前にはなかった抗ストレス作用があると注目されているアミノ酸の一種「ギャバ」も生成されていた。
県内のニホンジカは、ここ10年ほどで急増し、「イノシシを追いやるほどの勢い」(県自然環境課)で生息域を拡大しているという。但馬南部や西播磨などを中心に現在、約14万頭が生息していると推定され、稲を食べたり、田んぼを踏み荒らしたりするなどの農作物被害は159・8ヘクタール(2008年)に及んでいる。
県内で捕獲されるシカは、年間約2万頭。しかし、シカ肉は脂肪分が低いうえ、パサパサして独特の臭みもあるため、ボタン鍋などで調理されるイノシシ肉と違い、大半が埋められていた。
研究にかかわった同大学環境人間学部の吉村美紀教授(食品栄養学)は「軟らかくて食べやすく、ハンバーグやソーセージなど加工食品への活用が期待できる。シカ肉はたんぱく質が多く脂質が低いので、健康志向が高い現代人にぴったりの食品だ」と話している。

この取り組みが興味深い理由は3つあります。

    1. ニホンジカが急増したことによる農作物被害を食い止めることができる
    2. 単純に埋められていたシカ肉を有効活用することができる
    3. 商品化に成功すれば外部資金獲得のチャネルを持つことができる

今後、商品化にどう繋げるかが課題ですが、学問で社会的な問題を解決することは素晴らしいですね。(個人的にはシカの肉がどういう味なのか興味があります)
たんぱく質が多くて脂質が低いそうですので、低カロリー食品として注目される可能性ありです。