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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学の秋入学についてのアンケート、賛否二分の結果に

Diary Research

high190です。
東京大学が検討を始めたことで俄然注目度が上がった秋入学(ギャップ・イヤー)*1ですが、民間企業によるアンケートの結果、賛否は二分されていることが明らかになりました。


東京大学などが入学時期を春から秋へと移行させる検討に入っている。それを受け、教育情報などを提供する「ライセンスアカデミー」(東京都新宿区)が全国の四年制大学を対象に「秋入学」に関する調査をしたところ、肯定派43%、否定派39・5%と、賛否が二分していることが分かった。
「秋入学」は欧米など海外では主流。そのため、日本でも秋入学が実現すれば海外留学がスムーズに行えるといった利点がある。一方で、入学や卒業、就職の際、国内の高校や就職先との間にブランクが生じるデメリットもある。
調査は、東京大学を除く全国の四年制大学576校を対象に実施し、263校から回答があった。
それによると、東京大学の動向に対して「大いに注目」「多少注目」と答えたのは52・1%。自らの大学での導入については、「4月入学と併存」(26・6%)、「4月入学廃止」(16・4%)と回答した肯定派は計43%。「不要」と回答した大学も39・5%に上った。
秋入学のメリットを尋ねたところ、留学生の増加や帰国子女が入学しやすいことなどが挙がった。デメリットとしては、卒業と就職などのブランクが生じることを心配するほか、「有力大学だけが有利」「日本の伝統が失われる」などの意見もあった。
同社の担当者は「各大学が個性を打ち出す時代だけに、東大などの動向を気に留めながらも、様子を見ながら入学時期について検討が進むのではないか」と分析している。

調査を実施したライセンスアカデミーのWebサイトに調査結果についてのプレスリリースが出ています。

日本の「リーディング・ユニバーシティ」である東京大学の動向はもちろん気になるところですが、もっと気になるのは社会・企業の動向です。
企業、官庁の採用も春入学・春卒業に限定しているのが一般的ですし、入学式=桜というイメージは誰もが思い浮かべるものであるため、「概ね賛成ではあるが自学への導入については慎重に検討」という回答が多くなったではないかと思います。秋入学の導入はグローバル人材の育成という点でも注目されていますが、私なりにこれからの大学の在り方を考えると「右へならえ」で全ての大学が秋入学を導入するのは間違いではないかと思います。
ユニバーサル化を迎えた日本の大学でも、もっと各大学が受け入れる学生、送り出す学生像を明確にしていく必要があるのではないでしょうか?それこそ、秋入学だけを単体で見るのではなく、自学のアドミッションポリシー・カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーに照らして秋入学を検討するとどうなのか、大学としての根幹に関わる話です。
東京大学の動向は国公私立大学全体に大きな影響を与えるものですが、単純に入学時期だけを見るのではなく、養成する人材像に照らして各大学の方針を決めていくことが重要ではないでしょうか。

*1:東京大学が秋学期入学(ギャップ・イヤー)の導入に向けた検討を開始 http://d.hatena.ne.jp/high190/20110701