Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

麻布大学獣医学部が東日本大震災で飼い主を失った犬の引き取りとケアの取り組みを開始

high190です。
麻布大学獣医学部では、東日本大震災に伴う福島第1原発事故の影響で被災者が飼えなくなった犬を引き取ってケアの上、新しい飼い主を探す取り組みを行っているそうです。


東日本大震災の被災地で、東京電力福島第1原子力発電所事故に見舞われた福島県で、被災者が飼えなくなった犬を引き取り、ケアをして新しい飼い主に譲り渡す取り組みを、麻布大学相模原市中央区獣医学部が進めている。犬たちは、献身的な世話を受けて少しずつ元気を取り戻している。
福島県内では、家が避難地域に指定されたり、倒壊しアパートへ転居したりするなど、震災の影響で飼い続けられなくなった犬が、多数保護されていた。
5月末、同大の菊水健史教授(動物応用科)らが、福島県などを通じて11匹を引き取った。さまよい歩く中で人間から暴力を受けた痕の残る犬もいたという。
世話に当たった獣医学部の学生54人は、エサをやるときも遠くから見守り必要以上の干渉をしないなど、少しずつ犬たちとの信頼関係を築くよう努めた。ほえたりかんだりしなくなり、犬たちの緊張が少しずつほぐれてくるまで、2カ月かかったという。
今、研究室で飼育されているのは、茶と白の毛が交じる雑種の茶麻(ちゃあ)(オス、推定7〜8歳)と、薄茶の毛と大きな目が特徴の雑種、皐月(さつき)(メス、推定4〜5歳)。
ほかの9匹は飼い主が見つかり、新しい生活を始めている。堂面志帆さん(21)は、茶麻と皐月にも「早く見つかってほしい。別れは寂しいが、特定の飼い主にかわいがってもらうのが一番幸せだから」。
菊水教授は、10月中旬に再び福島県から10匹前後を引き取る。「飼い主の見つからない犬はまだたくさんいる。息の長い活動にしたい」と話している。
問い合わせは菊水教授まで。ファクス042(850)2513。

飼い主を失った犬を保護する活動は、獣医学部を持つ大学ならではのユニークなものだと思います。学生たちにとっても、被災地でストレスを受けた動物と接する数少ない機会ですし、教育面での効果もあるように感じます。
菊水教授の言うように、まだまだ飼い主の見つからない犬はたくさんいるでしょうから、長い目で活動を継続していってもらえればと思います。ちなみに菊水教授は以前このブログでも取り上げた、飼い主の性格を客観的に判断するシステムを開発する*1など、ユニークな教育研究を行っている方ですね。

直接的な被災地支援ではありませんが、それぞれの大学が持つ特色を活かした取り組みの好例だと思います。

*1:麻布大学が飼い犬の正確を客観的に診断するシステムを開発、ネット上で運用 http://d.hatena.ne.jp/high190/20101104