Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

山形大学が在宅医療教育機関の設立に向けた準備委員会を発足

high190です。
大学改革実行プランでもCOC構想(Center of Community)の言及がなされるなど、大学に対する地域の期待はますます高まっていくものと思われます。特に地域医療という点では、医学部を持つ大学に多大な期待が寄せられるものと思いますが、社会のニーズに沿った対応策を打ち出すこともまた大学の役割のひとつになってくるのではないかと思います。
山形大学では、昨今需要が高まっている在宅医療の教育を充実させるための教育機関発足に向けて、準備委員会を立ち上げたそうです。


社会の高齢化やがん患者の増加に伴い、需要が高まっている在宅医療の教育を充実させようと、山形大医学部などは9日、「山形大医学部・県医師会在宅医療・在宅看護教育センター」設置準備委員会を発足した。山大によると、大学が中心となった在宅医療に関する教育機関は、準備段階でも例がないという。
センターは臨床現場で働く医師や看護師などが対象。山大医学部内に設置されるが、発足時期は未定。近く準備委でカリキュラムの検討を始める。
この日の準備委には山大や県、県医師会、県看護協会などから22人が参加。呼びかけ人の嘉山孝正・同大学長特別補佐は、75歳以上の後期高齢者や自宅で抗がん剤を使う患者が増加する中、在宅医療・看護に関する教育の必要性が高まっている現状を説明した。

在宅医療・看護に対するニーズが高まっていることを受けて、県の医師会と連携して対応するための教育機関設置に向けて動き出したとのこと。山形県が発行している「保健福祉統計年報」では、県内人口のうち、65歳以上が占める割合は27.5%を占めていることが分かります。*1高齢者が増えている実情を踏まえ、大学にできることを考えていくということは、大学が地域の核となるために必要不可欠なことです。

社会で発生する様々な問題に多角的アプローチで対応するため、最近ではフューチャーセンターなどの考え方が少しずつ広がってきています。*2複雑化する問題に対して、一面的ではなく多面的に考えることが、これからますます求められてくることでしょう。全国初の試みとのことですが、高齢化社会がますます進展する中で、在宅医療の必要性はより高まることが分かっていますので、他の地域においても同様の教育機関設置が期待されます。何よりも大学が中心になって地域課題の解決に向けて取り組む姿勢が素晴らしいです。個々の大学に異なった特色がある訳ですから、独自の取り組みを大学の数だけ生み出せる可能性を秘めています。地域と共に歩む山形大学の姿勢には、いつも目を見張るものがありますが、公式サイトを検索すると「地域に根ざし、世界を目指す山形大学のWebサイトです。」と表示されるところもいいですね。まさしく、地域に根ざして世界を目指していると思います。

*1:人口ピラミッドだと見やすいと思いますので、引用します。

*2:大学にフューチャーセンターを作ろう! http://d.hatena.ne.jp/high190/20120611