Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

高騰する教育機関の学費

high190です。
最近はどこに行っても競争競争ですね。会社でも学校でも社会でも。競争のないところによいサービスは生まれない、という考え方ももはや一般的なものになっています。消費者にとっては商品のサービスが向上し、価格が安くなるのであれば良いことです。その反面、利益至上主義に陥ったり倫理的に反することを誘発するのも競争の側面だと思います。そういった観点から考えると大学の学費はどうでしょうか。

米国のビジネススクールが値上げをしているということと、資金力が大学経営に大きな影響を与えているという記事。アイビーリーグの大学が経営的に豊かで教育投資を潤沢に行える半面、公立大学では対抗のための教育投資を行うために学費を値上げせざるを得ないということです。確かに優秀な学生を集めるには、優れた教育プログラムと設備が必要ですので、資金力は重要な基準となります。ただ、学費の負担者は学生ですので、資金がない者は必然的に大学で学ぶことが難しくなります。

ビジネススクールにおいても競争は激化しており、大学側が教育の質的向上を図るために学費の値上げをしているとのこと。アメリカのMBA取得者はその後のキャリアにおいて、比較的高給を得ることができるようですので、そのための自己投資みたいなものでしょうね。こちらは何となく理由が分かるような気がします。

日本でも私立学校で学べるのは資金力にかかっている、という現状があります。広く学びの機会を提供する場所から、経営的な面を重視した存在に大学自体が変容してきている反面、奨学金の貸与を受ける学生も増えてきています。大学も生き残りをかけて経営面を強化しなければなりませんが、学校教育法第52条にある「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする」ということも忘れてはなりませんよね。

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