Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

女子大ならではの感性をマーケティングに活かす

high190です。
普段から学生に接する機会が多く、彼らと話すとやはり硬直した物の考え方ではなく、柔軟な頭をしているなと思わされることが多々あります。やはり自分自身、大学職員として仕事をする上でどうしても頭が固くなってしまっているのでは?と思うこともあり、反省する部分です。(かといって、柔軟すぎるのも困りものですが)
とかく、若い世代の人はユニークな発想を持っています。そんな発想をビジネスに活かそうという取り組みがあり、記事を読んで思わず唸ってしまいました。

跡見学園女子大学(埼玉県新座市)など全国の5女子大学が共同で企業からマーケティングを受託する事業を始める。学生が食品や家電製品などを評価し、発注元に報告する。第1弾としておつまみ大手、なとりの魚肉加工品の評価を請け負う。企業は女子大生の感性と声を商品企画や販売に役立てる一方、大学はマーケティング実務を学生に体験させる機会を得る。少子化で学生の募集環境が厳しくなる中、女子大ならではの取り組みで存在をアピールする。
参加するのは跡見のほか鎌倉(神奈川県鎌倉市)、甲南(神戸市)、宮城学院仙台市)、活水(長崎市)の4女子大。各校が窓口となり、受注した大学が調査票を作成、全校に配布する。回答者は各校100人で合計500人。11月から始める計画で、なとりのほか大手製薬会社から栄養補助食品の評価も受託した。

なるほど、女子大生の感性をマーケティングに活かそうという取り組みですね。ということは製品のターゲッティングも若年層に向いているのかな?と思いました。

一例ですが、跡見学園女子大学の履修コースには「マーケティングとコミュニケーション」「マーケティング論」というものがあります。記事中には

大学はマーケティング実務を学生に体験させる機会を得る。

とありますので、授業の中で製品を取り上げて調査票を作成するのでしょうか。ここでちょっと気になるのは、講義の中で実施するということは当然マーケティングの基礎知識についても授業中に教えますよね?その内容に沿ってマーケティング実務を実施すると…せっかく女子大生が関わる意味が薄れてしまうのではないでしょうか。もちろん、講義として実施するのであれば、ちゃんとシラバスに則った形でやるべきでしょうが、この場合だとそうしたことではなく「女子大生としての感性」が求められているということは、「基本を押さえてあとは自由にやらせる」というのが最も良い成果が上がりそうな気がします。
そのあたりで講義を取るのか、発想を取るのか…科目担当者と制度の導入者は結構頭を悩ませそうですね。ただ、取り組み自体はとてもユニークですし、ここでの指摘が新商品開発に役立てば大学としても宣伝材料になりますので、効果が大きいと思います。

宣伝を取るか、教育を取るか?もちろん両方達成できるのが一番いいですが、どんな形で運用されるのか興味深いです。