Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

佐賀大学が学生サークルコンパを届出制に。指導と自主性のバランスをどう考えるか

high190です。
国立大学法人佐賀大学では、学生サークルのコンパを届出制にし一気飲みはさせないという念書も書かせることにするそうです。
これは昨年発生した死亡事故を踏まえた対応ですが、このことについては学生の指導と自主性のバランスについて議論を呼びそうです。


佐賀大学佐賀市)は、コンパなどの飲み会を開く学生サークルに対し、計画書と、一気飲みを強要しないなどの誓約書を提出させる方針を決めた。昨年3月、理工学部1年でラグビー部員の男子学生(当時19)が部のコンパで飲酒後に死亡する事故があり、新年会や卒業生追い出しコンパを控えて再発防止を図るのが狙いだ。
大学によると、計画書には参加者の氏名と店名、開始と終了の予定時間などを記入させる。未成年者の飲酒や一気飲みの強要などはしないという代表者の誓約書も出させる。実施に向け準備中だが、昨年12月から一部のサークルに計画書を提出させている。
佐賀大には約110の公認サークルがある。瀬口昌洋副学長は「学内には、そこまでする必要はないという異論もあったが、痛ましい事故から学生を守るために考えた」と説明する。提出しなかったり誓約に反したりした場合の罰則は今後検討するという。
昨年3月に死亡したラグビー部員は、ビールや日本酒を一気飲みしていた。大学側は、この事故の後も救急車で学生が運ばれたケースを2件把握しているという。
学生の受け止め方は様々だ。運動部の4年男子(22)は「コンパでは結構な量の酒を飲む。届け出制は仕方ない」。文化系サークルに所属する1年男子(19)は「一律に届けさせるのはおかしい。やりすぎではないか」と疑問を呈した。
福岡大(福岡市)も、サークルのコンパに届け出を求めている。学生課の担当者は「一気飲みをあおらないなどの念書も代表者から年度初めに取っている」と話す。それでも、学生が救急車で運ばれる事例が毎年数件あり、消防署の救命講習会に一部の学生を参加させているという。
九州大(福岡市)は各学部事務所の窓口に飲酒事故への注意を促すチラシを置いており、熊本大(熊本市)は学内に注意書きを掲示しているが、いずれも届け出は求めていないという。両大学の担当者は「佐賀大の取り組みに注目したい」と話している。

佐賀大学では昨年に学内で一気飲みによる死亡事故が発生した際、学生に対して緊急告知を行っています。
また、この事故については新聞等でも報道され、このブログでも取り上げました。


確かに「そこまでする必要があるのか」という声が挙がるのも分かります。しかし、学長がコメントしているように、大学として「痛ましい事故から学生を守る」姿勢を明確にしたことは評価できると思います。同様にお酒との付き合いは、社会に出てからも続くわけですから、学生のうちから正しくお酒と付き合う方法を学ぶことも大切だと思います。アメリカでは100以上の大学学長が、21歳以上と定められている飲酒可能年齢を18歳以上に引き下げるための署名を行ったりと、飲酒の危険性を回避するのではなく、正しい飲酒に関する教育が重要であるとの意見もあります。

学生の飲酒について指導と自主性のバランスを大学としてどう考えるか、もっと議論を深められればいいのではないでしょうか。