Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学キャンパスは全面禁煙か、それとも分煙か

high190です。
既に多くの大学職員の方がご存じだとは思いますが、今年に2月25日に厚生労働省から以下の通知が出ました。

この文書の中では学校も公共施設として禁煙を推進することが指摘されていますし、健康増進法第25条で「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない」と規定されています。
この通知内容を受けて各大学では喫煙者への対策を打ち出してきていますが、大学により方針は様々のようです。


公共施設の禁煙が進む中、大学でも敷地内を全面禁煙にする動きが広がっている。日本学校保健学会の調査によると、健康増進法が施行された2003年度の22カ所から来年度は107大学151カ所と7倍に増える見込み。受動喫煙を防ぐだけでなく、未成年の新入生からたばこを遠ざける狙いもあるようだ。


■不便だと吸わない?
秋田大の手形キャンパス(秋田市)は4月から、敷地内が全面禁煙になった。学生たちは休憩時間、校門を出て路上でたばこを吸う。3年生の安宅涼太さん(21)は「構内に喫煙所がなくなったから、ここで吸うしかない。不便だけど仕方ないです」と話す。
ほかにも鳥取大が昨年10月、福島大が今年1月に踏み切り、広島修道大、日本女子大は来年4月からの全面禁煙を決めた。ほかに、岐阜大や宮崎大がすでに取り組んでいる。
日本学校保健学会の「タバコのない学校」推進プロジェクトの調査によると、09年度に敷地内禁煙を実施したのは142カ所。今年度は4カ所増えて146カ所、来年度はさらに5カ所増えて151カ所になる見込み。医療看護系の大学や、学生数の少ない地方の国公立大学が中心だ。
立命館大京都市)は13年4月に敷地内を全面禁煙にする。同大の学生は3万7千人。09年度の調査で、1年生の喫煙率は2%だが、4年生になると21%に跳ね上がることがわかった。広報課の川口隆一課長補佐は「喫煙者を増やさないのも大学の使命。今の1年生が4年生になる13年には喫煙する学生は大幅に減るはず」と期待する。
敷地内だけでなく、大学周辺を喫煙禁止区域にした大学もある。東北文化学園大(仙台市)は08年、大学の周囲2〜3キロを禁煙区域とした。07年に敷地内を全面禁煙にしたところ、大学周辺の路上でたばこを吸う学生が増え、近隣住民から苦情が来たという。
職員が1日数回見回り、たばこを吸っている学生に注意する。中には「違う大学です」ととぼける学生もいるが、とにかく声をかけるようにしているという。


■総合大は分煙が主流
だが、総合大学の多くは、分煙が主流だ。約2万7千人の学生が通う早稲田大の早稲田キャンパスでは10カ所の喫煙所を設置している。教授や職員が定期的に構内を巡回しているが、禁煙区域での喫煙はなかなか減らないという。「学生の数を考えると敷地内の全面禁煙は難しい。まずは分煙を徹底させたい」と話す。
「タバコのない学校」推進プロジェクト代表の中京大・家田重晴教授は「今後は敷地内を全面禁煙にするだけでなく、喫煙者にニコチンパッチを配るなど、たばこを吸わせない、やめさせる活動と両輪で行うことが必要」と語る。
リクルートが発行する高等教育の専門誌「カレッジマネジメント」の小林浩編集長は「大学1〜2年生の多くは未成年。受動喫煙への問題意識が高まるにつれ、今後も全面禁煙にする大学は増えていくだろう。たばこを吸わせない環境を整えることは受験生や保護者へのイメージアップにもつながる」と話す。(田中祐也)

基本的には全面禁煙が望ましいですが、隠れて喫煙する者が出ることも考慮する必要があるでしょうから、空間的にブロッキングして分煙化するという手段もあります。
大学キャンパスでの喫煙・禁煙に対する対応については、以下の過去記事があります。

アメリカの大学では早くからキャンパス内の全面禁煙、学生への禁煙キャンペーンを実施しています。
日本では法制化されたことで各大学が対応を検討することになりましたが、その際には海外の事例なども参考になるでしょう。*1

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*1:禁煙についてのポリシーを明示している大学もあるようですね。The University of North Carolina at Chapel Hill No Smoking Policy