Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

日本が再び研究対象になる日は来るのか

high190です。
高度経済成長期、日本は世界中の研究対象になっていたといいます。何故、日本がそこまで経済成長を遂げることができたのかを研究した本もたくさん出ました。エズラ・ヴォーゲルの「Japan as Number One」などが有名です。

しかしながら、バブル経済崩壊後の失われた10年で日本は研究対象としての魅力を失ってしまいました。そこで、東京大学京都大学早稲田大学慶應義塾大学立命館大学は共同でアメリカ・ワシントンに「日米研究インスティテュート」を設立し、アメリカで日本に関する情報を発信する拠点を昨年4月に作りました。日本への関心が薄れることの危機感から生まれたこの組織、果たして日本が再び研究対象として注目される日は来るのでしょうか。


東京・京都・早稲田・慶応・立命館の5大学は、米国ワシントンに日米研究と日本の情報発信の拠点を目指した「日米研究インスティテュート」を設立、2月1、2の両日、ワシントンで「鳩山政権の重要課題の日米関係への影響」と題したセミナーを開く。
1990年代半ば以降、米国では、中国の台頭とともに日本や日米関係への関心が薄れ、日本研究者が減り続けている。この状況を変え、日本の情報を常に海外に発信できる拠点をつくろうと、初めて5大学が手を携えた。当面は企業の協力も得ながら、セミナーなどを通じて情報を発信し、米国など海外の若手研究者の育成や交流に力を入れる。今回のセミナーでは「東アジア情勢と日米同盟」「エネルギーと環境政策」「東アジア共同体」などをテーマに日米の研究者らが議論する。
早稲田大学副総長の内田勝一教授は「将来は、日本の政策研究機関(シンクタンク)として、日米関係や世界的な諸問題について戦略を描きたい」と話す。

ただ、現実は厳しいもので外国の研究者にとって日本の大学は研究機関としてはそこまで優れたものに映っていないのかも知れません。そのことを知る手掛かりとして、東京大学経済学部の伊藤隆敏教授がアメリカに経済学の教員をリクルーティングしに行った際の様子から伺うことができます。

いまや日本経済も研究対象としての価値がはげ落ちた。最上級の人材はとれない。

研究対象としての価値という部分で、中国などBRICsの台頭もあって日本は厳しい立場に置かれています。日米研究インスティテュートは現状を少しでも変えるべくして設置された機関ですが、まずは日本の置かれているポジションを知る上でも意味のあるものです。

にほんブログ村 教育ブログ 大学教育へ
にほんブログ村